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ブルートレインのクルーを解放した“オール電化”食堂車「ナシ20形」 超繁忙の在りし日々

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  • 乗りものニュース
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旧国鉄のブルートレインこと20系客車は、3等座席車でも冷房を完備し、明るい蛍光灯を備えるなど時代の先端を行き「走るホテル」と呼ばれました。その顔ともいえる食堂車「ナシ20形」のクルーは多忙な日々を送っていたようです。

「走るホテル」と呼ばれるまでに

 京都鉄道博物館には20系特急形客車の食堂車「ナシ20形」が保存されています。20系は最初に「ブルートレイン」と呼ばれた客車です。

 それまでの客車は、列車の目的ごとに編成を組み替えるもので、本格的な寝台特急の嚆矢である「あさかぜ」も急行用車両の寄せ集めでした。しかし20系は「固定編成」であり、ディーゼル発電機を備えた電源車から、十分な電力供給が行われるのが特徴でした。それまでの客車は多くが、車軸の回転で発電していたので、安定した電力供給が難しかったのです。

Large 220429 fkcym 01交通科学博物館時代のナシ20形食堂車(2014年2月、安藤昌季撮影)。

 この問題を解決した20系では、安定した電力供給を背景に全客車へ冷房装置が備えられ、照明は明るい蛍光灯、側窓も固定窓となりました。空気ばね台車、車端ダンパーの設置もあって「揺れず、静かで、冷暖房完備」の設備が大好評となり、「走るホテル」とまで呼ばれました。

 ナシ20形は、そんな「走るホテル」に組み込まれた食堂車です。車両製作は日本車輛(0番台)と日立(50番台)の2社が担当しましたが、インテリアについて日本車輛は高島屋へ、日立はインダストリアルデザイナー・鈴木富久治氏へ、それぞれ依頼しました。

 日立製のナシ20形は現存しませんが、テーブルごとにスポット照明を備え、天井灯は間接照明を採用、椅子は丸みを帯びていました。一方の日本車輛製は、天井に一列の蛍光灯、窓上に半関節照明を備え、暖色系の内装でした。

初めて電気レンジを採用

 前述したように、当時の寝台特急は人気列車でした。ナシ20形は直前に登場したオシ17形と同じく、車体幅を広げて食堂定員を30名から40名に増やしていましたが、それでも列車の発車前から食堂車に行列ができたほど。東京駅を18時30分に出発した列車でも、19時40分くらいまで食事できないほど盛況だったようです。

 行列が日常だったため車端部には待合所が設けられており、2等寝台(現在のA寝台)に匹敵するソファも備わっていました。このソファは夜間には、従業員用の寝台になったようです。

 特に東京発の下り寝台特急では、食堂車は戦場のような忙しさだったそう。とりわけ冬は手間のかかるカキフライなどが続々とオーダーされるものの、当時のフライはラードを融かして油にしていたため、その用意も大変だったようです。あまりの人気に、営業開始前からステーキを20人分焼いておき、後から加熱して提供することも行われていました。

 この調理を支えていたのが、オール電化された厨房でした。それまでの食堂車は石炭レンジなので、点火が大変なだけでなく煙突掃除も必要でしたが、ナシ20形の登場によりクルーはこの重労働から解放されたのです。車内で直火は危険なので、電熱線を介する電気レンジや電気オーブンが備えられました。

 列車が急ブレーキをかけた時は、シェフは火傷するのが当たり前で、材料が飛び出さないように冷蔵庫の扉を抑えたそうです。ウェイトレスは乗客に「お皿を抑えてください」と呼びかけたとのこと。なお、ナシ20形は側窓が大きかったので、厨房内からでも車窓がよく見えたとのことです。

ナシ20形について元シェフはどう感じた?

 1969(昭和44)年より乗務された宇都宮照信シェフは以前、鉄道雑誌のインタビューでナシ20形について以下のように語っています。

「従来型のオシ17形より、走行音が軽いのが印象的でした。食堂長は車内を歩いて、お客様からオーダーを取っていました。ハンバーグやステーキは鉄板で焼き、食器類は銀器でした。朝はバターを、氷を敷き詰めたバターボウルに並べ、テーブルにはフルーツスタンドをセットして、生け花も並べました。食材は帝国ホテルにも納められる一級品でした」

 なお、現役時代は都ホテルと日本食堂が調理を担当していました。

Large 220429 fkcym 02京都鉄道博物館へ移設後の軽食メニュー(現在は新型コロナの影響で提供を中止)(2016年10月、安藤昌季撮影)。

 現在、京都鉄道博物館で保存中のナシ20形24号車は、1970(昭和45)年に日本車輛製造で製作された車両です。20系食堂車として最後に製造されたグループであり、寝台特急「はやぶさ」「あけぼの」で使用されています。なお「あけぼの」の食堂車は1975(昭和50)年に外されており、「はやぶさ」も同時に24系化されていますので、5年間しか使われていないことは、少し気の毒ではあります。

 引退後はまず1980(昭和55)年、大阪の弁天町駅前にあった旧交通科学博物館に保存され、厨房設備を活かして食堂として使われました。筆者(安藤昌季:乗りものライター)も利用しましたが、エビフライが絶品でした。

 その後、ナシ20形24号車は2016(平成28)年、新規開業した京都鉄道博物館に移設され、売店として営業開始。喫茶・軽食サービスも行われていましたが、2022年現在は新型コロナウィルスの影響により、営業を休止しています。画期的な車両だっただけに、筆者はコロナの終息と営業再開を願ってやみません。

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