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飛行機で台風の目へ! 始動7年目 台風の航空機観測プロジェクト 危険の先で何を観る?

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  • 乗りものニュース
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大昔の文書にも記録が見られる「台風」は、一方でその詳細な調査はまだまだ進んでいないのが現状といいます。これを推し進めるべく、飛行機で直接的に観測するプロジェクトが進行中で、その概要や現状などについて話を聞きました。

台風を「直に」観測! 7年目を迎えたプロジェクト

 ハリケーン被害に毎年のように遭うアメリカには、「現在接近しているハリケーン」にどれほどのパワーがあるのか航空機を使って調査し防災に役立てる機関が、海洋大気庁と空軍に存在しています。「ハリケーンハンター」と呼ばれる仕事で、2022年も海洋大気庁がスタッフを募集していたようです。

Large 221031 typ 012017年10月発生、スーパー台風「ラン」(台風21号)の目の内部。高度4万3000フィート、ジェット機の窓からの眺め(2017年10月21日、坪木和久撮影)。

 日本も、世界気象機関の国際分類の関係で呼び名こそ違いますが、ハリケーンと同じく台風(タイフーン)という、勢力の発達した熱帯低気圧が頻繁に直撃する場所にあります。実は、アメリカと同じとまではいえませんが、日本にも台風を「直接的に」調査する人たちがいます。

 こうした台風などの自然現象を航空機で調査することを「観測飛行」といいます。それはどういったものなのか、実際にタイフーンハンターともいえるような調査を行っている名古屋大学宇宙地球環境研究所・横浜国立大学台風科学技術研究センターの坪木和久教授と、DAS(ダイヤモンドエアサービス)社の北原龍一機長に話を聞きました。

 坪木教授とDASのチームは2016(平成28)年から、台風がもたらす暴風雨の解析などを行っています。調査方法として「ドロップゾンデ」と呼ばれる、温度、湿度、気圧、風向、風速を測定する機器を空中投下するほか、実際に台風の中へ突入し、台風の目(眼)まで観測することもあるそう。2017(平成29)年には初めて航空機によるスーパー台風(台風21号)の直接観測に成功するなど、大きな実績を挙げています。

なぜ台風を直接的に観測する必要があるの?

 なぜこうした調査が必要かというと、普段、私たちが目にする台風情報は気象衛星やレーダーなどからもたらされた情報を基に予報がなされていますが、実のところこれらの情報だけでは正確な予報をするのに全く足りていないからです。特に大型の台風になればなるほど、この情報は重要になってきます。

「実は、気象衛星からは中心気圧や最大風速を大体の値でしか測定できません。また、温度や湿度の詳細も知ることができないのです。これらの詳細を知るには直接観測してデータを取るしかありません。特に勢力の強い台風は(気象衛星からの観測と直接観測のあいだに)大きな違いの出ることが多く、仮に、本土にスーパー台風が上陸することがあった場合は、強度推定値や予測値に大きな誤差があることは防災面で大きな問題です」(坪木教授)

Large 221031 typ 02台風の直接観測プロジェクトをけん引する、名古屋大学宇宙地球環境研究所・横浜国立大学台風科学技術研究センターの坪木和久教授。

 台風の予想経路に関しては、年々正確になってきてはいますが、強度予報の方はまだまだ改善の余地があります。坪木教授のチームが調査した結果、気象衛星では計測しきれない情報が多数あることが証明され、台風予報の改善にも役立てられているとのことです。

「気象衛星のデータと比べ、最大で15ヘクトパスカルくらい中心気圧の違うことがあります。目のなかの温度についても、これまで知られていなかったその構造が分かってきています。より正しい台風強度を知ることは、台風の防災に重要な情報となります。航空機による観測で得られたデータは、リアルタイムで気象庁や世界の気象予報機関に送られ役立てられています」(坪木教授)

一般的なビジネスジェットで台風に突入! それゆえに苦労も

 そして坪木教授はじめ観測チームの乗った飛行機を、暴風雨のなか台風へと飛ばすのが、北原機長はじめDASのパイロットの仕事です。

 2022年現在その観測飛行には、米ガルフストリーム・エアロスペース社の双発ビジネスジェット機「ガルフストリーム IV」が使用されています。筆者(斎藤雅道:ライター/編集者)が話を聞いて驚いたのは、調査機材などを積む以外は機体のカスタムなどをしていなということ。つまり「ガワ」は民間機と同じということです。

Large 221031 typ 03DASの「ガルフストリーム IV」(画像:DAS)。

「台風のまわりや中心を調査するときは、壁雲観測のために何回も台風に出たり入ったりするケースもあります。事前の飛行プランの構築が大事ですね。もちろん操縦の方も、常に不測の事態を予想しつつこなさなければいけません。安全が確認されない限りは、状況を見て調査を中止とする決断も必要です」(北原機長)

 台風に突入する技術は、マニュアルがあるようなものではなく、これまで関わってきたパイロットが情報を出し合い、最適な飛行の方法を模索してきた経験の蓄積なのだそうです。

 なお、2019年に使用機材が「ガルフストリーム II」から「IV」に変わりました。新しい飛行機になり便利になったかと思いきや、観測飛行という特殊な環境ということもあり、一概にそうともいえないようです。

「IVは飛行時間が延び、オートスロットルなど飛行機側で制御してくれることが増えました。ビジネスジェットとして快適さを追求してきた結果ですが、環境が異常な現場に行く観測飛行では、機械側が『4万3000フィートで摂氏マイナス40度とか45度って変な数字が出ている』といった警告をするなど、人間の無茶による異常な数値に混乱してしまうことがあります。その場合、オートスロットルが止まるなどするので結局、人力でやる部分が増えるなんてこともありますね。IIはグラマン製ということで軍用機みたいな無骨さがあったのですが、IVはもっと上品にまとまっている感じです。ただ、強度に関してはIVでも申し分ないので、IIのときと同じ観測飛行が可能です」(北原機長)

 アメリカのハリケーンハンターは、P-3やC-130など元々、軍用機がルーツの機体のなかでも頑丈といわれているものを改造し使用するそうですので、「ガルフストリーム IV」で挑むのはさらに大変そうですね。

民間が中心で行う調査なので予算のやりくりが大変!

 こうした観測飛行は実のところ、大学や研究機関などが資金を出し合うかたちで行われています。アメリカの空軍や海洋大気庁のように、公共の機関が飛行機や観測機器を運用しているわけではありません。そのため大型台風が出現したからといって毎回、急行して調査できるようなことはなく、予算がないと観測飛行の飛行機は飛ばせません。

「航空機による観測は今後ますます重要になってきます。しかし予算がかかるため、その確保に私は最大限の努力をしています。そのための国民の皆様の理解がもっと得られればと思っています」(坪木教授)

「調査は来年と再来年も行う予定ですが、そのあとどうなるかは、予算が通るかどうかによるといった状況です。そこは研究機関や大学の先生方にお願いするしかありません」(北原機長)

Large 221031 typ 042021年9月発生「ミンドゥル」(台風16号)の経路図。経路上の数字は日付、●印は日本標準時21時の位置、実線は台風、破線は熱帯/温帯低気圧の期間を示す(画像:気象庁)。

 こうした限られた予算であっても、2021年9月には日本に接近する台風「ミンドゥル(16号)」に接近し、ドロップゾンデ観測システムを用いて観測したほか、その目の中心と壁雲(目を取り囲む壁となる雲)周辺で多数のデータを得るこができたそうです。特に、目と壁雲の詳細な構造を得ることができたのは大きな収穫だったそう。

 坪木教授によると、地球温暖化と台風被害を結びけることはデータが足りないので現状ではできないとしていますが、日本周辺の海面水温が上昇していることは観測から示されており、以前より強力な台風が日本列島に直撃するリスクが上がっているのは事実とのことです。日本の防災のためにも、継続して予算がつき、様々な調査に役立てられるといいですね。

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