29年前に誕生も「日本仕様が全然なかったヤマハのバイク」ついに国内発売! スクーターなのに“ガチのスポーツ車” 日本人が知らない世界がそこに!?
- 乗りものニュース |

日本人が知らなかった「日本のスポーツスクーター」
ヤマハは2026年8月31日、軽二輪クラスの新たなスポーツスクーターとなる「AEROX ABS」を発売しました。AEROXは1990年代後半からヨーロッパで、2010年代からは東南アジア市場でも展開されてきたモデルであり、ついに日本仕様の導入が実現しました。
ついに発売となったヤマハ「AEROX」シリーズの日本仕様(画像:ヤマハ)
まず、海外でのAEROX誕生の経緯を振り返りましょう。ヨーロッパではもともとベスパやランブレッタといったスクーターが広く浸透しており、1970〜1980年代にかけて、スクーターによる本格的なサーキットレースがスタート。これにともない、チューニング用パーツも続々と市販化されていきました。
1980年代後半には、こうしたパーツでカスタムしたハイパフォーマンス・スクーターによるワンメイクレース「Trofei Malossi」もイタリアで始まり、それまでは「日常の足」として親しまれたスクーターが、スポーツバイクとして支持されるようになっていったのです。
ヤマハは、こういったヨーロッパの時流を見逃しませんでした。1995年に投入された「マジェスティ250」は大ヒットし、「シティスポーツ」というジャンルを確立。これは後のTMAXやXMAX、NMAXといった「MAX」シリーズ誕生の礎にもなりました。
そして、さらにスポーツ性能に特化した小排気量モデルとして開発され、1997年にデビューしたのが初代AEROXです。
初代AEROXは50ccと100cc(いずれも2ストローク)の2モデルが展開されましたが、これらのエンジンを手掛けたのは、イタリアのバイクレースで何度も世界王者に輝いたエンジンメーカーのミナレリ。レーシーな外観とキビキビとした乗り味で、ヨーロッパの若者たちから絶大な支持を集めていきました。
なお、その後AEROXは50ccモデルに集約されつつ細部のアップデートを重ねていきましたが、排気ガス規制の強化にともなって2013年に2ストローク仕様を廃止。4ストロークモデルのみに一本化されています。
ヨーロッパで人気を獲得し、性能を高めていったAEROXは、2016年からインドネシア、マレーシア、タイなどで125ccや155ccモデルが展開され、やはり各国の若者たちから注目を浴びるようになります。アジア圏における国際的なスクーターレースの競技車両にAEROX 155が選ばれたほか、タイやインドネシアではカスタムしたAEROXで直線スピードを競い合う、ストリートドラッグレースも盛んになっていきました。
待望の日本仕様は「かなり尖った1台」に!
このように、ヨーロッパや東南アジアでのスポーツスクーター人気を牽引したAEROXですが、一方の日本国内では、これまで一部業者から逆輸入車を買うしか入手方法がなく、まさに知る人ぞ知るモデルとなっていました。
スポーツスクーターファン待望のモデルとなる「AEROX ABS」(画像:ヤマハ)
そうしたなか待望の日本仕様モデルとして発売されたAEROX ABSは、「スーパースポーツバイクに最も近いスクーター」が開発コンセプトです。外観はレーサーモデル「YZF-R9」などのデザイン哲学を投影した、アグレッシブでいかにも速そうなルックスです。
また、ヤマハのエンジン設計思想「BLUE CORE」に基づき開発された155ccエンジンは、レスポンス抜群のキビキビとした走りを実現。2種類の走行モードを選択することができ、加速・減速の量を好みや走行状況に応じて調整することができます。
これらを支える足回りもまた秀逸で、フロントにはテレスコピック式フォークを、リアにはサブタンクを備えたサスペンションを採用。前後とも14インチのワイドタイヤとディスクブレーキも装備しています。
そして、フレームは剛性に優れたバックボーン型となっており、重量はわずか132kg。市販スポーツスクーターとして、相当に尖ったモデルを目指したことが伝わってきます。
ちなみに、カラーバリエーションはマットグリーニッシュグレーとシルバーの2種。価格は48万1800円(税込み)です。
同じヤマハの「NMAX」とはどう違う?
筆者(松田義人:ライター・編集者)はAEROX ABSのスペックを見て、一瞬「通勤快速モデルとしても良いのではないか」とも思いましたが、さらに細部をじっくり吟味したところ、個人的には不向きのようにも感じました。
2025年モデルの「NMAX ABS」(画像:ヤマハ)
なぜなら、比較モデルとして挙げられる同社の「NMAX155」に対し、AEROX ABSのほうが全長、全幅、シート高とも長く、高い設計だからです。「通勤快速モデル」として乗るならば、より小ぶりで小回りが利くNMAX155のほうが相応しいという意見です。
言い換えれば、AEROX ABSは「日常の足」というより「操ることを楽しむスポーツスクーター」として、休日のロングツーリングや、趣味のチューンナップのベースとすべき特別なモデルのようにも思えました。
それでもAEROX ABSはすでに大人気を博しており、一部では初期ロットが完売となっている販売店もあるようです。
AEROXの「読み方」論争
なお余談にはなるものの、これまでの海外仕様のAEROXはバイク専門メディアなどで「エアロックス」と呼ばれることが多かったのに対し、今回ヤマハが公式に発表した呼称は「アエロックス」となっています。このため、国内バイク専門メディアやユーザーなどのあいだでは「どっちが正しい呼び方なんだ」と少々物議を醸しているようです。
英語読みでは「エアロックス」に近い発音になり、イタリア語読みでは「アエロックス」に近い発音になりますが、どれが正しいかを追究すると言語学的な話に発展しそうです。
筆者はいったんヤマハ公式呼称にならって「アエロックス」と呼ぶことにしますが、今後ユーザーの間で「エアロックス」という呼び方が定着した場合は、シレッと「エアロックス」派に鞍替えしようとも思っています。
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