双子が生まれて3ヶ月、このままでは家庭崩壊してしまう! 夫が突然「育休を取る」と言い出した……それから8年。
- マイナビウーマン |
子育て中の1日は、記憶が飛ぶほど慌ただしい日もあるーー夫婦共働きの家庭において、仕事と家事・育児のバランスは悩みの種ですよね。そこで、パパとママの分担や子育ての工夫など、忙しい毎日を乗り切るコツを実践しているご夫婦に、お話を聞いてきました!
共働き夫婦の1日スケジュールとは?
毎日繰り広げられる分刻みのスケジュールのなか、「こんなに忙しいのは自分たちだけ?」「みんなは毎日をどうのりきっているの?」と疑問を持つママやパパに向けて、共働き夫婦の1日のタイムスケジュールをうかがうこの企画。
第30回となる今回は、大手消費財化学メーカー「花王」で、ともにブランドマネジャーとして働くご夫婦のタイムスケジュールを朝〜日中編・夜編にわたりインタビュー。前編では朝・昼のタイムスケジュールとお仕事についてうかがいました。
取材にご協力いただいた方
▼花王株式会社 ヘアケア第一事業部 ブランドマネジャー 林 裕也さん(43歳)
トータルメンズケアブランド「サクセス」のブランドマネジャーとして、マーケティング業務全般を担う。双子の父親として、妻・麻美さんと協力しながら家庭と仕事を両立している。
▼花王株式会社 ホームケア事業部 ブランドマネジャー 林(青木)麻美さん(42歳)
ホームケアブランド「キュキュット」「ハイター」のブランドマネジャーを務め、マーケティング業務全般を担う。小学校2年生になる男女双子のママ。
(※いずれも部署は取材当時)
朝のタイムスケジュール
■エネルギッシュなパパの1日は朝5時から始まる
――林さんは朝5時に起きて「朝活」をされているそうですね。
林さん 子どもたちが小学校に入ってから、保育園の頃よりも時間に余裕がなくなりました。自分の時間を作るにはどうしたらいいかと考えたときに、朝なら時間が作れると思って朝活をはじめました。
僕はサウナが大好きなので、少し前までは朝5時にサウナへ行って6時30分に帰ってくるルーティンだったのですが、今は朝のオンライン勉強会に参加するようになったので、朝5時過ぎに起きて5時30分から30分間勉強をし、6時から身支度をはじめるのがサイクルになっています。
――どのような勉強会でしょうか?
林さん オンラインで共同学習をする勉強会の運営メンバーの一人として活動をしています。誰か1人の講師に教わるわけではなく、みんなでひとつのプログラムを使って学びを深めようという趣旨で、現在は50人ほどが集まり、目標達成の技術や良好な人間関係を築くための選択理論などを毎日学んでいます。
――毎日ですか!
林さん 土日も含め毎日です。なので、最近は平日にサウナの時間がなかなか取れず、週末に行くことが多いです。毎週土曜日の9時から10時30分まで娘が書道教室に通っているので、送迎の待ち時間でサウナに入るのがライフワークのひとつになっています。勉強会の方が落ち着いたら、平日のサウナも復活させたいと思っています。
生活が不規則になったりストレスがかかっているなと感じたりするときも、サウナに行ってリフレッシュすれば気持ちもリセットできるので、定期的に通うようにしています。
■夫婦の出社時間を敢えてずらす理由
――お子さんたちが小学校に上がられて、時間の余裕が減ったとのことですが、具体的にどのようなライフスタイルの変化があったのでしょうか?
青木さん 保育園時代は、娘と息子は同じ時間に同じ園へ登園し、かつ朝も早い時間から預けることができました。でも小学校に上がってからは別々。近隣の小学校に通う娘は朝7時50分に登校し、特別支援学校に通っている息子は8時20分にバス停に送って行くんです。
それでいて、夕方は5時に会社を出ないと娘のお迎えの時間に間に合わないのですが、息子を送ってから出社すると仕事終わりが5時を過ぎてしまう。なので、夫婦で出社時間をずらそうという結論になりました。
――だから青木さんの出社時間が早いんですね。
青木さん そうですね。私は起きたら自分の身支度をしてすぐに出社しているので、朝の家事や子どもたちの身支度などは、基本的にすべて夫がやってくれています。
林さん 僕は僕で、夜に会食などの予定が入ることも多いんです。そこで朝は僕が、夜の家事や育児は妻が、というおおまかな分担の中で、各々が効率などを追求してやりくりしているという形ですね。朝はやらなければならないことが多くて忙しいぶん、子どもたちが起きてきたらすぐハイスピードで動くために、早めに起きて体のスイッチをONにしておくことが自分の中では大切なんです。
――朝は……お子さんが思うように動いてくれないときもありませんか?
林さん めちゃくちゃありますね(笑)。子どもたちは2人とも寝起きが悪いので、声がけなどをしてなんとか時間通りに出発できるようにしていますが、とにかく毎朝バタバタしています(笑)。
青木さん そういう意味では、夜のうちにできることはなるべく夜やるように心がけています。たとえば娘には「今日のうちに明日の洋服を選んでおこうよ」と声をかけて、前日の夜のうちに洋服を選ぶようにしています。朝はどうしてもスムーズに動けないので、余裕があるうちにやっておくことが大切かなと思っています。
勤務中のタイムスケジュール
■「8割の業務を2割の時間でやろう」
――ブランドマネジャーというのはどのようなお仕事なのでしょうか?
青木さん その名の通り、担当しているブランド事業の責任者なのですが、収支管理はもちろん、広告企画、商品企画、販売戦略、制作計画など、そのブランドのあらゆる業務を担当しています。
――範囲がとても広いように思いますが、効率的に仕事を行うために意識していることはありますか?
林さん “パレートの法則”にもとづいて「仕事の成果の8割は、全体の2割の時間で生み出している」といわれることがありますが、僕もこれに則り、「8割の業務を2割の時間でやろう」ということを強く意識しています。8割の業務はギュッと凝縮して集中的に行い、そして残りの2割の業務はスキマ時間にパパッと行う。これによってタイムパフォーマンスを上げるよう工夫しています。また、チームメンバーに任せられるところは任せるというのも重要ですね。
青木さん 「任せられるところは任せる」というのは私もすごく意識しています。メンバーがとても優秀なので、助けられていますね。あと、「優先順位を常に考えること」も意識しているポイントです。マーケティング業務は細かいところまで突き詰めようとするといくらでもできてしまいますし、実際に育休前は残業することも多かったのですが、今は時間に制限があるぶん、業務の優先順位はメリハリをつけるようになりました。
林さん 最近ではオンライン会議が増えて、必ずすべての会議に参加しなくてもよくなったことが、業務時間の短縮につながっています。レコーディングであとで確認すればOKな会議などは、常に2倍速で聞いています。今では2倍速に慣れて、リアルの会議がすごく遅く感じるようになりました(笑)。
■「自分も育休を取らなきゃ回らないと思った」
――社内結婚をされ、双子を育てながらご夫婦で「ブランドマネジャー」という管理職に。これはなかなか難しいことなのではないでしょうか?
青木さん 気がついたらそうなっていたという形なのですが、夫婦そろって管理職なのは事業部の中ではめずらしいと思います。
――青木さんご自身の中に、出産をしても仕事のキャリアを諦めたくないという気持ちはあったのでしょうか?
青木さん そうですね。マーケティングの仕事が一番楽しいタイミングで育休に入ることになったので、まだ今の仕事を続けたいという気持ちはありました。なので、復帰するとき今後のキャリアをどうしたいか会社からヒアリングを受けた際は、「やれるんだったら出産前と変わらずやりたいです」という希望は伝えました。
――実現するには、林さんの協力も必要不可欠だったのではないでしょうか。
林さん 僕は「二兎を追う者は二兎を得る」精神で、どちらも掴みにいきたいタイプなんです(笑)。なので本人が望むなら妻にもそうであって欲しいし、そのためには家事や育児はフェアにしないといけないと思っていました。だから家事や育児の負担が妻に偏らないよう、できるだけフェアに分担してやりくりをしていきたいと思っています。
――お子さんが産まれたとき、林さんは育児休業を取得したのですか?
青木さん そうなんです。最初は私だけが取る予定だったのですが、子どもたちが生後3ヶ月になったころ、夫が突然「育休を取る」と言い出して驚きました。しかも、半年。
林さん 8年前の当時は、まだ男性は育休を取らない人が多かったですし、取っても1週間くらい。半年間休むことにしたのは、大きな決断ではありました。ただ、我が家が双子だったこともあり、子どもが産まれてからは夫婦ともに睡眠不足でへろへろ……このままでは家庭が崩壊してしまうと思って決めました。結果、ひと通りの育児スキルが身に付きましたし、子どもたちとの時間をたくさん過ごせたので良かったですね。
青木さん 夫が育休を取る前は確かに限界で、夜中もずっと交互にミルクをあげ続け、気づいたらカーテンも開けずに昼になっていたなんていう日も少なくなかったので、育休を取ってもらえて本当に助かりました。私の気持ちに余裕ができましたし、家族の時間も増えて楽しく育児をすることができました。
――今ある育児支援制度の中で、当時あったらよかったなと思うものはありますか?
林さん やはり在宅勤務制度だと思います。コロナ禍以前は在宅勤務がなかったので、子どもが体調を崩すたびどちらかが有給を使って休まなければなりませんでした。今は在宅勤務に切り替えて、家で仕事をしながら子どもたちの看病をすることができるので、時間を有意義に使うことができるようになりました。
(取材・文:上野真依、撮影:佐藤登志雄、イラスト:ぺぷり/マイナビ子育て編集部)
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