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日本で復活なるか「カワサキ最小のZ」とは何だったのか? ホンダのライバル登場で2系統に進化

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新ジャンルにいち早く目を付けたカワサキ

 オン・オフどちらでも走れる「デュアルパーパス」バイクをベースに、オンロード寄りの構造を持たせたバイクが「モタード」です。まだモタードがジャンルとして確立されていなかった1980年代後半、ミニバイクの世界に後のモタードに相当するモデルをいち早く投入したのがカワサキでした。

Large figure1 gallery301980年代から続くカワサキの「ミニモタード」の歴史は、この先どうなるのだろうか(画像:カワサキ)

 この系譜を汲むカワサキ車は、日本では「Z125プロ」の2021年モデルが最後となっていますが、アメリカやヨーロッパでは今年、最新モデルとなる「Z125プロ」と「Z125」が登場しています。カワサキがこれまでリリースしてきた歴代モデルを振り返りつつ、同社のモタードの今後について考察します。

 モタードのルーツは、1970年代後半にアメリカで始まった「ザ・スーパーバイカーズ」というレースです。このレースはロード、モトクロス、ダートトラックのそれぞれの競技で活躍していたライダーたちが、舗装路と未舗装路が入り混じるコースで速さを競い合うという、いわば“異種格闘技戦”といえるものでした。

 実際のレースでは、モトクロスやダート出身のライダーの多くが、車体が軽く加速力に優れるモトクロス用のバイクを採用。これに、舗装路でもパワーが活かせる小径タイヤを履かせて出場するのが定番のマシンスタイルとなり、次第に新たなバイクのジャンルとしても注目を集めていきました。

 アメリカでのレースは1980年代にいったん人気が下火となりましたが、ヨーロッパより招待されたライダーたちが、後にこのレースを母国へと持ち帰ると、1990年代にはフランスで人気に火が付き、大ブームに。同国での競技名にはフランス語で「バイク乗り」を意味する「モタード」が採用され、「スーパーモタード」シリーズとして定着していきました。

 この「モタード」という名称がまだなかった1987(昭和62)年、カワサキはいち早く「ザ・スーパーバイカーズ」仕様のミニバイクを発売します。それが排気量50ccの「KS-I」と、80ccの「KS-II」です。

 これら2モデルは、中型のモトクロスをそのままスケールダウンしたような外観に、10インチの小径タイヤを装着。翌年に発売されたヤマハ「TDR50」「TDR80」と人気を二分しつつ、日本のバイクシーンに新しい風を吹き込みました。

「打倒グロム」に挑んだZ125シリーズ

 1990(平成2)年には、KSシリーズの進化系モデルとなる「KSR-I」(50cc)と「KSR-II」(80cc)がデビューしました。KSR-I/IIは、ライバルであるヤマハTDR50/80を凌駕する仕上がりを持ち、このジャンルを牽引するモデルに成長しました。

Large figure2 gallery312007年モデルの「KSR110」(画像:カワサキ)

 結果、KSR-Iは2000(平成12)年まで、KSR-IIは翌2001(平成13)年まで生産されるロングセラーモデルに。いずれも生産終了となった理由は、カワサキが排ガス規制の強化にあわせて2ストロークエンジンを全廃したためであり、当時は惜しむ声も多くありました。

 しかし数年後には、タイの現地法人から4ストロークエンジン搭載の後継車種「KSR110」が登場。カワサキはこれを正規輸入して販売し、コアなモタードファンから支持を集めました。ただし、こちらも後の新たな排気ガス規制に適合できず、2009(平成21)年に日本での正規販売を終了しています。

 一方、KSR110の生産はタイでは継続され、さらに進化していきましたが、2013年には車格もコンセプトも見た目もよく似たホンダ「グロム」が発売されます。日本はもちろん、世界中でグロムが注目を浴びるなか、カワサキのタイ現地法人は2015年、KSR110の全面刷新モデルとなる新シリーズの「Z125」(遠心クラッチ仕様)、「Z125プロ」(ハンドマニュアルクラッチ仕様)を同国で発売しました。

 このうちZ125プロは、翌2016(平成28)年から日本でも正規販売がスタート。KSR時代からのファンはもちろん、新しい世代のファン層からも支持を集めました。「KSR」の名をあえて廃してヒットモデル「Z」のネーミングを冠し、また外観もZシリーズを思わせるスタイルとしたところに、カワサキの「絶対にグロムには負けない」という強い思いを感じたのは、筆者(松田義人:ライター・編集者)だけでしょうか。

 ところが結果的に、Z125プロはグロムほどの販売成績を収めるには至らず、2021年モデルをもってタイ仕様ともども生産終了となりました。

独自の進化を遂げた「2タイプのZ125」

 その一方、Z125シリーズは海外で大きな支持を集めています。特にアメリカでは根強い人気を誇り、ことし2026年にもこれまでのコンセプトを継承したZ125プロの最新モデルが登場しています。残念なことに現状日本には導入されていませんが、それでも海の向こうで進化を遂げていることに、ファンは胸を撫で下ろしているでしょう。

Large figure3 gallery322021年モデルのZ125プロ(パールナイトシェードティール)。本モデルが日本・タイでの最終モデルとなった(画像:カワサキ)

 他方、ヨーロッパでも2019年からZ125(プロではないほう)が販売されていますが、こちらはアメリカ仕様のZ125プロとは、車格もコンセプトも見た目もまるで違うモデルです。

 ヨーロッパ仕様のZ125は、250ccクラスと同等のフルサイズであり、変速機は6速マニュアル、タイヤ・ホイールも17インチを装備しています。どちらかと言えばZ125プロではなく、より大排気量であるZシリーズに近いスタイリングで、1980年代から続く同社のミニモタードの系譜とは一線を画しています。

 いわばアメリカにおけるZ125プロと、ヨーロッパにおけるZ125は、それぞれまるで違う独自のモデルへと発展したというわけです。

 この先、両モデルはどのように進化していくのでしょうか。筆者としては、フルサイズならではの素晴らしいスポーツ性能を持つ、ヨーロッパ向けのZ125の良さも捨てがたいですが、やはりアメリカ向けのZ125プロのほうに、いっそうの進化を期待してしまいます。その理由はもちろん、カワサキが切り拓いた「ミニモタード」というジャンルの精神性を、後者の方がより強く受け継いでいるからです。

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