「1カ月じゃ全然足りなかった」――男性育休の期間を“仕事の都合”で決めたパパの気づきとは
- マイナビウーマン |

育児休業を経験し、子育てに奮闘している当人の声を聞いていくインタビュー連載・「男性育休取ったらどうなった?」。今回は子どもが生まれて1カ月の育休を取得したパパにインタビューをしました!

パパが1カ月の育休を取得した渡辺ファミリー

今回のパパ
渡辺 剛(わたなべ ごう)さん/45歳/SB C&S コーポレート管理統括 広報・リスクマネジメント統括部 広報室
●ご家族
妻:希美(のぞみ)さん/44歳/会社員
長音:奏斗(かなと)くん/1歳7カ月
※ご家族の名前は仮名です。
●渡辺家のパパ育休
2024年1月に第一子となる長男が誕生。出産直後から1カ月の育休を取得した。SB C&Sでスマート家電やスマホアクセサリーなどの商品広報の仕事を担当している。今年の4月、奏斗くんが1歳児クラスに入園し、妻の希美さんも復職。渡辺さん自身は週3日ほどの在宅勤務をしながら、仕事と子育ての両立に奮闘中。
渡辺さんのある平日(現在)のスケジュール

■育休が1カ月ではまったく足りないと痛感!
――渡辺さんが育休を取ろうと思われたきっかけを教えてください。
渡辺さん ここ数年で男性の育休取得が一般的になってきて、会社でも取得を推進する動きがあり、昨年の男性育休取得率は100%だったんです。せっかくなら自分も経験してみようと、自然な流れで育休を取ることに決めました。会社のムード的に育休を取ることは歓迎されていましたし、上司に相談するときも不安はなかったですね。「遠慮なく育休に入ってください」と快く背中を押してもらいました。
――育休の期間を「1カ月」にされたのは、どんな理由からですか?
渡辺さん 正直に言うと、仕事の都合です。1カ月くらいなら職場に迷惑をかけずに済むだろうと考えました。ただ、振り返ってみると、期間に関してはもう少し考えるべきだったと反省しています。
――というのは?
渡辺さん 育休の期間を決めるとき、僕が考えていたのは“仕事への影響”ばかりでした。出産後の女性が「どのくらいの助けが必要で、だからこのくらいの育休を取得する」という、本来あるべき視点を、まったく持てていなかったんです。
出産した女性は、よく「全治数カ月の大怪我を負った状態」と例えられますよね。そのうえ、生まれたばかりの赤ちゃんは、言い方は少し大げさかもしれませんが、「いつ息が止まるかもわからない」ような、繊細な命です。
そんな「全治数カ月の怪我を負った女性」に「デリケートな新生児」を任せて、自分は仕事に行く――冷静に考えたら、大変なことをお願いしているな、と……。皮肉な話ですが、育休を取って得たいちばんの収穫は、「1か月じゃまったく足りない」ことに気づけたことでしたね。

「息子が大好きな新幹線(つばさ)。これまで宇宙語を話していたのに最近は『でんしゃ!』や『トラック!』などの言葉を話すようになってきました」(渡辺さん)
■深夜の授乳は朝ドラの録画をお供に…
――育休中に特に大変だったことはどんなことですか?
渡辺さん 生まれてすぐ、24時間付きっきりで見守り、3時間ごとに授乳をすることが最も大変でした。
――新生児は深夜も授乳が必要ですが、渡辺さんも担当されていましたか?
渡辺さん していました。授乳は妻と交代制で、まず夜は僕が起きてミルクをあげて、深夜に妻にバトンタッチする流れででした。正直、眠くて辛かったです。
でもちょうどその頃、夜中の授乳のタイミングで何気なくテレビをつけたら、NHKの朝ドラ『虎に翼』の1週目ダイジェストが流れていたんです。息子にミルクをあげながら何となく見ていたら、思いのほか面白くて。それからは録画して、夜中の授乳時間に見るのを楽しみにしていました。
もちろん、部屋の明かりを落として、音も小さくして、赤ちゃんの眠りを邪魔しないように気をつけながら……。この朝ドラの15分があったおかげで、睡眠不足の毎日を頑張れた気がしています。
――日々の小さな楽しみを見つけながら過ごされたんですね。お子さんは比較的すぐ眠ってくれるタイプでしたか?
渡辺さん そうでもなかったです。なかなか寝てくれないことも多くて、ずっと抱っこしていました。首もすわっていない時期だったので、抱くのも最初は怖くて大変でしたね。授乳のときも怖々という感じでした。
個人的に家にあって本当に助かったと思っているのが、授乳クッションです。自分のおなかの前につけて、その上に赤ちゃんを乗せられるので、妻が妊娠中に調べて用意してくれていたんですが、実際に使ってみたら本当に便利。赤ちゃんの重さをしっかり支えられて、腕や肩の負担も少なくなりました。あれがなかったら、新生児期は乗り越えられなかったかもしれません。

「新生児の頃は授乳クッションが大活躍!」(渡辺さん)
■料理の献立はChatGPTを頼り、買い物はネットスーパーで
――現在はパートナーの希美さんもお仕事に復帰されているとのことですが、家事や育児の分担はどのようにされていますか?
渡辺さん 料理は僕の担当で、洗濯は妻、買い物と掃除はそのときどきでできる方がやることが多いですね。
――その分担は話し合いで決められたんですか?
渡辺さん はい。妻の職場復帰前から話していましたが、復帰後はより明確に役割分担を決めました。
ただ、僕ももともと掃除や洗濯、料理など家事はひと通りできるので、「(妻が担当の)洗濯をやっておくね」なんて日もありますよ。それに話し合いも「これをやってよ!」とか「ここはこういう分担だから!」みたいな膝をつき合わせての交渉ではなくて(笑)、あくまで普段の会話の延長で「じゃあこうしていこうか」と前向きな感じです。
――渡辺さんは料理担当とのことですが、どんなメニューを作られているんですか?
渡辺さん 本当に普通のものです。魚を焼いたり、カレーを作ったり、夏はそうめん、冬は鍋。最近はChatGPTに相談することも多いです。
息子の離乳食は別で用意しているので、「大人2人分、1週間の献立を考えて」と頼むと、メニューから買い物リストまで一気に出してくれる。さすがですね。非常に便利です。
――買い物はどうされていますか?
渡辺さん ほとんどネットスーパーを利用しています。もともと家の近くにスーパーが少なくて、産前から活用していました。
離乳食も便利な市販品を活用しています。最初は本を見ながら手作りしていたんですが、やっぱり大変で……。信頼できる大手のメーカーさんが月齢別にラインナップを豊富に出してくれているので、「無理せず、使えるものはどんどん使おう」と夫婦で話しています。

「新生児の頃は首がすわっておらず、ふにゃふにゃ。お世話をするのに気を使いました」(渡辺さん)
■子どもが生まれて、妻とは戦友のように
――お子さんが誕生して、夫婦の関係に変化はありましたか?
渡辺さん 変わりましたね。今は“必死に子育てに立ち向かうべく、タッグを組んだ戦友”という感じの気持ちでいます。もともと僕たちは、結婚してから子どもが生まれるまで少し時間があって、その間は夫婦で出かけることが多くて。お互いに音楽を聴いたり観劇したりするのが趣味なので、劇団四季などの公演にもよく出向いていました。
ただ、今はまだ子どもが1歳なので、そういった場所に共に行くのはやはり難しく、一旦封印状態! 少し寂しい気持ちはありますが、今はお互いに子育てを頑張る時期だと考えています。
――お子さんは1歳7カ月とのことですが、イヤイヤ期はそろそろですか?
渡辺さん はい。兆候が出始めています。保育園から帰るときに、「まっすぐ帰りたくない」「こっちに行きたい」と意思表示をするようになりました。
うちはたまたま、保育園がマンションの隣のビルにあるので本当に助かる立地なんですが、息子としては“まだ遊び足りない”“もっと歩きたい”という気持ちがあるのかな。家とは逆方向に行きたがるので、仕方なく少しつき合うこともあります。でも、それも成長の証なんですよね。これからますます自己主張が増えていくんだろうなと思います。
――自分で動けるようになって、まさに“歩きたい盛り”なんですね。
渡辺さん 本当に目が離せません。平日は保育園で先生方に助けてもらえますが、土日は僕たち夫婦の2人きり。できるだけ外で遊ばせてあげたいので、そうするようにしていますが、正直なところ、平日よりもハード(笑)。夫婦で「これ、本当に休日なのかな?」なんて言いながら過ごしています。

「共通の趣味が多い私たち夫婦。ディズニーも夫婦ともに大好きです!」(渡辺さん)
■育児は見えている部分だけではない
――復帰後の子育てはいかがでしたか?
渡辺さん 当時は妻から特に不安を口にされることはなかったのですが、今振り返ると、もっとフォローが必要だったなと感じます。 自分なりにサポートしていたつもりではあるんです。でも、心のどこかに「自分には仕事があるから」という意識があって、その気持ちが行動の端々に出てしまっていたようです。
男性育休を取ったし、授乳もおむつ替えもしている――それで当時は十分な気がしていて。だけど本当に必要だったのは「サポートはこれで足りているか」「妻の負担をちゃんと減らせているか」「子どものためになっているのか」という視点を、常に持ち続けることでした。
そもそも育児って“見える部分”だけじゃないんですよね。たとえばおむつ替えをするにも紙おむつのストックが必要だし、授乳をするにも粉ミルクが必要。その“在庫管理”のような細かな段取りは、ほとんど妻が担っていて、 僕が担当していたのは、いわば表に見える育児のほんの一部だったんです。本当に妻には頭が上がりません。
――日々の育児や希美さんとの関わりの中で、気づかされることが多かったんですね。
渡辺さん そうですね。たとえば予防接種の付き添いもそうです。少し恥ずかしい話なんですが、当時は「予防接種に付き添う父親なんて少ないだろう」と思い込んでいたんです。ところが実際に行ってみると、パパが1人で子どもを連れてきている家庭がたくさんあって、「あ、これが今の普通なんだ」と気づかされました。
――これから育休取得を検討している方にお伝えしたいことはありますか?
渡辺さん ぜひ「出産直後のパートナーがどのくらい助けを必要としているのか」を夫婦で想像した上で、「だからこのくらい育休を取ろう」と考えてもらえたら、いいと思いますね。また同時に世の中のもっと多くの人が、産後の女性の体の状態や育児の大変さを理解して、育休期間を“仕事の都合”ではなく“家族の暮らし”を基準に考えられる社会になってほしいと思います。
(取材・文:江原めぐみ、イラスト:ぺぷり)
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