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元英軍幹部「祖国は海外領土守れません!」と明言 予算不足に人員不足「それ敵国も一緒じゃん」貧乏どうし大丈夫?

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  • 乗りものニュース
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「少なくとも10年間はフォークランドに艦隊を送ることはできない」という元イギリス海軍大佐の発言が波紋を呼んでいます。イギリス軍は予算削減に人員不足でガタガタですが、実はかつての敵、アルゼンチンも同様です。

「10年間は艦隊送れません!」元軍幹部が明言

  2024年8月20日、イギリスメディアの「ザ・ニューズ」は、40年ほど前に起きたフォークランド紛争のときのような大艦隊を編成する能力は、すでにイギリス海軍にはないと報じました。

Large 240823 ukar 01イギリス海軍空母「クイーン・エリザベス」(画像:イギリス海軍)。

 この報道の基になったのは、イギリス海軍補助艦隊の元大佐だったサイモン・ブース氏の発言。彼は「少なくとも10年間は、かつてのようにフォークランドに艦隊を送ることはできないと」と取材に対して語っています。その根拠になっているのは、イギリス国防省の調達能力が著しく低いことにあるようで、「建造するとしたものを提供する能力は、かなりひどい」とも明言していました。

 イギリス海軍は度重なる予算削減で、軍縮気味だった1980年代よりも、さらに組織の規模が縮小化しているとのこと。すでに新型艦の建造計画が遅延しているほか、45型駆逐艦のように建造計画が立てられても、その後建造数が減らされるケースも見受けられます。このような状況はフォークランド紛争時のイギリス海軍と比べてもひどいといえる有様のようで、それを受けて先に述べたようなコメントをサイモン・ブース氏は述べた模様です。

 なお、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、予算が増額されたり艦艇の建造が強化されたりなど風向きは変わっているようですが、依然としてイギリス海軍の装備不足は続いています。

艦艇はもちろん人員不足もヒドイ…

 1982年のフォークランド紛争で、イギリス海軍は軽空母「インヴィンシブル」「ハーミーズ」の2隻を中核とした戦闘艦艇39隻、海軍補助艦艇22隻、さらに民間から徴用した商船45隻を派遣しています。

 しかし、現状のイギリス海軍は空母こそ同国史上最大の軍艦と謳われるクイーン・エリザベス級を2隻保有していますが、現状運用されている潜水艦は10隻、駆逐艦、フリゲートといった水上艦に関してはわずか18隻と、確かにヨーロッパ域内での有事以外に対応するには心細い編成に陥っているのは明らかです。
 
 さらに、艦艇乗員の不足も深刻です。これもブース氏は指摘していますが、2024年1月には人員不足により揚陸艦2隻が作戦不能になったほどだとか。だからか、イギリス海軍では、新兵募集の要件を変更し「入隊前に泳げなくても問題なし」という伝統を捨てた前代未聞の決断を下し、「絶望的な試みだ」とメディアに批判されたこともありました。

Large 240823 ukar 02フリゲート「ブローソード」と空母「ハーミーズ」(画像:イギリス海軍)。

 なお、イギリス国防省は、急速に艦艇を強化している最中であり、老朽化した23型フリゲートを更新すべく、最新の26型フリゲートを建造する準備は予定通り進んでいると発表しています。しかし、人員確保の点が深刻なのは変わっておらず、今後に関しては不透明なままです。

でも、ライバル国はさらにヒドイって!?

 ただ、フォークランド紛争時、敵であったアルゼンチンも海軍は深刻です。アルゼンチンもフォークランド紛争が起きた当時、空母「ベインティシンコ・デ・マヨ」とシュペルエタンダールを中心とした空母艦載機を操縦する海軍航空隊、さらに旗艦である軽巡洋艦「ヘネラル・ベルグラノ」以下の駆逐艦や潜水艦、揚陸艦など、多数の艦艇からなる南米有数の海軍を保有していました。

 しかし、紛争が終わった後、経済的困窮から国防費が大幅削減され、軍の規模が縮小された影響は現在も尾を引いているとか。実際、海軍はフォークランド紛争後、空母「ベインティシンコ・デ・マヨ」を退役させ、その後は空母を保有せずに現在まで来ており、水上艦を見てみても1980年代に建造されたドイツ製のMEKO360型フリゲートやMEKO140型コルベットといった艦が主力です。これらは建造から40年以上経っている艦も多く、ゆえに故障も深刻なのだそう。たとえば2024年に退役が決まったMEKO140型コルベット「エロイナ」は故障した後、15年間も放置されたままでした。

Large 240823 ukar 03アルゼンチン海軍でかつて運用されていた空母「ベインティシンコ・デ・マヨ」(画像:アルゼンチン国防省)。

 潜水艦に関してはもっと深刻で、サンタクルス級「サンフアン」が2017年に事故で沈没して以降、稼働中の潜水艦がゼロなのだとか。こうして見てみると、アルゼンチン海軍に関しても、大きな軍事作戦を行う力は現状では備わっていない状態で、フォークランド諸島奪回は無理だといえるでしょう。

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