「男の子だから大丈夫」は危険。小児性加害者が「あえて父親と一緒の男の子を狙う」理由とは
- マイナビウーマン |

新生児科医・小児科医としてXなどで子どもの医療啓発を続けている「ふらいと先生」こと今西洋介先生。このほど『医師が本当に伝えたい 12歳までの育児の真実 親子の身体と心を守るエビデンス』(日経BP)を出版した今西先生に、学童期の育児で気になることについて聞きました。
■子どもの「ぽっちゃり」何が問題になる?
(※画像はイメージです)
ーーわが家の次男は小学校高学年以降に外遊びの機会が減ってから体格がぽっちゃりしてきました。このまま肥満につながってしまうのでは、と心配になり始めています。著書では子どもの肥満を放置してはいけない、とありましたが……。
今西先生(以下、今西) 実際、この10年で子どもの肥満はとても増えていて、男女とも上昇傾向にあるんです。肥満を放置すると生活習慣病になり、子どもでも動脈硬化などの疾患が進むこともありますから、どうか親御さんたちは「うちの子はぽっちゃり体型だから」と軽く見ずに家庭での食事や間食を見直してほしいです。
子どもの肥満外来という診療科もあり、食事療法、運動療法、生活習慣の改善など、肥満の改善を目指すさまざまな指導が行われます。子どもの肥満改善にはやはり親の指導や家族の協力が欠かせません。
ーー具体的に実践できる対策はどんなことでしょうか?
今西 まず生活リズムを整え、三度の食事時間を規則正しくしましょう。そして食事はできるだけ大皿で出さずに1人ずつの小皿で出すこと、早食いはせずにゆっくりよくかんで食べること。
間食をなくすのも難しいですが、どうしてもおなかがすいてしまうなら、野菜スティックなど栄養バランスが取れて、食事に響きにくいものにするといいでしょう。
お菓子やジュースを常備しないようにする環境的な工夫も大事です。キッチンの引き出しを開けたらポテトチップスがあれば、大人でもつい食べてしまいますよね。おやつは週末だけに限定する方法もいいでしょう。
また最近はカフェイン入りの炭酸飲料を飲む子が増えていますが、ジュースや炭酸飲料は避け、できれば水や無糖のお茶にしたいところです。
ーー大人のダイエット同様、生活習慣を整えて間食を控えることが大事なのですね。できるだけ外遊びなどもさせたほうがいいでしょうか。
今西 学童期・思春期は骨も成長する時期なので、バランスよく栄養をとって、よく運動することがいちばんです。体重が増えて運動しづらくなると、骨の形成に影響することもあります。
家庭単位で運動をルーティン化するのもいいと思います。アメリカでは、子どもも家庭で週60分以上の運動をすることが推奨されていて、学校や公園にも筋トレ用具が設置されているので、小学生なのに筋肉ムキムキな子もいます。そこまでではなくても、親子でキャッチボールやジョギングなどが習慣化できるといいですね。
ただ一方で、思春期の女の子で生理が止まってしまうほどのコントロールはとても危険です。子どもの肥満が問題視されているかたわら、15歳以降の思春期になってくると、やせ傾向が見られるんです。おそらくルッキズムの影響が強いと考えられるのですが、必要以上にやせようとする思春期の子が増えていることは非常に心配ですね。
■同意教育とは自分で「NO」の意思表示をできるようにすること
(※画像はイメージです)
ーールッキズムの問題も含め、スマホを持つようになると子どもの興味関心の範囲を親が把握することも難しくなってきます。インターネットを経由したデジタル性暴力なども心配ですが、親子間で話題にしにくい部分もあり……性教育についてどうやって対話を進めるといいですか?
今西 ユネスコは5歳から幅広く性について学ぶ「包括的性教育」を推奨しています。性教育と言っても、幼いうちから具体的な性器の話や性行為の話をする必要はありません。幼児期からできることは、まずは自分の体は自分しか許可なく触ってはいけないと教えたり、水着で隠れる部分はプライベートパーツだというところから教えたりすることです。学童期に入っても、まずはそのように「自分の体を大切にする」ことを伝えるといいでしょう。
そして同時に「同意教育」もとても大切です。人に自分の意思を表明すること、そして相手の意思を確かめ尊重することを学ぶのです。
ーーそれは必ずしも性行為の同意について、ではなくていいのですね。
今西 はい。僕がとても驚いたのは、娘が通うアメリカのキンダーガーデン(幼稚園)で同意教育をやっていたことです。
お友だちに一緒に水を飲もう、と声をかけてパートナーとペアができたら座ります。途中で水を飲みたくないと思ったら立ち上がっていいし、半分一緒に飲んで途中で違うパートナーを探してもいい。このように、NOと言える環境を作ることやNOと言った相手の人権を守ることを教えていました。
性教育とともに、そういった人権教育も教えていかれたらいいと思います。最近はさまざまな絵本もありますので、日々読み聞かせてあげると子どもに伝わりやすいでしょう。
ーー性被害から子どもを守るためにも、自分で「NO」の意思表示ができることが大切なんですね。スマホを持つようになると、子どもが安易に自分の画像を他人にSNSで送ってしまうという問題もよくきくのですが……。
今西 まず、性的な画像や動画を撮影させないこと、人に送らないことが大原則です。どんな写真を送ってはいけないか。わかりやすい例に「玄関の前に貼れない写真は人に送らない」というものがあります。
肌を露出した写真などを恋人に送ってしまう子もいますが、やがてその恋人との関係がうまくいかなくなったとき、その写真や動画を使って脅される可能性もあります。いくら気を許した相手でも、玄関の前に貼れない写真は送らない、ということを常日頃から伝えて徹底してほしいと思います。
世界的に見て、SNSが子どもたちが性被害を受けるきっかけになることは非常に多いのが現状ですし、SNSだけではなくてオンラインゲームのチャット欄で知り合った成人男性と小学生の子どもがリアルで会って……ということもあります。親は、子どもが利用するデジタル機器の特性を知っておく必要もあるでしょう。
■「男の子だから大丈夫」という危険な思い込み
(※画像はイメージです)
ーー夫婦間でも、子どもの性被害について危機意識に差があると感じます。私は夫に「心配しすぎじゃない?」と言われることもあるんですが……。
今西 まさか自分の子どもが、とくに男の子は性被害にあわない、と思っている人もけっこういます。しかし芸能界における男児への性加害問題が公になってから少しずつ世の中が変わり、男の子でも性被害を受けると広く知られるようになりました。2017年に強制性交等罪などの性犯罪に関する刑法が改正され、肛門性交や口腔性交も性被害の範疇になったことも大きいです。それまでは男の子の性被害は法律的に裁くことが難しかったですから。
――「男の子だから大丈夫」とは決して言えませんよね。
今西 僕は性暴力を受けた子どもを支援しているNPOの活動で、性加害者と対話することもあります。その活動を通じて、小児性加害者のなかには、「あえて父親と一緒の男の子を狙う」という人もいることを知りました。なぜかというと、母親と女の子のペアよりも防犯意識が低いからです。小児性加害者にとっては、第二次性徴を迎えていない子どもならば性別関係なく加害対象になるのです。
性加害者は、性欲だけでなく支配欲を持ち、相手が嫌がることを楽しむという実態があり、その特性を両親ともに知っておくことはとても大事です。子どもに性教育をする際にも、夫婦での意見が違えば子どもは混乱してしまいますから、夫婦で情報を共有してよく話し合ってほしいと思います。
ーー先生は学校などで性教育の講演をすることも多くあるそうですが、講演活動で時代の変化を感じることはありますか?
今西 最近は性教育の話を聞きにくる高齢男性が増えています。ずっと仕事一筋で自分の子育てはしてこなかったけれど、社会も法律も変わった今、自分が孫の面倒を見るときに何を気をつけていいかわからない、と学び直しに来てくれる60代、70代のおじいちゃんが増えているのです。すばらしいことだと思います。
世代にかかわらず、性教育を通じて人権の意識や価値観を変えるのは、これから育つ子どもたちが加害者にならないためにもとても大事なことだと思います。
■「子どもの専門家は、小児科医ではなく親なんです」
(※画像はイメージです)
ーー三姉妹を育てる父親でもある今西先生ですが、小児科医としての知識と、親としての経験がぶつかるような場面はありますか?
今西 ありますね。こんなふうに偉そうに本を出したりしていますけど、育児に関しては妻にしかられっぱなしで、日々精進させていただいております(笑)。妻から「『赤ちゃんが泣いたらすぐ抱っこしてあげて』と言っているくせに、放置しとるやないか!」とツッコまれたことも数えきれません(笑)。幼い娘たちをあやしているつもりで自分が寝ていたこともよくありました。当直明けで眠かったから……というのは言い訳ですが。
僕は日頃、子どもの医療や育児についてエビデンスを重視して啓発活動をしていますが、子育てでいちばん大事なことは、エビデンスや個人の体験談を知った上で、これらの情報を適切にバランスを取り、自分たちに合った方法で実践していくことだと思います。
育児の方法は家庭の数だけ何通りもあって、正解はありません。同じ年齢でも、気質も発達具合もその子によって違います。だから、エビデンスは知識として持った上で、家庭にあうような育児のやり方を探してもらうといいと思います。
ーーエビデンスや情報をうのみにするのではなく、自分たちに合う育児のやり方を夫婦で探していくということでしょうか?
今西 そうです。エビデンスというのは「たくさんの人に調査して、こういう人が多かったからこう考えられる」という結論に結びつくものですけど、当然、外れ値もあるわけです。少数派だから間違っているかというとそうではない。エビデンスは頭の隅に置いて、困ったときにちょっと頼ればいいと思います。
ーー今西先生も、夫婦で育児に関する意見が食い違うことはありますか?
今西 長女のときは多かったと思います。よく誤解されることですが、小児科医は子どもを診る医療のプロではあるけれど、育児のプロではないんです。やっぱり、子どもの専門家は親です。
僕も娘たちを育てながらたくさん学んできましたし、妻と意見が食い違ってぶつかり合ってきました。そんな経験を積んで三女の子育てでは長女のときよりもかなり衝突が少なくなった気がします。お互い年齢を重ねてけんかするのが面倒くさくなった、というのもありますが(笑)。それは冗談にしても、一緒に育児しながら少しずつコンセンサスが得られたんじゃないかな。
育児の方針が夫婦で違ってぶつかっても、お互い子どものことを考えて行動したらきっと行き着くところは一緒になると思います。ほかの人の意見を聞くのもいいけれど、夫婦でぶつかりながら試行錯誤しながら、その子にあった子育て方法を見つけることを大事にしたいと思っています。
医師が本当に伝えたい 12歳までの育児の真実 親子の身体と心を守るエビデンス
(取材・文 早川奈緒子)
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