昨今の電気料金が高騰している要因のひとつになっているのが「燃料費調整額」です。
毎月金額が変わるので、「もしかしてわが家だけ高く支払っているかも?」と心配になっている人もいるかもしれません。
燃料費調整額の金額が決まる工程は複雑なので、「よくわからないけど請求された分を支払っている」という人もいるでしょう。
そこで、この記事では燃料費調整額とは何なのか、わかりやすく説明します。
燃料費調整額が決まる仕組みや特徴、最新動向なども紹介します。
この記事を読めば、燃料費調整額がどうして電気料金の高騰に関係しているのかもわかりますよ。
ぜひ参考にしてみてください。
燃料費調整額ってなに?なぜ毎月金額が変わるの?

燃料費調整額とは、簡単に言うと、発電に使われる燃料の調達費用を毎月の電気料金に反映し、一部を契約者に負担してもらうための費用です。
少し詳しく説明します。
電気を作るための発電方法はいくつかありますが、日本では約7割の電気を火力発電を利用して作っています。
火力発電で電気を作るためには、燃料になる石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料が必要です。
ですが、日本国内だけでは化石燃料を十分に確保できないため、大部分を海外から輸入しなくてはいけません。
輸入価格は需要と供給に大きな影響を受けるほか、為替レートや国際情勢、国の政策などの要因が複雑に絡み合い常に変動しています。
燃料の輸入価格が高くなった場合、そのぶん電力会社は販売する電気料金を値上げして対応しないと採算がとれなくなってしまいます。

ですが、電力会社が電気料金を値上げするのには非常に手間がかかります(値下げの場合も同様)。
料金プランによって対応方法は異なりますが、電気料金を変更するためには国から許可をもらったり契約者へ事前告知をしたりという手続きが必要になるため、頻繁に変更はできません。
そこで導入されたのが燃料費調整額です。
燃料費調整額は、その時々の燃料の輸入価格に応じて金額を変えることが可能です。
燃料の輸入価格が値上がりすれば燃料費調整額が高くなり、結果的に電気料金も高くなります。
もちろん、燃料価格が値下がりすれば電気料金が安くなることもあります。
このように、燃料の調達費用を毎月の電気料金に反映させるための費用が燃料費調整額です。

燃料費調整額の金額が決まる仕組みは次の項で紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
燃料費調整額が決まる仕組みは?
次に、燃料費調整額が決まる仕組みについて簡単に説明します。
- 燃料費調整額の単価を決める3つのステップ
- 燃料価格が電気料金に反映されるタイミング
- プラス調整時(値上げ時)の上限価格
順に見ていきましょう。
参考:燃料費調整制度とは|東京電力エナジーパートナー株式会社 (tepco.co.jp)
燃料費調整額の単価は3つのステップで決まる
燃料費調整額は「燃料費調整額の単価×電気使用量」で算出されます。
「電気使用量」は実際に各家庭で使った電気の量のことです。
電力会社が決めるのは「燃料費調整額の単価」ですが、これは下記の3ステップによって金額が決まります。
簡単に言えば、燃料価格の「予測と実際の差を埋めるための作業」と考えてもらえばいいと思います。

① 基準燃料価格を決める
まず、電力会社が「基準燃料価格」を決めます。
「基準燃料価格」とは、電力会社が初めに料金プランを作ったときにあらかじめ想定していた平均的な燃料価格を指します。
つまり、「これぐらいの金額になるだろう」という予想金額です。
「基準燃料価格」の金額は料金プランによって異なるため、最終的な燃料費調整額も料金プランによって金額が違います。
② 平均燃料価格(実績)を算出する
次に、実際の燃料価格がどのように変動してきたかを把握します。
具体的には、過去3ヶ月間の貿易統計価格(化石燃料の輸入価格のこと)をベースに、「平均燃料価格(実績)」を算出します。
③ ①と②を比較して燃料費調整額の単価を決める
次に、「①基準燃料価格」と「②平均燃料価格(実績)」、つまり予想価格と現実価格にどれくらいの差があるかを比較します。
具体的な計算式の詳細は省略しますが、現実価格(②平均燃料価格)が予想価格(①基準燃料価格)よりも高ければ燃料費調整額はプラスになり、反対に低ければ燃料費調整額はマイナスになります。
④ 電気料金に反映する
③のステップで燃料費調整額がプラスになれば電気料金も値上がりし、マイナスになれば電気料金は安くなります。
燃料費調整額は上記のような流れで決定します。
なお、それぞれの金額を決める計算式は複雑なので省略しましたが、気になるという方は下記のホームページでチェックしてみてくださいね。
参考:燃料費調整制度について|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)
燃料価格の変動はいつ電気料金に反映されるの?
燃料費調整額を決める際にベースとなる「②平均燃料価格(実績)」は、過去3ヶ月間の貿易統計価格を参考にして決まると説明しました。
実は、その価格が実際に電気料金に反映されるには、さらに2ヶ月かかります。
つまり、例をあげると、1月〜3月の貿易統計価格は同年6月の電気料金に反映されるという仕組みです。
燃料価格が高騰するというニュースをたびたび耳にすることがあると思いますが、実際に自分たちの電気料金に影響を与えるのは数ヶ月先になるということを覚えておきましょう。
電気料金の高騰は家計を圧迫する原因にもなるので、今後値上がりする可能性があると知っておけば、ほかの出費を調整するなど家計管理に役立つでしょう。
燃料費調整額の上限価格は決まっているの?
燃料費調整額がプラス調整になり電気料金が値上がりする場合、「どれくらいまで高くなるのか」と不安になる人もいるでしょう。
実は、燃料費調整額の上限の有無は料金プランによって異なります。
基本的に、規制料金プランには上限があり、自由料金プランには上限がありません。
料金プランの種類ごとに上限があるかどうかを下記の表にまとめたので参考にしてください。
| 料金プラン別の燃料費調整額の上限 | |||
|---|---|---|---|
| 電力会社 | 料金プランの種類 | 燃料費調整額の上限 | 料金プランの例 |
| 旧一般電気事業者(※1) | 規制料金プラン | あり | 【東京電力】 従量電灯プラン |
| 旧一般電気事業者 | 自由料金プラン | なし | 【東京電力】 ・スタンダードプラン ・スマートライフプラン ・夜トクプラン など |
| 新電力会社(※2) | 自由料金プラン | なし | 【東京ガス】 ・基本プラン ・時間帯別プラン |
※1)旧一般電気事業者:電力自由化前からあり、各エリアで電気を供給してきた大手電力会社10社のこと。東京電力や関西電力など。
※2)新電力会社:電力自由化をきっかけに、新しく電力業界に参入してきた会社のこと。
規制料金プラン・自由料金プランの違いを知っておこう
規制料金プランとは、電力自由化前からある旧一般電気事業者の最も一般的な料金プランです。
電気料金を変更する際は、値上げ・値下げに関わらず、国からの許可が必要という点が特徴的です。
燃料費調整額に関しては上限が設定されているため、燃料価格が高騰しても、規制料金プランを契約していれば電気料金が限りなく高くなるわけではない点が大きなメリットと言えるでしょう。
一方、自由料金プランは2016年の電力自由化以降に誕生した料金プランです。
規制料金プランと異なり、国の許可なしに電気料金を柔軟に変更できるのが大きな特徴です。
契約者のライフスタイルに合わせてプランを選べたり、さまざまな特典を利用できるのが大きな魅力です。
ただし、燃料費調整額については上限がないため、燃料価格が高騰すれば電気料金も高くなってしまう可能性がある点には注意しましょう。
燃料費調整額の上限額はどれくらい?
規制料金プランには燃料費調整額の上限があると説明しましたが、具体的には上限は「基準燃料価格の1.5倍」と決められています。
基準燃料価格は電力会社や料金プランによって金額が異なるため、具体的な上限額もそれぞれ異なる点に注意しましょう。
なお、規制料金プランでは上限を超えて燃料費調整額が高騰することはありません。

燃料費調整額は必ずしも悪者ではない!
2022年以降、長期間にわたって電気料金が高騰しています。
その大きな要因となっているのは燃料費調整額ですが、燃料費調整額は必ずしも家計を圧迫する悪者というわけではありません。
というのは、燃料を安く仕入れることができれば燃料費調整額も安くなり、そのぶん電気料金も安くなるからです。
燃料の調達価格は社会情勢の影響を大きく受けるためいつ安くなるかを予測することは難しいですが、今後の動向次第では電気料金を安くしてくれる家計の救世主になるかもしれません。
燃料費調整額について知っておいてほしい5つのポイント

燃料費調整額の仕組みや特徴について説明してきましたが、これだけは知っておいてほしい!というポイントを5つまとめてみました。
- 燃料費調整額の単価は電力会社・プラン・月によって金額が異なる
- 燃料費調整額の上限が設定されているのは規制料金プランのみ
- 燃料費調整額に上限が設定されている規制料金プランでも値上げすることはある
- 独自の燃料費調整額を徴収する新電力会社が増えている
- 基本的に燃料費調整額の徴収がない料金プランはない
順に説明します。
①燃料費調整額の単価は電力会社・プラン・月によって金額が異なる
燃料費調整額は電力会社や料金プランによって金額が異なるだけではなく、月によっても金額が変動します。
電力会社や料金プランによって金額が異なるのは、燃料費調整額を決める際のベースとなる「基準燃料価格」が異なるためです。
また、月によって金額が変動するのは、燃料を海外から仕入れる際の金額がその都度変動するためです。
実際の金額を見てみましょう。
以下の表は、旧一般電気事業者の規制料金プランにおける燃料費調整額単価の推移をまとめたものです(電気・ガス価格激変緩和対策事業による国の補助金を除く)。
電力会社や月によってそれぞれ金額が異なることがわかるでしょう。
燃料費調整額の単価の推移
| 2023年10月 | 2023年11月 | 2023年12月 | 2024年1月 | 2024年2月 | 2024年3月 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 北海道電力 | -4.82円 | -5.15円 | -5.36円 | -5.26円 | -5.09円 | -5.06円 |
| 東北電力 | -6.11円 | -6.46円 | -6.74円 | -6.74円 | -6.68円 | -6.50円 |
| 北陸電力 | -5.13円 | -5.51円 | -5.86円 | -5.89円 | -5.87円 | -5.92円 |
| 東京電力 | -5.73円 | -5.97円 | -6.17円 | -6.15円 | -6.06円 | -5.78円 |
| 中部電力 | 2.77円 | 2.54円 | 2.40円 | 2.49円 | 2.68円 | 3.19円 |
| 関西電力 | 2.24円 | 2.24円 | 2.24円 | 2.24円 | 2.24円 | 2.24円 |
| 中国電力 | -6.57円 | -7.06円 | -7.48円 | -7.53円 | -7.48円 | -7.50円 |
| 四国電力 | -4.62円 | -4.96円 | -5.24円 | -5.24円 | -5.19円 | -5.21円 |
| 九州電力 | 1.86円 | 1.86円 | 1.86円 | 1.86円 | 1.86円 | 1.86円 |
| 沖縄電力 | -8.56円 | -9.23円 | -9.75円 | -9.83円 | -9.80円 | -9.75円 |
また、同じ電力会社であっても料金プランによって燃料費調整額の単価が異なるケースもあります。
以下の表は、関西電力における規制料金プラン・自由料金プランの燃料費調整額単価の比較です(電気・ガス価格激変緩和対策事業による国の補助金を除く)。
自由料金プランのほうが割高傾向にあることがわかります。
また、規制料金プランには燃料費調整額に上限が設定されているので、燃料価格が高騰した場合にはもっと差が広がるでしょう。
料金プラン別の燃料費調整額
| プラン | 例 | 2023年10月 | 2023年11月 | 2023年12月 | 2024年1月 | 2024年2月 | 2024年3月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 自由料金 | eおとくプランなど | 4.52円 | 4.27円 | 4.08円 | 4.09円 | 4.17円 | 4.39円 |
| 規制料金 | 従量電灯A・B | 2.24円 | 2.24円 | 2.24円 | 2.24円 | 2.24円 | 2.24円 |
プラス調整・マイナス調整に関わらず、燃料費調整額は電気料金への影響が大きい項目と言えます。
②燃料費調整額の上限が設定されているのは規制料金プランのみ
燃料費調整額の上限が設定されているのは、東京電力など旧一般電気事業者の「規制料金プラン(従量電灯プラン)」のみです。
| 電力会社 | 規制料金プラン |
|---|---|
| 北海道電力 | ・従量電灯B(一般家庭) ・従量電灯C(電気使用量の多い家庭) |
| 東北電力 | ・従量電灯B(一般家庭) ・従量電灯C(電気使用量の多い家庭) |
| 北陸電力 | ・従量電灯B(一般家庭) ・従量電灯C(電気使用量の多い家庭) |
| 東京電力 | ・従量電灯B(一般家庭) ・従量電灯C(電気使用量の多い家庭) |
| 中部電力 | ・従量電灯B(一般家庭) ・従量電灯C(電気使用量の多い家庭) |
| 関西電力 | ・従量電灯A(一般家庭) ・従量電灯B(電気使用量の多い家庭) |
| 中国電力 | ・従量電灯A(一般家庭) ・従量電灯B(電気使用量の多い家庭) |
| 四国電力 | ・従量電灯A(一般家庭) ・従量電灯B(電気使用量の多い家庭) |
| 九州電力 | ・従量電灯B(一般家庭) ・従量電灯C(電気使用量の多い家庭) |
| 沖縄電力 | ・従量電灯 |
規制料金プランでは、燃料調整額が高騰しても上限以上に値上がりすることはないので影響は限定的です。
上限の金額は電力会社によって異なりますが、「基準燃料価格の1.5倍まで」と定められています。
なお、下限の設定はありません。
旧一般電気事業者では規制料金プランのほかに自由料金プランも提供していますが、自由料金プランは燃料費調整額の上限がない点に注意してください。
③燃料費調整額に上限がある規制料金プランでも値上げすることはある
燃料費調整額の高騰によって電気料金が大幅に高くなるのを避けたいという人であれば、上限が設定されている規制料金プランを選ぶとよいでしょう。
上限設定がない自由料金プランよりは影響が限定的になるはずです。
ただし、規制料金プランでは燃料費調整額の値上げが限定的でも、電気料金自体が値上げされる可能性はあります。
たとえば、燃料価格が高騰した場合、燃料費調整額の上限を越えた分は電力会社が負担しなくてはなりません。
価格が高騰して上限を越える状況が長く続けば経営が圧迫されるので、電力会社が負担に耐えられなくなる前に規制料金プランの電気料金が値上がりすることになります。
事実、過去には旧一般電気事業者10社のうち7社が規制料金の値上げを実施しました。
規制料金プランが常に一番電気料金が安いというわけではないので、注意しましょう。
④独自の燃料費調整額を徴収する新電力会社が増えている
旧一般電気事業者と同様に、新電力会社でも燃料費調整額を徴収しています。
ですが、2022年以降の燃料価格の高騰にともない、燃料費調整額を徴収するだけでは採算が取れずに倒産する新電力会社が相次ぎました。
これは、新電力会社の多くが自社で発電所を保有しておらず、電気の調達にかかる費用の負担が旧一般電気事業者よりも大きいことなどが関係しています。
そこで、一部の新電力会社では燃料費調整額のほかに、独自の燃料費調整額(独自燃調)を徴収し始めました。
独自燃調の名称は電力会社によってさまざまで、主に下記のような名称があります。
- 電源調達調整費
- 調達調整額
- 市場価格調整額
- 電力市場連動額 など
また、独自燃調の徴収方法も電力会社によって異なります。
これまでの燃料費調整額に加えて独自燃調を徴収するケースや、燃料費調整額の代わりに独自燃調を設定し多めに徴収するケースなどがあるようです。
自分が契約を検討している新電力会社で独自燃調が設定されているかどうかは、約款などで確認してみましょう。
⑤基本的に燃料費調整額の徴収がない料金プランはない
「可能なら燃料費調整額を徴収しない料金プランを選びたい」と思う人が多いと思いますが、基本的にそのようなプランはありません。
たとえ燃料費調整額が徴収されていなくても、なにかしらの方法で電気を調達する際の費用を確保していることがほとんどです。
例として、以下の2プランがあります。
- 独自の燃料費調整額(独自燃調)を設定しているプラン
- 市場連動型プラン
まず、独自燃調を設定しているプランでは、燃料費調整額とは違う名称で料金が徴収されていることが多いです。
「電源調達調整費」や「調達調整額」、「市場価格調整額」や「電力市場連動額」などと呼ばれることが多いようですが、いずれも燃料費調整額と似た目的で徴収するための費用に変わりありません。
また、市場連動型プランでは燃料費調整額は徴収されていません。
ただし、市場連動型プランの電気料金の単価は、日本卸電力取引所(JPEX)の市場価格と連動しています。
電気の調達に必要な費用は市場価格にすでに含まれていると推定されるので、広い意味では市場連動型プランも燃料費調整額と似た目的で料金を支払っていると言えるでしょう。
電力会社探しに役立つ!実際に電気料金を計算してみよう
これから乗り換え先の電力会社を探す人は、ぜひ電気料金の計算方法をマスターしましょう。
というのは、多くの電力会社の公式ホームページでは乗り換え後の料金シミュレーションができますが、シミュレーション料金に燃料費調整額や再エネ賦課金が含まれていないという場合が多くあるからです。
この2つの金額は料金プランやタイミングによって変動するので、シミュレーションが難しいのは事実です。
再エネ賦課金は全国で金額が一律なので、シミュレーションに含めなくてもそれほど影響はないですが、燃料費調整額によっては電気料金が安くなる電力会社が変わってしまう可能性があります。
そのため、自分で電気料金を計算して、なるべく正確な金額を事前に知っておくほうが安心できるでしょう。
ここでは電気料金の計算方法を簡単に説明するので、ぜひ参考にしてください。
電気料金の計算式
一般的に、電気料金は下記の計算式で算出されています。

「各項目の意味がよくわからない!」という人は下記を参考にしてください。
①基本料金
電気の使用量に関係なく、毎月固定でかかる料金です。
基本料金の徴収方法は電力会社によって「アンペア制」と「最低料金制」に分かれていますが、「アンペア制」を採用している電力会社が一般的です。
なお、新電力会社のなかには基本料金を0円に設定しているところも存在します。
| アンペア制 | アンペア数が大きくなるほど基本料金が高くなる。 例:10A:295.24円、20A:590.48円 多くの新電力会社、北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、九州電力が採用。 |
|---|---|
| 最低料金制 | 最低料金で定められた電気使用量を超えると電力量料金がかかる。 例:最初の15kWhまで433.41円、それ以降は電力量料金に準ずる。 関西電力、中国電力、四国電力、沖縄電力が採用。 |
| 基本料金0円 | Looopでんき、ネット電力、ONEでんき、エルピオでんき、楽天エナジーなど一部の新電力会社が採用。 |
②電力量料金(従量料金)
各家庭で実際に使った電気の使用量に応じて発生する料金です。
電力量料金=電力量料金の単価×電気使用量
電気使用量に応じて単価を3段階で設定(3段階料金)している電力会社が多いです。
例:電力量料金
| 電力量料金① | ||
|---|---|---|
| 電気使用量 | 東京電力「スタンダードS」 | 東京ガス「基本プラン」 |
| ~120kWh | 30.0円 | 29.70円 |
| 121kWh~300kWh | 36.60円 | 35.69円 |
| 301kWh~ | 40.69円 | 39.50円 |
なお、新電力会社のなかには電力量料金の単価が一律に設定されているプランも存在します。
③燃料費調整額
発電に用いる燃料の市場価格の変動を毎月の電気料金に反映させるための調整額です。
燃料費調整額=燃料費調整額の単価×電気使用量
市場価格に合わせて燃料費調整額が加算または減算されるという特徴があります。
電力会社や料金プラン、月によって金額が変動する点も大きな特徴です。
燃料費調整額の単価の計算式の詳細は省略します。
燃料費調整額は電力会社の公式ホームページで毎月公開されているので確認してみましょう。
④再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)
再生可能エネルギー発電の発展・普及のために徴収される料金です。
再エネ賦課金の単価は国が決めています。
全国一律料金なので、どこの電力会社と契約しても単価は変わりません。
再エネ賦課金=再エネ賦課金の単価×電気使用量
実際に電気料金を計算してみよう!
次に、実際に電気料金を計算してみましょう。
4人世帯のケースを想定し、東京電力「スタンダードSプラン」と東京ガス「基本プラン」の電気料金を計算してみましょう。
電気料金の計算に必要な単価情報はすべて公式ホームページで確認できますよ。
世帯人数:4人
アンペア数:50A
電気使用量:450kWh/月
①基本料金
東京電力の基本料金は「10Aにつき295.24円」なので、50A契約では1,476.2円になります。
295.24×5=1,476.2
東京ガスは公式ホームページにある料金表を参考にしたところ、1,476.20円でした。
②電力量料金
電力量料金は「電力量料金の単価×電気使用量」で求めますが、電力量料金は電気使用量に応じて単価が変動する点に注意が必要です。
| 電力量料金 | ||
|---|---|---|
| 電気使用量 | 東京電力「スタンダードS」 | 東京ガス「基本プラン」 |
| ~120kWh | 30.0円 | 29.70円 |
| 121kWh~300kWh | 36.60円 | 35.69円 |
| 301kWh~ | 40.69円 | 39.50円 |
東京電力で月に450kWhの電気を使用した場合の電力量料金は16291.5円になります。
30.0円×120kWh+36.60円×180kWh+40.69円×150kWh=16291.5円
同様の方法で計算すると、東京ガスは15583.8円でした。
29.70円×120kWh+35.69円×180kWh+39.50円×150kWh=15,913.2円
③燃料費調整額
燃料費調整額は「燃料費調整額の単価×電気使用量」の計算式で求めます。
燃料費調整額は月単位で金額が変わるため、ここでは2024年3月分の単価を参考にします。
なお、下記の単価は国の電気料金激変緩和措置による値引きが反映された金額になります。
東京電力の単価は-9.28円/kWh、電気使用量は450kWhなので、4,176円が減算されます。
-9.28円×450kWh=-4,176円
東京ガスの単価も-9.28 円/kWhなので、同様に4,176円が減算されます。
-9.28円×450kWh=-4,176円
「電気料金の高騰の主な原因は燃料費調整額」と聞くと燃料費調整額は常に加算されるものというイメージがありますが、燃料価格が落ち着いてくれば2024年3月のように減算されることもありますよ。
④再エネ賦課金
再エネ賦課金は「再エネ賦課金の単価×電気使用量」でされます。
この単価は全国どこの電力会社を契約しても単価は同じです。
計算の結果、東京電力・東京ガスともに630円になりました。
1.40円/kWh×450kWh=630円
合計金額
①~④の金額を合計すると以下のようになります。
結果として、東京ガスのほうが707.70円ほど安いことがわかりました。
新電力会社では特典やキャンペーンなどを利用できることが多いので、もっとお得になるかもしれません。
実際に乗り換え先の電力会社を探す際はチェックしてみてくださいね。
| 基本料金 | 電力量料金 | 燃料費調整額 | 再エネ賦課金 | 合計 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京電力 | +1,476.20円 | +16291.5円 | -4,176円 | 630円 | 14,221.70円 |
| 東京ガス※ | +1,246.96円 | +15,913.2円 | -4,176円 | 630円 | 13,614.16円 |
※2025年3月検針分から。
燃料費調整額の最新動向は?これからどうなる?
燃料費調整額の最新動向が気になるという人も多いでしょう。
ここでは、東京電力の燃料費調整単価の推移をグラフにまとめてみました(電気・ガス価格激変緩和対策事業による国の補助金を除く)。
青線が自由料金プラン、赤線が規制料金プランです。
2022年2月以降、ロシアによるウクライナ侵攻や円安の加速などの影響で、燃料費調整額はプラス調整が続いていました。
規制料金プランでは上限値で高止まりしているものの、自由料金プランでは規制料金プランの2倍近くまで単価が高騰していたことがわかります。
その後、自由料金プランでは2023年2月ころを境に単価が安くなりはじめ、規制料金プランでは2023年6月から、自由料金プランでは2023年8月からマイナス調整に転じました。
これは、火力発電の燃料となる液化天然ガスや石炭の市場価格が下落したことが主な要因と言われています。
では、今後はどのように推移するのかと言われると、見通しを立てるのはなかなか困難としか言えません。
ロシアのウクライナ侵攻などの国際情勢をはじめ、燃料の調達価格に影響を与える要素は数多くあり、複雑に絡み合っています。
現在はマイナス調整が続いていますが、予期せぬ事態が起これば再びプラス調整に転じることもあるかもしれません。

燃料費調整額を根本的に安く抑える方法はある?

燃料費調整額は電気料金高騰の大きな原因のひとつですが、根本的に安く抑える方法はありません。
というのは、燃料費調整額は化石燃料の取引価格やエネルギーの需要と供給などによって変動するからです。
私たち契約者や電力会社がコントロールできるものではありません。
では、どうすれば燃料費調整額を安く抑えられるかというと、一番は契約している電力会社や料金プランを見直すことでしょう。
すでに説明した通り、燃料費調整額は電力会社や料金プラン、お住まいのエリアなどによって金額が異なります。
現在契約している電力会社より安いところがあるか、探してみるとよいでしょう。
ただし、燃料費調整額が安いからと言って電気料金全体が安くなるわけではありません。
電気料金を安く抑えたいなら、基本料金など、ほかの費用項目が安いかどうかも重要なチェックポイントです。
もちろん、企業の信頼度やサービス体制、お得な特典情報など、ほかにも確認してほしいポイントはあります。
どうやって電力会社を選べばよいかわからないという人は、当サイトが作成した新電力会社のおすすめランキングを参考にしてください。
世帯人数やお住まいのエリアごとにもランキングを作成しているので、気になる電力会社を見つけやすいはずです。

電気料金を節約したいなら電力会社の乗り換えも視野に入れてみよう
燃料費調整額は、国際情勢などの影響を受けて金額が変動するという特徴があります。
そのため、私たち契約者側でコントロールできるものではありません。
燃料価格が高騰した状況でも電気料金の値上がりを限定的にとどめたいという人は、燃料費調整額の上限が決められている規制料金プランを選ぶとよいでしょう。
ただし、燃料価格が落ち着いてくれば自由料金プランのほうが電気料金が安くなるケースも多くあります。
燃料費調整額だけではなく電気料金全体を節約したいという人は、電力会社の乗り換えや電気の使い方の見直しを検討してみてくださいね。

