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「言われたこと」しかせず、気が利かない部下...どう育てる?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE 12】(前川孝雄)

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部下を導くにはどうしたら?(写真はイメージ)
部下を導くにはどうしたら?(写真はイメージ)

「前川孝雄の『上司力(R)』トレーニング~ケーススタディで考える現場マネジメントのコツ」では、現場で起こるさまざまなケースを取り上げながら、「上司力を鍛える」テクニック、スキルについて解説していきます。

今回の「CASE 12」では、「言われたこと」しかせず、気が利かない部下のケースを取り上げます。

「これ、何のための仕事ですか?」

【上司(課長)】Bさ~ん。この資料、20部ずつコピーしてくれないかな?
【部下】あっ、...はい。20部ですね...。
【上司】宜しく頼むよ~。
【部下】課長、終わりました。出来上がったコピーは、デスクに置いておきますので。
【上司】あれっ? 5種類の資料だから、気を利かして20セット組んでおいてくれればよかったのにな?。それに、この図表の資料は数字と文字が小さいな。読みにくいので、拡大コピーに差し替えてくれないか...。
【部下】えっ?...そうですか...。でも、これからお客様の所へ伺うお約束です。帰ってからやり直しますから...。
【上司】あ~。ちょっと急ぐんだよな~。
【部下】え、そうだったんですか?
【上司】午前中に、大事な会議が入っているんだよ~。弱ったな~。
【部下】はあ?(...はじめから、そう言ってくれれば、やりようもあったのに!)

なぜ、上司は「気が利かない部下」に悩むのか?

部下は上司の指示通りにコピーを取りましたが、気が利かないと言われてしまいました。これでは士気も下がる一方ですね。この掛け違いは、どうすれば防げるのでしょうか?

結論を先に言うと、部下には、「作業」ではなく「仕事」を任せることです。「?」と思った人も多いでしょうから、順を追って説明しましょう。

私が営む会社が開講する「上司力(R)研修」を受講する上司の皆さんに、「チーム運営での悩みは何ですか?」と尋ねると、多くの方が部下に対する不満を口にします。

「部下が指示待ちで、自分から動かない」
「上司が頼んだことしかやろうとしない」
「自分の頭で考えて欲しいのに、判断はすべて上司に聞いてくる」

などなど...。しかし、こうした悩みを語る上司のマネジメントの状況を詳しく聞くと、多くが部下に「仕事」を任せず「作業」ばかりをやらせているのです。

上司が「これをやれ。あれをやれ」と指示するだけでは、部下はそのとおりにするしかありません。仕事の目的の理解や、効果的に行うための創意工夫の余地がないのです。

結局、部下は上司の言うがままに「作業」を終えて上司に報告するしかありません。

そこで上司に不服そうな顔をされると、もともと高くなかったモチベーションですら、さらに下がってしまう。反対に、気を利かせて指示以上のことをして、一度でも「余計なことをするな」「そんな指示したつもりはない」などと叱責されようものなら、「もう指示以外のことはやらない」と心を閉ざしてしまう...。

上司と部下の間では、こうした負のサイクルが生じがちなのです。

「作業」ではなく「仕事」を任せる

みなさんはここで、「仕事」と「作業」を区別して考えられるようになってください。

私がここで言う「仕事」とは、目的に納得しており、工夫する余地があり、その人に任されたもののことをいいます。上司は部下に対して「仕事」を渡し、目的に対してどのように工夫するかを部下自身に任せることを意識的に実行しましょう。

冒頭のケースで考えてみます。この上司は、資料を部下に渡し、「20部ずつコピーして」と頼んだだけです。これは単なる「作業」の指示ですから、部下は言われた通りの作業をこなすだけです。

しかし、もしも「会議室で大事な幹部会議がある。円滑に進むように、参加者20人のために資料を準備してほしいんだ」と頼んだらどうでしょう?

会議場所を教えてもらえば、「事前に会議室の机の上に資料を帳合いして並べておこうか」と考えるかもしれません。幹部会議なら年配者が多いと考え、文字が小さな資料は読みやすく拡大コピーにしようと思うかもしれません。

ただ単に、「20部コピーをとって」と頼まれるのとでは、工夫の余地が違うのです。

ある企業での業務改善エピソード

私が営む会社で実施した、ある大手企業の支店長対象の「『上司力(R)』鍛錬ゼミ」でのエピソードをご紹介しましょう。

ある店舗では、業務用車両の清掃が行き届かないことが長い間、問題になっていました。お客さまに大切な物品を配送するのに、車両が汚れたままでいいはずはありません。

そこで、管理職が手分けして部下が使用する車両の掃除をしたこともあったといいます。しかし、配送を担う社員は、車両の汚れにほとんど関心を持っていませんでした。管理職の方たちが掃除をした時に、参加したのはほんの数名。仕方なく、「毎週○曜日は車両清掃日」とルールを決めて指示を出したものの、ルールを無視して掃除をしない社員も少なくない状況でした。

ゼミでの実践支援の一環で、その支店長に、配送を担う現場の社員とじっくり仕事の目的について話し合うよう促しました。そこでその店舗では、「汚い車両で物品を届けられるお客さまの気持ち」や「車両の清掃・メンテナンスをしっかりすることが交通事故防止につながること」などについて時間をかけて話し合いました。

そうすることで、車両の掃除が大切な理由を、職場の目的に立ち返って確認していったのです。

仕事の目的がしっかり伝わると、部下の行動が変わった!

こうした取り組みを始めて、半年ほどたったある日のこと。大雪が降って車両が泥だらけになってしまった日の翌日、支店長が目にしたのは、車両を一生懸命に掃除するたくさんの社員の姿でした。なんの指示も出していないのに、その日に出勤していた社員のうち、なんと8割近くが自主的に車両を磨いていたとのこと。支店長は、胸が熱くなるのを覚えたといいます。

この事例では、「車両を掃除する」というルールを作って指示をしても行動を変えなかった部下たちが、「掃除という仕事の目的」を理解し納得したことで、自律的に動くようになったのです。指示待ちどころか、何も言わずとも部下を動かすのが「仕事の目的」を伝えることのパワーです。

みなさんもぜひ、チームの仕事の目的をしっかり整理し、部下と共有してください。それを日々繰り返すことがチームのやる気を高め、いずれチームのパフォーマンスを飛躍させるでしょう。

※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著「本物の上司力~『役割』に徹すればマネジメントはうまくいく」(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の「上司力」』(大和出版)等30冊以上。近刊は『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks、2021年9月)および『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所、2021年11月)。

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