小伝馬町、茅場町、蛎殻町――中央区に「日本橋」の付いた町名が21も存在するワケ
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中央区の生まれた経緯
日本橋かいわいには
・日本橋小伝馬町
・日本橋茅場町
・日本橋蛎殻町
・日本橋人形町
など、日本橋の名を冠した町名が21も存在します。これらの町名が始まったのは、1947(昭和22)年に日本橋区と京橋区が合併し中央区になったときです。では、いったいどのような経緯で決まったのでしょうか。

東京都は1946(昭和21)年から、東京35区(麹町区、神田区、日本橋区、京橋区、芝区、麻布区、赤坂区、四谷区、牛込区、淀橋区、小石川区、本郷区、下谷区、浅草区、本所区、向島区、深川区、城東区、品川区、荏原区、目黒区、大森区、蒲田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区、滝野川区、王子区、荒川区、板橋区、足立区、葛飾区、江戸川区)を合併・整理する計画を始めました。当初は15区案と25区案が議論されましたが、極端な統合を避け
・人口:10~20万人
・面積:10平方キロメートル
を基準として、22区に整理されることとなりました。
合併で「日本橋の地名が消える」
そんななか、東京都は日本橋区に対して京橋区との合併を打診します。そして京橋区では1947年1月の区会(現在の区議会)で、日本橋区との合併を決議。これを受けて東京都長官(当時)は同月、日本橋区に新区設置と区の財産整理への審議に関する通達を出しました。
日本橋区民は当時、
「このままでは日本橋の地名が消えてしまうのではないか」
と心配しました。

以下は、1947年2月27日に行われた、日本橋区会での山崎信一区議の発言です。
「日本橋は徳川時代以前、天正年間から連綿として続いてきた伝統がある。日本橋なる区名は併合によっていずこへ行くのか、私たちは非常に心配しているのであります」
当時の日本橋区の人口は3万2000人。対して京橋区は7万2000人でした。人口の差から見て、合併後に日本橋区住民の声が区政に反映されにくくなるという危惧は当然でした。
また山崎区議は合併にあたって、京橋区が現在の豊洲付近にあたる5号地も新区に編入したい意向を示していることも触れています。5号地まで含めた新区がもし誕生すれば、区役所は離れたところに設置され、日本橋が地域の中心から外れることが懸念されていました。ちなみにこの区会では「日本橋が日本の中心」という発言も出ています。
合併が決定 舞い降りてきたアイデア
一方、末田憲義区議は
「同じ日本人であるから、京橋区と仲良くしていくのがよい」
として、合併に賛意を示しています。
末田区議は
・日本橋区の面積が約3.12平方キロメートルと小さく、人口も10万人となるのが容易ではないこと
・再編にともなう都の業務が移されると住民の税負担が過大になること
に触れて「今後税金など非常にかかってきたら到底住んでいかれない」と発言しています。なお、『中央区史』は議会の状況について、
「日本橋区会始まって以来とされる程の激論」
「傍聴人の騒乱などもあった程であり、いかにこれが関心事となったかがうかがわれる」
と記しています。
その後の投票で、投票総数27票に対して
・賛成14票
・反対13票
で京橋区との合併が決定。そして議事は区名の決定案へと移りました。

ここで「日本橋区を廃止し、日本橋区と京橋区の区域をもって新設される区の名称を中央区とする」ことが満場一致で可決されましたが、この決議にはこんな一文も加えられました。
「現日本橋区の区域の町名呼称は中央区日本橋何町何丁目何番地と呼ぶものとす」
残念ながら、中央区の保管記録にはこのアイデアを考えた人物に関する記載がありません。なぜなら、日本橋区がなくなっても日本橋という地名は残り、歴史を伝えられるからです。
こうして東京都は1947(昭和22)年3月15日、中央区の誕生を告示。日本橋区の町名は、日本橋の3文字を冠することも正式に決まりました。
歴史ある地名は残すべきか
しかし、1965(昭和40)年から始まった区内の住居表示で
・日本橋薬研堀町
・日本橋米沢町(現・東日本橋)
・日本橋浪花町
・日本橋芳町(現・日本橋人形町)
などは、消滅しました。
自治体の合併で、元々の地名が消滅するケースは少なくありません。とりわけ最近はニュータウンのような地名や、ひらがな表記の地名など、地域が育んできた歴史ある名前を無視した地名も増えています。そうしたなかで、歴史ある日本橋の地名を残そうとした先人たちの知恵には感服すべきものがあります。
●参考資料
『町名の移り変わり』中央区/1988年
『中央区史』下巻 中央区/1958年
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