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賛否が分かれる「角目カブ」そんなにダサいか…? 今こそ称えたい「原付史上ナンバーワン」スーパーカブ

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  • 乗りものニュース
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「角目」は“原付界の燃費王”だった!

 2025年10月末、ホンダは同年11月からの「新基準原付」への移行に伴い、従来の原付一種モデルである50ccの「スーパーカブ50」の生産を終了しました。ビジネスモデルやゲタ車、そして遊びのバイクとして支持され続けているスーパーカブですが、その67年間の歴史のなかには、今なお忘れられない個性的なモデルも存在します。

Large figure1 gallery11初代“角目カブ”であるスーパーカブ50スーパーデラックス(画像:ホンダ)

 その筆頭格と言えるのが、いわゆる“角目カブ”でしょう。スーパーカブの特徴である丸型のヘッドライトとウインカーを角型ランプに置き換え、さらにデザインも全体的にカクカクだった角目カブは、ファンの間でも賛否が分かれる個性派カブです。

 古くから燃費の良さが売りだったスーパーカブは、1981年から新しい「エコノパワーエンジン」を搭載するなど、1980年代に入ってから燃費性能の向上に注力していました。翌1982年にはシリーズ全体でのマイナーチェンジが行われ、50ccのレギュラーモデルは定地燃費を130km/Lまで伸ばしつつ、最高出力も4.7psにアップしました。

 そして、このマイナーチェンジに併せて登場したのが、角目や直線基調のデザイン、大型メーターなどを持つ上位機種のスーパーカブ50「スーパーデラックス」です。スーパーデラックスは50ccながら最高出力5.5psを発揮し、定地燃費は150km/Lをマーク。また、変速機はレギュラーモデルの3段変速に対し、4速ミッションを採用しており、従来のスーパーカブの上をいく1台に仕上がっていました。

 さらに、スーパーカブは翌1983年にも改良を受け、スーパーデラックスは「スーパーカスタム」へと名前を変えつつ進化します。最高出力こそレギュラーモデルと同じ5psに統一されましたが、定地燃費はなんと180km/Lに到達。この驚異的な燃費は歴代最高記録であり、以降も破られていません。

 つまり、50ccで史上最も低燃費なバイクがスーパーカブ50スーパーカスタムであり、その称号は「角目ライト」とイコールなのです。

2012年には「オール角目」に!

 角目カブは1986年の改良で2回目の名称変更を受け、モデル名からスーパーが取れて「カスタム」へと改められます。また、1988年にはスーパーカブの30周年を記念した特別仕様車が設定されたほか、1989年にはシリーズ最大の排気量を持ち、“タイカブ”とも呼ばれるタイ仕様の角目モデル「カブ100EX」も逆輸入されました。

Large figure2 gallery121982年のスーパーカブ50スーパーデラックスにはモンツァレッドに全身をまとったレアモデル、通称「赤カブ」も存在(画像:ホンダ)

 しかし、角目カブは低燃費でバリエーションも充実していたにもかかわらず、人気は今ひとつ盛り上がりませんでした。カブファンの多くは、「伝統的なデザイン」を重んじる傾向があり、生まれ変わったかのような「角目デザイン」に拒否反応を示す人も少なくなかったようです。

 それでもホンダは「角目カブ」を諦めず、細やかな改良を行いながら生産を続けました。1993年の改良では燃費が数値上で160km/Lにダウンしましたが、それでもシリーズで最も低燃費なモデルという称号は維持し続けました。

 そして、角目カブの初登場からちょうど30年が経った2012年、スーパーカブ50が「ニューベーシックカブ」を開発コンセプトに掲げ、フルモデルチェンジを果たします。この新型モデルは驚くことに、まるで“角目カブと丸目カブの中間”のようなデザインになっていたのです。

 言わば、シリーズ全体が角目カブの側へと近づいた結果になったのですが、生産が中国に移管されたこともあり、ユーザーからは否定的な意見も集まりました。この影響もあってか、スーパーカブ50は2017年のマイナーチェンジで再び丸目のデザインに。こうして、角目カブはラインナップから姿を消しました。

 筆者は30年以上にわたる角目カブの歴史について、「なんとしても『角目カブ』を浸透させたい!」と願ったホンダと、「こんなのカブじゃない!」とばかりに抵抗感を抱き続けたユーザー側との“攻防戦”だったようにも感じています。

 その一方、一部のファンの間では「むしろ『角目カブ』じゃなくちゃ」という向きもあり、特にカスタムベースとして重宝されるケースも少なくないようです。筆者も個人的には「角目カブ」擁護派で、次に乗るなら絶対「角目カブ」が良いと考えています。パワフルで低燃費なエンジンと“ダサカッコいい”ルックスを持つ角目カブもまた、スーパーカブとして意義深いモデルと言えるでしょう。

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