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「魅力度ランキング」44位の群馬県、山本知事が批判 損害あれば調査元の責任問える?

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  • 2021年10月18日
群馬県の代表的な観光地・草津温泉(草津町)
群馬県の代表的な観光地・草津温泉(草津町)

 民間シンクタンク、ブランド総合研究所(東京都港区)は10月9日、2021年の「都道府県魅力度ランキング」を発表しました。草津温泉などで有名な群馬県は44位(前年40位)でしたが、この結果について、山本一太知事は10月12日の記者会見で、「県民を侮辱している」「根拠不明確なランキングによって、県に魅力がないという誤った認識が広まる」「観光業など経済的な損害につながる」などと批判、法的措置も含めた検討を始めたことを明らかにし、ネット上では波紋が広がっています。

 このようなランキングなどの調査結果で自治体や企業が何らかの損害を受けた場合、調査元の企業や団体は法的責任を問われるのでしょうか。佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士に聞きました。

「ランキング」の公共性

Q.「都道府県魅力度ランキング」などの調査結果で自治体や企業が何らかの損害を受けた場合、調査元の企業や団体などの法的責任を問うことは可能なのでしょうか。

佐藤さん「理論的には可能ですが、実際に裁判に発展したり、法的責任が認められたりするケースは少ないでしょう。ランキングの公表によって、自治体や企業が何らかの損害を受けるとすれば、下位にランク付けされたことにより、社会的評価が低下したからだと考えられます。そのため、名誉毀損(きそん)を理由に、不法行為に基づく損害賠償請求などをする方法があります。

しかし、一定の社会的評価の低下が認められたとしても、違法とは認められないことが多いです。確かに『名誉』(社会的評価)も大切ですが、一方で、私たちには『表現の自由』が憲法で保障されているからです。ランキングは、調査結果を踏まえ、独自の視点から順位付けするもので、意見や論評の一つであり、自由に公表(表現)できるのが原則です。

そのため、公共性、公益目的が認められ、きちんとした根拠に基づき、順位付けされたランキングであれば、ランキング下位の自治体や企業を挑発するなど、意見や論評の範囲を逸脱しない限り、違法ではありませんし、損害賠償請求は認められません」

Q.群馬県の山本一太知事は法的措置も検討しているようで、今後、魅力度ランキングの調査元である、ブランド総合研究所に対して訴訟を起こす可能性があります。訴訟に発展した場合の争点は。

佐藤さん「これまでの報道によると、群馬県側は『(法的措置について)あくまで、手段の一つとして検討しており、具体的な方向までは決まっていない』ということなので、実際に訴訟を提起するかどうかは、弁護士と相談の上、勝訴の見込みなどを検討しながら、決めていくと思います。

仮に訴訟を提起するのであれば、先述のように、名誉毀損を理由に、不法行為に基づく損害賠償請求をするのではないでしょうか。山本知事は『(ランキングによって)観光業など経済的な損害につながる』『県民の誇りを低下させる』といった発言をしているので、経済的損害や目に見えない損害(イメージ低下など)について、ブランド総合研究所に賠償請求することになると思います。

訴訟となれば、(1)都道府県魅力度ランキングで下位に順位付けられることが自治体の社会的評価を低下させているといえるのか(2)都道府県魅力度ランキングはきちんとした根拠に基づき、順位付けされているか――などの点が裁判で争われることになるでしょう。

都道府県魅力度ランキングについては、下位に順位付けられた自治体をメディアが取り上げることがかえって、魅力のアピールにつながるケースもあり、社会的評価の低下といえるのかどうか疑問もあります。また、今年の群馬県がそうであるように、ランキングの順位自体は下がっても、前年に比べて点数が上がったケースもあります。この場合、群馬県単体で見ると、魅力度が上がったことが示されているので、そうした点からも名誉毀損に当たらない可能性があります。

また、ブランド総合研究所のホームページによると、『地域ブランド調査』は全国3万人を調査対象に、全89項目で各地域の現状を多角的に分析するものであり、回答者も年代や性別、居住地に偏りがないよう調整しながら実施しているようです。合理的な調査に基づき、一定のルールに従って、都道府県をランク付けしていると認められれば、違法性がなく、損害賠償請求は認められません」

Q.ちなみに、山本知事が「法的措置も検討する」と表明したことは、ブランド総合研究所に対する脅しとも受け取れます。県知事のような影響力のある人物が民間企業を脅すような言動をした場合、法的責任を問われないのでしょうか。

佐藤さん「地方自治体は『権力の主体』であって、『裁判を受ける権利』を憲法で直接保障されているわけではないと考えられています。しかし、国や自治体も公権力の行使と関係のないところであれば、名誉権などの『権利の主体』になり得ますし、裁判によって、自らの権利を主張する余地はあるでしょう。そのような考え方によれば、知事が『法的措置を検討する』と表明したのは正当な権利行使の可能性を伝えただけであり、それだけで法的責任を問われることはありません。

ただし、『権力の主体』でもある自治体が民間企業の表現内容が問題だとして、訴訟を提起する可能性を表明すれば、そうした事態を恐れて、名指しされた企業が萎縮し、十分な表現活動ができなくなってしまう恐れもあります。自治体はそうしたリスクを考慮し、国民の『表現の自由』に十分配慮した対応が求められていると思います」

Q.調査会社や自治体などが発表した調査結果が原因で、裁判に発展した事例について教えてください。

佐藤さん「リフォーム事業者をランク付けしたサイトで最下位と位置付けられた事業者が名誉を傷つけられたとして、サイト管理者のIPアドレスなどの情報開示を求め、裁判を起こしたケースがあります。裁判では『ランキングが真実であることを裏付ける証拠がなく、権利侵害は明白』と認められ、情報開示が命じられました。

また、自社で作った口コミサイトでランキングを操作して、自社を1位にしていたとして、同業者が裁判を起こしたケースもあります。裁判では、架空の口コミを行い、自社の順位を恣意(しい)的に1位にしたことが不正競争防止法違反と認められました。

いずれにせよ、ランキングで下位に位置付けられたことにより、訴訟に発展するケースは、何の調査もせず、恣意的に自己に有利なランキングを作ったり、競合他社の評判をあえて下げたりするような場合が多いといえるでしょう」

オトナンサー編集部

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