「糖質制限」ダイエットはかえって太る！？　軽い気持ちで取り組んではいけないワケ　管理栄養士が解説

　効率よく減量するために、コメやパン、麺類など、糖質が多い食べ物の摂取量を減らす「糖質制限ダイエット」が、一時期話題となりました。現在でも、ネット上では糖質制限ダイエットを推奨する内容の情報がありますが、効果的なダイエット法なのでしょうか。糖質制限ダイエットの注意点について、管理栄養士の松田加奈さんに教えていただきました。

医師の指導のもとで行うこと

Q.そもそも、糖質制限ダイエットとはどのようなダイエット法なのでしょうか。注意点も含めて、教えてください。

松田さん「糖質制限ダイエットとは、糖質を控えてタンパク質などを取るダイエット法です。そもそも糖質制限は、病院で肥満や糖尿病の人に向けた食事療法の一種であり、ダイエットというよりも治療の一環として取り組むものですね。

どれくらい糖質を取ってもよいかなどは個人差があるので、病院では医師の指導のもとで管理栄養士が患者一人一人について行います。個人で糖質の摂取量を判断するのは難しいため、ダイエット方法として自己判断で取り組むのはお勧めできません。

糖質制限ダイエットで摂取するとよい食品は、肉や魚などの高タンパクな食品です。一方、お菓子や菓子パン、ケーキなどの糖質を多く含む食品の摂取は控えるのが望ましいでしょう。

糖質を控える分、主食、主菜、副菜がきちんとそろった食事でエネルギーをしっかりと補給することが大切です」

Q.糖質制限ダイエットは効率的に痩せる上で効果的なのでしょうか。それとも、体に危険を及ぼす可能性があるのでしょうか。

松田さん「糖質制限という治療そのものは危険ではないので、肥満や糖尿病の人が血糖値を管理する方法として、医師や管理栄養士のもとで適切に糖質制限を行うのであれば問題ないでしょう。

しかし、単に痩せたいからという理由で個人が安易に取り組むのは危険です。個人で適切な糖質管理を行うのは難しく、取り組み方を間違えると体調を崩し、低血糖症などになりやすくなります。単に痩せるためのダイエット方法として自己判断で糖質制限を行うのは避けましょう」

Q.糖質制限ダイエットはどのような人にお勧めなのでしょうか。よくある失敗例はありますか。

松田さん「お勧めなのは、やはり肥満や糖尿病で医師から糖質制限を勧められた人です。しかし、糖尿病の人は血糖値のコントロールが難しくて低血糖になりやすいため、自己判断で行わずに必ず医師や管理栄養士の管理のもとで取り組みましょう。

糖質制限はあくまで治療法であり、先述のように単に痩せるためのダイエット方法として個人が取り組むのはお勧めできません。よく糖質制限ダイエットで白米を抜く人がいますが、白米には脂肪燃焼や基礎代謝を上げる効果などがあるので、白米を抜いて肉や魚の摂取量を増やすとかえって脂肪がつきやすくなります。白米と一緒におかずを食べた方が太りにくいですよ。

痩せるために個人で取り組むダイエットであれば、お酒を控えたり、砂糖の摂取を控えたりするのがお勧めです。日々のお菓子やジュースを控えるだけでもダイエットになりますし、食事はそのままにして砂糖の摂取を控えるだけであれば、自己判断で行う糖質制限のような危険性もありません。まずは甘い物を控えることから意識してみましょう」

＊　＊　＊

　糖質制限はあくまで治療法であり、医者にすすめられない限り、ダイエット方法として安易に取り入れるべきではないことが分かりました。自分でダイエットをしたい場合は、甘いものを食べる量を減らすなど別の方法で、安全に取り組めるとよいですね。

オトナンサー編集部

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