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「好きな時に、呼べば来る」理想のバスが増加中! でも客は増えないしコスト高 AIが何とかしてくれるワケがない!?

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そもそも「オンデマンド交通」とは

 コロナ禍による利用減少や運転手不足の影響により、路線バスの減便やタクシーの廃業が進み、公共交通機関の利用が困難な「交通空白」地域が拡大しています。これに対し国土交通省による交通空白解消本部では、2027年までの集中対策期間において、交通空白解消への取り組みを実施していない地域をゼロにしようとしています。

Large figure1 gallery7大阪メトロのオンデマンドバス(乗りものニュース編集部撮影)

 その解消策として増えているのが「オンデマンドバス」です。これまでのバスによる定期運行の旅客サービスから、タクシーの活用や公共ライドシェア(自家用有償旅客運送)、日本版ライドシェアなどによる予約に応じた旅客サービスであるオンデマンド型交通の導入は、国も提案しています。

 不特定多数の人が乗り合う旅客サービスは、道路運送法において路線バスのように路線とダイヤがあらかじめ決まっている「路線定期運行」、路線が決まっていて予約に応じて運行する「路線不定期運行」、路線もダイヤも決まっておらず一定の区域内で予約に応じて運行する「区域運行」に分けられます。

 この後者の2つ、予約に応じたサービスがオンデマンド交通と呼ばれています。さらに近年、その輸送効率を向上させるためにAIを活用したAIオンデマンド交通の導入が急速に進んでいます。

 ただ、オンデマンド交通の制度自体は以前より実施可能なものでした。予約に応じたサービスという意味では、配車を依頼することで予約をするタクシーも同じ役割を果たしています。

 そのため、オンデマンド交通の多くはタクシー事業者に委託され、オンデマンドタクシーとして導入されている事例が多くあります。しかし、必ずしもタクシー事業者に限定されるわけでなく、予約に対応する配車システムを導入し公共ライドシェアとして実施することもできます。

 現在、特定の地域ではいわゆる「日本版ライドシェア」が行われていますが、現状制度ではタクシー事業者の管理により行われているため、当然同様のサービスが提供可能となります。

タクシーとの決定的な違いは“相乗り”

 オンデマンド交通の利用方法は、最初に利用者が専用アプリにより乗降地点と希望乗車(または降車)時間を入力します。これに対して、運行側は近隣を走行する車両や車庫などから配車をすることになります。ここまでのプロセスは一般のタクシーの配車システムと類似していますが、従量料金のタクシーと異なりオンデマンド交通は乗降地点が定まれば運賃があらかじめ提示されるのが特徴です。

 また、運行時に一般のタクシーと異なるのは、他の利用者との相乗りにより、運行途中でルートが変更となる可能性があるところです。

 AIオンデマンド交通におけるAIが担っているのは、この運行ルートの最適化です。利用者によって異なる目的地を最短で結ぶルートを構築したり、迂回によって乗車時間が過大となる場合には他の車両の配車を行ったりする判断をAIが行います。

 勘違いしがちなのは、AIが「この時間はこの場所に利用者がいる!」と予想して運行ルートを生成するわけではありません。新たな利用者をどこからか探し出すものではなく、もともといる利用者を少ない車両台数で効率よく運送するためのものです。

「相乗りするほど利用者がいない」現実は変えられない?

 しかし、このAIによる効率化は、複数の利用者がいて、複数の運行ルートの選択肢があるときだけ発揮されます。

Large figure2 gallery8オンデマンドバスの配車アプリの例。タクシーアプリと近似する(乗りものニュース編集部撮影)

 相乗りする人がおらず一人の利用者を出発地から目的地に運送するのであれば、最適化をする意味がありません。また、仮に相乗りが発生したとしても、目的地までの運行ルートの選択肢が1つしかなければ最適化のしようがありません。

 冒頭で示した交通空白地は、高齢化率が高くドアtoドアのサービスが求められ、そのため住宅街の狭隘な道も通るため、小型車両でのオンデマンド交通の方が有効です。

 しかし、そのような地域はそもそも人口が少ない過疎地域です。相乗りが発生するほど利用者がいない、過疎地の集落から病院や商店までの道路は1本しかないという場合には、期待するほどAIの活躍する余地はないかもしれません。

そもそも「輸送コストを下げる」ものではない!

 逆に、人口の多い都市部では、相乗りや道路の選択肢も多く、AIによる最適化は有効です。しかし、短時間で同時に多くの予約が入り乗降を繰り返す状態となり、運転手に過度な負担がかかるところには注意が必要です。AIによる最適は運転手=人にとって最適であるとは限りません。

 このように、交通空白を解消するためにオンデマンド交通は有効な手段の一つです。しかし、ここに費用をかけてAIを活用した方がよいかは地域の状況によって異なります。

 コミュニティバスからAIオンデマンド交通に転換して車両サイズが小さくなったとしても、必要な運転手の数は変わらないため、運行経費は大きく減少することはありません。むしろデマンドシステムの維持費や、予約時間が重複した際に増車するなどの対応をすると、運行経費が増大することもあります。両者を比較する場合は、全体の運行経費を見るのと同時に、一人当たりの輸送コストを把握することが重要です。

 AIオンデマンド交通による「好きな時に、好きな場所に移動できる」という便利なサービスは、同じ場所まで乗り合って一人当たりの輸送コストを下げることとは矛盾します。AIオンデマンド交通を導入したら利用者が劇的に増え、地域の移動の課題が全て解決するというようなことはありません。

 便利なものにはコストがかかることを認識し、最適化の効果が費用に見合うかをよく見極めて導入するようにしましょう。

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