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昭和の「特急専用3等車」今もフツーに乗れる 座り心地は? 大井川鐡道スハフ43形

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進行方向に向けた2+2列座席――現行のJR特急では一般的な配置ですが、その原初の姿を感じられる車両が大井川鐵道にあります。日本最初の「特急専用3等車」の流れを組む、スハフ43形です。

「2+2列座席」の元祖、特急専用3等車とは

 JR特急列車の普通車は2022年現在、2人掛け座席が進行方向を向く、クロスシートの2+2列配置が主流です。歴史をさかのぼると、特急列車に、現在の普通車に相当する3等車が設けられたのは1923(大正12)年。その2年後の1925(大正14)年に「特急専用3等車」であるスハ28400形が製造され、「進行方向に向けた2+2列座席」が設置されるので、この配置は特急普通車の歴史そのものといえます。

Large 211223 suhaf 01大井川鐵道のスハフ43形。特急「はつかり」時代の青地に白帯の姿(2019年8月、安藤昌季撮影)。

 そのような特急普通車の原点ともいえる車両が大井川鐡道に残っています。スハフ43形です。

 前出のスハ28400形はシートピッチ(前後の座席間隔)800mmで、座席背面には個別のテーブルと灰皿、鋼板製のくずもの入れまで設けられていました。現在のJRの特急普通車は最小でも910mmですから、800mmは一見狭く感じます。しかし、当時の3等車であるスハ32600形(4人向かい合わせ)は1455mmです。スハ28400形を4人向い合せに換算すると1600mm相当のため、10%も専有面積が広がっており、サービスは改善されたといえるでしょう。さらに背もたれには角度が付けられ、モケットの張られた座席は当時の2等車(現在のグリーン車に相当)並みであり、まさに「特急専用」に相応しい車両でした。

 現在のJR特急普通車では、2人掛け座席は回転しますが、これは進行方向が変わった際の配慮でもあります。しかし当時の特急列車は編成ごと方向転換するため、スハ28400形では座席を回転させる必要はないと考えられていました。

 この座席配列はほかの車両にも受け継がれましたが、戦争による中断を挟み1949(昭和24)年に特急が復活すると、3等車は通常の急行と同じ、4人向かい合わせ座席とされました。

京都~博多間 昼行「かもめ」に連結

 翌1950(昭和25)年、特急の2等車が転換式クロスシートからリクライニングシートを備えた「特別2等車」に変更されます。こうなると3等車が著しく見劣りするとされ、1951(昭和26)年より新製投入されたのが「特急専用3等車」スハ44形、スハニ35形、そして今回話題にしているスハフ43形の3形式です。

Large 211223 suhaf 02通路を挟んで2人掛け座席が並ぶ(2019年8月、安藤昌季撮影)。

 先述の通り大井川鐡道で現役のスハフ43形は、編成の最後に連結される車掌室付きの車両で、1953(昭和28)年より、京都~博多間の昼行特急「かもめ」に連結されました。東海道本線の特急「つばめ」「はと」でも使用されたようですが、正規編成ではスハフ43形は連結されないので、多客期の増結で使われたものと思われます。

 スハフ43形は「特急専用3等車」として、多くの特徴を有していました。当時の3等車は直角の背もたれを備えた、4人向い合せ座席でしたが、スハフ43形は背もたれと座布団の角度が105度にとられ、傾斜のあるゆったりとした座席でした。シートピッチは835mmで、スハ28400形よりも拡大されています。また、それまでの3等車は出入り口が1車両2か所でしたが、特急専用ということで1か所にして、その分座席を多く設けています。さらに特急専用車として、後の国鉄特急に引き継がれる飲料水冷水器も設置。台車も2等車並みの防振ゴムを使用して、乗り心地を改善しています。

なぜ国鉄から大井川鐵道へ渡ったのか

 スハフ43形は1958(昭和33)年より、東北本線(常磐線回り)で初となる特急「はつかり」に転用されます。車体は青色に白帯の塗装ですが、大井川鐵道はこの時の姿を再現しています。

 1960(昭和35)年に「はつかり」がキハ81系気動車に置き換えられると、スハフ43形は急行用に格下げされます。その際に近代化改装がなされ、固定式だったクロスシートが回転式に改められています。ただし乗客は操作できず、車庫などで係員が座席を向け直していたようです。

Large 211223 suhaf 03座席背面。新製時にはテーブルと灰皿があった(2019年8月、安藤昌季撮影)。

 そして1975(昭和50)年に四国へ転属。ここでは普通列車用として、座席は回転式から向かい合わせ固定に変更され、テーブルも撤去されます。同時期の旧型客車は1455mmのシートピッチでしたが、スハフ43形は向かい合わせにすると1670mmあり、座席も元特急用なだけあって座り心地に優れたものでしたから、「乗り得車両」だったといえます。

 スハフ43形は1986(昭和61)年に引退後、「日本ナショナルトラスト」が産業文化財保護のため寄付により維持する「トラストトレイン」車両に指定。大井川鐡道に渡り、現在に至ります。筆者(安藤昌季:乗りものライター)はスハフ43形の座席に座ったことがありますが、座り心地自体は現代の特急車両にも劣らない、素晴らしいものでした。

 大井川鐡道は後代の14系客車も導入していますから、スハフ43形がいつまで現役かはわかりません。最後の「特急専用3等車」の座り心地を、現役のうちに体験してもよいでしょう。ただ、「トラストトレイン」での運行時以外はほかの客車と共通運用なので、乗車できるかは運といえます。

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