「え、この村なんで日本語が通じるの…?」も醍醐味! 行きづらい場所に「日本の運転免許」で行く方法 台湾クルマ旅指南
- 乗りものニュース |

19年前から始まった台湾・日本の運転免許相互承認制度
台湾は1895(明治28)年から1945(昭和20)年までの50年間、日本統治を経験しました。この間、日本政府は各地の上下水道、鉄道、広域道路、油田採掘、そこからガソリンの供給など、台湾中のインフラを整えました。
台湾では日本の運転免許でクルマやバイクを運転できる(2024年、松田義人撮影)
また、各地に高等教育機関を作り、近代的な教育も導入しました。結果的に、苦しい生活を強いられていた台湾の人々の暮らしを豊かにしたことで、今日も台湾では、日本に親しみを持つ人が見られます。日本統治の50年間を評価する台湾人も事実としています。
このような台湾ですが、戦後長らく日本人が現地でクルマやバイクを運転することは「事実上できない」とされていました。理由は、台湾がジュネーブ条約に加盟しておらず国際免許が使えないことにありました。
しかし、2007(平成19)年に画期的な制度が台湾・日本双方の間で交わされました。それが「台日運転免許相互承認制度」というものです。後述する指定のものを用意すれば、日本人の自国の運転免許証が台湾でそのまま通用します。その逆も然りで、台湾の運転免許も日本で使うことができます。
台湾での運転に際して特別に取得するのは「中国語翻訳文」のみ
日本人が台湾でクルマやバイクを運転する際、必要となるのは以下のものです。
(1)日本の運転免許証
(2)パスポート
(3)クレジットカード
(4)指定の中国語翻訳文
上記のうち、(1)(2)は台湾で運転を志す人は必ず持っているものでしょう。また、(3)はレンタカー、レンタルバイクなどを借りる際、後で発覚する違反金などを支払うためのものになります。厳密にはなくても運転できるのですが、「現地の業者からクルマやバイクを借りて運転する」際は必須です。
そして重要なのが(4)です。「僕、中国語できるから翻訳文なんか要らないよ!」というのは通用しません。必ず指定の中国語翻訳文が必要です。日本国内では日本自動車連盟(JAF)のオンラインで簡単に申請ができます。申請から約1〜2週間で発行され、コンビニで印刷して受け取ることができます。
台湾現地で中国語翻訳文を発行してもらう場合は、日本台湾交流協会の台北事務所・高雄事務所の窓口で直接申請すると、即日交付されます。
「台北の交通地獄」以外は大丈夫?
筆者は、この制度が始まった2007年秋、いち早く台湾で運転を始めました。それ以来19年間、台湾渡航時は必ずレンタカーを使っています。台湾各地の名所はもちろんですが、それまで公共交通が乏しく、アクセス困難だったエリアにも楽に向かえるようになったからです。
また、台湾の夏場はとにかく暑く、天候の影響を強く受けがちでもあります。移動の際にクルマがあると、何かと便利でもあるからです。
一方、おびただしい数のバイクと自動車が混在する台北の“交通地獄”を見ると「怖くて運転なんてできない」という人がいるのもわかります。また、台湾は日本と逆の右側通行なので、「間違えたりしそうで怖い」なんていう声もよく聞きます。
実際、台湾全土の中でも「台北での運転」が最もハードルが高いのは事実です。地方部の台湾人でも「台北は怖くて運転できない」なんて人がいたりするのですが、台北以外の地方部では、実は日本以上にルールを守る人が多いのも事実です。
「監視社会」ですから!
実は台湾では、オービス・監視カメラが道路上や街中に無数に設置されています。山岳地帯以外は「カメラがない場所がないのではないか」と思えるほど多く、都市部でも日本とは比較できないほど多くのオービス・監視カメラが設置されています。これが交通違反防止や防犯に役立っています。
台北の交通地獄を見ると、この地での運転のハードルはかなり高そうだが、これは現地の人も同じ(2024年、松田義人撮影)
交通違反の厳罰化も進んでいます。例えば制限速度を5キロでも超えたら、即座に反則切符が交付されます。日本人の運転者であっても、罰則は当然同じです。レンタカーであれば、業者の元へと違反切符交付の知らせが届き、しかるべき違反金を提示したクレジットカードから引き落とされる、という仕組みです。
こういったことから日本以上にルールを守る人が多いわけですが、それでも「重大な交通事故は、日本の約5倍」とされています。その多くが「バイク事故」だと言われています。実際に台湾で運転する場合は、交通ルールや交通慣習を事前に把握し、特にバイクの運転、または周囲のバイクへの挙動は細心の注意をはらって運転すべきです。
現状では、台湾での運転に関する細かい情報が乏しいのも現実ですが、一部「台湾での運転ガイドブック」も日本で発行されています。こういった情報も得たうえで、運転に挑むと良いでしょう。
「日本語」または「日本語混じりの言葉」が今も使われる村
前述の通り、台湾でクルマを運転できれば、行動範囲が広がり、移動時間短縮にもなります。そのなかでも特に「クルマがないと行きにくい、でも非常に意味深いスポット」を紹介します。
商店も乏しい静かな村に遺る元寒渓神社跡(宜蘭県)(2023年、松田義人撮影)
台湾の東北部にある宜蘭県の寒渓村です。
なんとこの村とその付近では、今も日本語がやたらと通じます。商店も乏しい静かな村ですが、現地では日本語が混じった言葉が今も使われています。
これは現地の“原住民”(現地呼称ママ)が、言葉が異なる他の原住民とコミュニケーションをとるため「共用語」として日本語を使っていた名残りです。一般に「宜蘭クレオール」とも呼ばれる言葉です。
以前、この村にある日本統治時代に創建された寒渓神社の跡地を車で見学に訪れた際のことです。近くで洗濯物を干していた30代の奥さんに道を尋ねたところ、いきなり日本語で対応してくれ、親切にも神社まで案内してくださったことがありました。
また、寒渓村界隈をクルマで巡っていた際、トイレを借りようと教会を訪れた時、たまたまいた中学生ほどの女の子が、驚くほど綺麗な日本語で対応してくれたこともありました。
つまり、日本統治時代のリアルタイム世代ではない若い世代にも、「日本語」または「日本語が混在した言葉」が「村の言葉」として継承されているというわけです。
寒渓村はクルマがないとアクセスしにくい場所にありますが、運転さえできれば台北市内から1時間半ほどの距離です。「台湾で運転してみたい」という方は、各地の名所巡りと合わせて、こういったエリアを訪れてみるのも、貴重な学びと体験になるように思います。
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