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大人気「NiziU」と『ヒプマイ』に意外な共通点 最新ヒットに欠かせない「2つの法則」とは?

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池袋・渋谷・新宿などが舞台

 登場キャラクターたちがラップでバトルを繰り広げる人気作品『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』(ヒプマイ)。

 作中歌などを収めたCDアルバム『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 2nd D.R.B「Fling Posse VS MAD TRIGGER CREW」』が、発売初週に9.9万枚を売り上げ、2021年3月30日(火)に発表された「オリコン週間アルバムランキング」で初登場1位を獲得しました。

人気拡大中の「ヒプノシスマイク」。作家チームFuture Unisonが新曲制作に加わるなど、本格的な楽曲も魅力のひとつ(画像:(C)EVIL LINE RECORDS/相羽紀行・講談社、United Future Creators)

 SNSアプリを運営するLINE(新宿区新宿)のLINEリサーチが発表した「57万人が選ぶ2020年の男性人気アイドルグループ」男女年代別ランキングでは、「ヒプノシスマイク」が女性10代部門で嵐に次ぐ2位。

 男性10代部門でも関ジャニ∞と同率5位、女性20代・男性20代部門でもそれぞれ10位以内にランクインするなど、ヒプマイは性別を問わず若い世代を中心に人気を誇っています。

 そもそもヒプノシスマイクとは何かを説明すると、キングレコード(文京区音羽)内レーベル「EVIL LINE RECORDS」が手がける“音楽原作キャラクターラッププロジェクト”。

 人気声優18人が、イケブクロ・シブヤ・シンジュクといった東京の地名と、ヨコハマ・オオサカ・ナゴヤの3つの地名がついたディビジョン(区画)を拠点とするチームに所属する、個性豊かなキャラクターに扮しています。

 作中のラップバトルを彩る楽曲は、名だたるアーティストたち(Zeebraやゴールデンボンバー鬼龍院翔など)が手がけています。

 このプロジェクトは2017年9月に始動。2021年4月現在、「2nd Division Rap Battle」の真っただ中です。

「第3次世界大戦」以降の世界を描く

「第3次世界大戦」以降の世界を描く

 舞台となるのは、武力による戦争が根絶された後の世界。第3次世界大戦により世界が人口の3分の1を失ってもなお争いをやめなかった男たちに代わって、西暦最後の年に女性たちが立ち上がり、既存の世界が終わりを迎えます。

 そして訪れた“H歴”、東方天乙統女(とうほうてんおとめ)を党首とした「言の葉党」による政治が執り行われるようになり、男性は中王区以外のディビジョンで暮らすことに。

 さらに、言の葉党が定めたH法案により、人の精神に干渉する特殊なマイク「ヒプノシスマイク」を使って各ディビジョン代表のMCグループがラップバトルを行い、そこで勝ったディビジョンは他の領土を獲得できるという制度が成立しました。

 その中でも圧倒的な力を誇る各ディビジョン代表のMCグループが「Buster Bros!!!」や「Fling Posse」といったチームなのです。

人気カラオケ「ビッグエコー」が2021年4月15日(木)からコラボルームを展開するなど、話題に事欠かないヒプマイ(画像:第一興商)

 ヒプマイの魅力は本格的なラップ曲はもちろんのこと、何よりもキャラクターたちが個性的で、それぞれが複雑な過去を抱えている点にあります。

 例えば、イケブクロ「Buster Bros!!!」のメンバーは長男の山田一郎、次男の二郎、三男の三郎で構成された兄弟チームで、両親不在の中でお客さんのあらゆる要望に応える「萬屋ヤマダ」を経営。

「MAD TRIGGER CREW」はヨコハマ界隈を牛耳る火貂(かてん)組の若頭・碧棺左馬刻(あおひつぎさまとき)をリーダーに、ヨコハマ署・組織犯罪対策部の巡査部長でありながら暴行、収賄、横領、ゆすり、たかりなどの悪事を働く入間銃兎(いるまじゅうと)、父がアメリカ人・母が日本人のハーフで元軍人の毒島メイソン理鶯(ぶすじまめいそんりおう)が活躍する、大人の魅力あふれるチームです。

キャラたちが抱える過去の「トラウマ」

キャラたちが抱える過去の「トラウマ」

 面白いのは、ラップバトルの制度が領土獲得を目的に作られたにもかかわらず、18人のキャラクターは誰かを守るため、救うため、またはある真実にたどり着くため勝利にこだわっているということ。

 皆トラウマや傷を心に負っており、それらのエピソードは、これまで発売されてきたCDに収録された“ドラマパート”や、2019年からさまざまな雑誌でスタートした連載で少しずつ明らかになってきました。

 だからこそファンは、ひとりひとりのキャラクターに感情移入し、応援したくなるのでしょう。

 ラップバトルの結果は、主にバトルCDに封入された投票券によるファン投票で決定します。進行中の「2nd Division Rap Battle」も、SNS上などでは“推しグループ”を優勝させるために何枚もCDを購入した写真を投稿しているファンを多く見かけました。

近年ヒット作の共通点ふたつ

 近年、大きなムーブメントを起こす作品は「キャラクターの多さ」と「設定の作り込み」という点で共通しているのではないでしょか。

 例えば日本の名刀を男性キャラクターに擬人化した『刀剣乱舞』、個性豊かな劇団員たちを育成するアプリゲーム『A3!』など、女性を中心とした人気を誇るコンテンツは、登場するキャラクターが豊富で、なおかつキャラクターの性格や生い立ち、抱えている悩み、趣味や特技といった細かなところまでしっかりと設定されているのです。

 それゆえ、さまざまな趣味趣向の人が自分好みのキャラクターを見つけることができ、まるで親や友人になったような気持ちで応援してしまいます。

NiziUも多彩な顔ぶれが人気の理由

NiziUも多彩な顔ぶれが人気の理由

 さらに言えば、こうしたヒットの傾向は、アニメベースのジャンル以外にも共通して言えそうです。

 一例として記憶に新しいのが、LINEリサーチによる「2020年流行ったと思うモノ」TOP10にもランクインした9人組ガールズグループNiziU(ニジュー)。

大人気ガールズグループNiziU。2枚めのシングル発売を記念して、全国のHMVで<NiziU × HMV リリース記念キャンペーン>を開催中(画像:ローソンエンタテインメント

 デビューメンバーを決めるためのオーディションの様子を番組として放送・配信し、出演する女性たちの内面の葛藤にまで迫ることで、視聴者の「応援したい」意欲を駆り立てました。

 お姉さん的ポジションや妹キャラなど、多彩な9人がデビューメンバーとして選ばれたことも、幅広いファンを獲得する後押しとなったと言えます。

 ヒプマイの場合は、キャラクターの思いが楽曲にも反映されているうえ、その先に“ラップバトルで優勝する”という明確な目標があるので、キャラに寄せるファンの思いや愛がより深まっていくのです。

 プロジェクト始動から約4年、ヒプマイの市場はどんどんと拡大しています。

 特に2019~2020年には大きな動きがあり、2019年11月にヒプマイを原作とした舞台、通称「ヒプステ」がスタート、2020年3月にはスマートフォン向けアプリゲームがリリース。さらに2020年10月から12月にかけて、原作の要素を入れつつオリジナルストーリーを描いたアニメ版が放送されました。

 2021年はヒプステ初のライブ公演と、池袋にあるLIVEエンターテインメントビルMixalive TOKYO(豊島区東池袋)のコラボレーションイベント開催も予定されています。

ヒプマイの楽しみ方・入門編

ヒプマイの楽しみ方・入門編

 多様なメディアが展開されているため、どこから入っていいか分からないという人もいるでしょう。

 まずはCDを購入したり、サブスクリプションサービスでヒプマイの楽曲を聴いてみたりするというのもひとつの手ですが、世界観を知りたいという人は、動画配信サービスなどでアニメ版を見る、もしくは2020年9月に発売されたオフィシャルブックを読むのがおすすめです。

 ざっくりと世界観とキャラクターの個性を知った後は、CDの発売順に楽曲を聴きつつ、ドラマパートでストーリーへの理解を深め、コミック版でおさらい。

 もっとハマりたい人は、声優たちがステージで楽曲を披露するライブDVDを見たり、人気・実力ともにトップを走る2.5次元俳優たちがキャラクターに扮する再現度の高いヒプステに足を運ぶなど、さまざまな楽しみ方が広がっています。

 今、若い女性を中心にムーブメントを巻き起こしている『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』。ぜひ皆さんも“沼”にハマってみてください。

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