地下60mの「外環道」を走ってきた! “関越ー東名”のトンネル工事がヤマ場へ 「地中拡幅」いよいよ始まる
- 乗りものニュース |
地下トンネルとして建設中の「外環道 関越-東名」区間で、各種トンネル工事の次のステップ「地中拡幅」工事がスタートします。その地下60mの現場が公開されました。
外環トンネル工事のヤマ場「地中拡幅」って何だ?
外環道の「関越-東名」区間を建設しているNEXCO中日本、東日本、国土交通省は2025年1月10日と11日、今月下旬から東京都世田谷区で始まる「東名JCT 地中拡幅工事」についての住民向け説明会(オープンハウス)と現場見学会を開催、11日には報道向けにも実施されました。
本線トンネル内、東名JCTランプトンネルとの地中拡幅部。右側の壁の約60cm向こうにランプトンネルがあるという(乗りものニュース編集部撮影)。
地下60mの「大深度地下」を通るトンネルとして建設中の同区間。東名JCTはその終点、東名高速との接続点です(JCT・IC名などは全て仮称)。
本線となる2本のトンネルをシールドマシンで掘進する工事は東名側、関越側からそれぞれ始まりましたが、東名側から北上していく2機のうち1機が4.4km掘り進んだ時点で、2020年に“陥没事故”が発生。それ以来2機とも掘進を停止し、陥没現場付近の地盤補修工事が行われています。
しかし、それ以外の工事は着実に進められています。
今回の「地中拡幅」は、本線トンネルに東名高速(高架)へ通じるランプトンネルを接続させる工事。本線とランプのトンネルが2本並んだ箇所を、文字通り地中で拡幅し、合流部をつくるのです。その現場へ案内されました。
が、外環がてきてきている…!? 地下60mの現場に潜入
報道陣は東名JCTの工事ヤードの「発進立坑」から、工事用エレベーターで地下60mへ。ここは8年前の2017年2月、本線シールドマシンが発進していった場所です。そこからトンネルが見事に構築されていました。
今回入ったのはNEXCO東日本が担当する将来の「南行き」で、まさに陥没事故の原因となったトンネルです。4.4km北では今もシールドマシンが止まっています。
東名JCTからのランプが接続するのは、発進立坑から約1km先です。そこまでバスで移動しました。
幅15.8m、3車線分が確保されたトンネル内のバス移動は、「外環道を先取りで走ってる!」と興奮したものの、ここで衝撃の一言が。
「いま走ってきた部分は将来的に“管理用道路”になります。本線から東名JCTのランプに直結する構造となるので、将来、本線として供用されるのは、この地中拡幅部から先(北側)です」
ちょっとガクッときたものの、「未だ事業化されていませんが、将来、『東名-湾岸』の最終区間ができれば、いま来た部分も“本線”になります」とのこと。ずーっと未来の外環道を先取りで走ったというわけです。
「この壁、取り払います」
トンネルの内壁は「セグメント」と呼ばれる幅1.2mのコンクリートのピースがリング状に敷き詰められていますが、地中拡幅部は材質が違います。南から見て左側はコンクリートのセグメントですが、天井から右側は鋼製です。
地下60mの立坑から見上げたが、地上は見えなかった(乗りものニュース編集部撮影)。
この鋼製セグメントは将来的に取り払われる仮構造となっており、壁の約60cm向こうには、ランプトンネルがすでに地中拡幅部まであと100mというところまで進んできているといいます。
地中拡幅は、2本並んだトンネルの断面を、横に長い楕円形で包み込むように構築します。2本のトンネル間の下側を掘り、楕円のアーチを構成する「拡幅セグメント」を埋め込んで2本のトンネルのセグメントとつなげます。上側も同様に堀って2本のトンネルを拡幅セグメントでつなげます。
トンネル内の天井を見ると、コンクリートセグメントと取り払う鋼製セグメントのつなぎ目に、釣り針の“返し”のような出っ張りがついた「接続セグメント」が見えます。ここが拡幅セグメントをつなげる土台部分になるとのこと。
このトンネル2本が出会う「標準拡幅部」の幅は、最終的に約30.1mもの大断面となりますが、その先に「部分拡幅部」と呼ばれる部分も構築します。これは、ランプ合流部がだんだん狭まる部分になります。
こちらは、1本の本線トンネルの片側のみを掘って、真円の断面を「タマゴを横にしたような形状」にするものです。幅は約19.2mとなります。
東名JCTは最初 合計8つの地中拡幅を実施
このような地中拡幅部は、東名JCTが2か所、中央道と接続する中央JCTが4か所、さらに途中ICとなる「青梅街道IC」の合流部2か所と、関越ー東名間で計8つ設けられます。
東名JCTの地中拡幅部は、その中でも最初に着手するもの。中央JCTの地中拡幅部はまだ詳細設計中とのことですが、東名JCTよりも大断面になる見込みだそうです。
「安全を最優先に、きちんと施工のモニタリングと情報提供を行いながら工事を進めていきます」(NEXCO中日本 東京工事事務所 高橋 亨副所長)
ちなみに、現場見学会に参加した住民からは、「自宅の下を高速道路が通るので不安だったが、現場を見て解消された」といった声があったといいます。
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