昭和の小学校で当たり前だった「座高測定」が知らぬ間に姿を消したワケ
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身体測定の源流は神田「体操伝習所」から
小学校から高校までの学校生活で、共通して行われるのが身体測定です。日本の身体測定の歴史は古く、1878(明治11)年までさかのぼります。
文部科学省の「国際教育協力懇談会」(2001年10月)の資料「我が国の教育経験について(健康教育(学校保健・学校給食))」には、次のような記載があります。
「現在、行われている健康診断の始まりは、活力検査の名称で、明治11年東京の神田一ツ橋(千代田区一ツ橋)に体操伝習所において実施されたものである。医学・生理学に基礎をおき全身の均斉な発育と健康保持を目的とした体操の実施後の効果判定の目的から体格・体力の測定を繰り返し行った。これを活力検査と呼び,項目は体長・体重・臀囲・胸囲・指極・力量・握力・肺量であった」
体操伝習所とは体育教員の養成所で、当時の検査項目を見ると、現在の身体測定や体力測定でも行われているものがあります。

日本学校保健会(港区虎ノ門)が運営するサイト「学校保健」によると、児童・生徒向けに実施されたのは1888年からで、体操伝習所と同様に活力検査と呼ばれました。
その後、1897年に「学生生徒身体検査規程」と名称と中身を入れ替えて、
・視力
・聴力
・歯科検診
などが加わります。
ちょうどその頃、校医制度の整備も進められており、現在につながる身体測定と健康診断の体制確立の黎明(れいめい)期となりました。
近代的な学校教育を敷くにつれ、それと同時に児童・生徒の発育や健康状況を観察するシステムが成立。戦争を挟んで脈々と継承されていきました。
昭和世代に懐かしい「座高測定」
そんな身体測定に途中から加わったのが「座高測定」です。座高とは座ったときの上体の高さで、昭和世代にはなじみがある一方、
「いったい何のために測定していたのか?」
と感じていた人も多かったことでしょう。
そんな座高測定は、1937(昭和12)年にスタートしました。

「改正学校身体検査規程解説」(1937年)によると、座高測定が追加された理由は
「人間の重要臓器は下肢を除く体幹に集中しているため、この部分の発育状態の良しあしは人間の生活機能に極めて重要な関係を持つ。座高が身長よりも重要であるという学問的結論に至った」
と、あります。
こうして昭和初期から座高測定が始まったわけですが、
「座高が高い = 足が短い」
を意味しているため、身長とは異なり、児童・生徒にとって「高いからうれしい」とは言えないものでした。
その後、医学は進歩したものの、座高の高さと人間の生活機能の因果関係が解明されることはないまま、戦後の学校でも測定が長年続けられました。
そんな座高測定は2016年度から廃止となり、現在は行われていません。その背景には、文部科学省が2012(平成24)年から「今後の健康診断の在り方等に関する検討会」を9回開催する過程で、座高測定の省略についての意見が上がってきたためです。
文部科学省は2014年に「学校保健安全法施行規則」の改訂を決定。そのなかに座高測定の廃止も含まれており、2015年度を最後に学校での身体測定から姿を消しました。約80年も続けられてきた座高測定ですが、その終わりはあまりにも静かなものでした。
マイナーチェンジをしている身体測定
座高測定が平成末期に廃止となった一方、新たに加わった項目もあります。昭和世代にとってはなじみのない「運動器検診」と呼ばれるものです。
・背骨が曲がっているか
・腰を曲げたり反らしたりすると痛みがあるか
・腕、脚を動かすと痛みがあるか
・腕、脚の動きに悪いところがあるか
・片脚立ちが5秒以上できるか
・しゃがみ込みができるか
このような検査を家庭で保護者がチェックし、問題のある児童・生徒は学校で詳しく確認されます。早期に側わん症の発見と治療へ移行することはもちろんのこと、児童・生徒の運動器機能をチェックする意味合いもあります。

外遊びの機会が減少し、運動器(全身の骨格、筋肉、関節、腱、靭帯)の機能が十分でない児童・生徒が問題視されています。
昭和世代からすると驚くような項目ばかりですが、これも現在の児童・生徒には必要な検査なのです。また運動器の検診を通じて、児童・生徒や保護者に日頃の姿勢や習慣を考えるきっかけにもなっています。
検査に引っかかれば専門医に見てもらう必要があり、場合によっては治療しなければなりません。ある意味牧歌的だった座高測定に比べて、何とヘビーな項目でしょうか。
身体測定や健康診断は一見、昭和時代とあまり変わり映えのないように見えますが、実は時代に合わせてマイナーチェンジしているのです。
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