「花火大会」中止で未使用の花火はどうなる？　業界の状況は？　団体に聞く

　新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、イベント中止が相次ぐ中、花火大会の中止決定も各地で続いています。東京の夏を彩る「隅田川花火大会」も、7月11日の開催予定でしたが中止が決まりました。花火見物を楽しみにしていた人たちも、残念だとは思いますが、花火業界や大会関係者にとっては死活問題かもしれません。

　使わなかった花火は来年まで保管するのでしょうか。公益社団法人日本煙火協会（東京都中央区）の河野（こうの）晴行専務理事に聞きました。

半数の大会が中止か

Q.各地の花火大会が相次ぎ中止が決まっています。主な理由を教えてください。

河野さん「花火大会は一般に、各地の商工会議所や観光協会、自治体などが実行委員会をつくって主催しています。大会の開催や中止はそれぞれの主催者の判断ですが、やはり新型コロナウイルスの流行を受けて、多くの人が集まる花火大会は感染拡大の恐れがあるということで、やむなく中止を決めたところが多いです。

野外コンサートのような大規模イベントと同じリスクがある、と判断されているようですね」

Q.全体では、どのくらい中止が決まっているのでしょうか。

河野さん「都内でいえば、7、8月に予定されていた主な花火大会は軒並み中止が決まっています。今年1年間の主な大会のうち、半数くらいが中止の決定をしている状況と思われます。

7、8月が花火大会の最盛期ですが、実行委員会は2カ月、3カ月前から準備を進める必要があり、時間的な制約もあります。新型コロナの先行きが見えない現状では、中止を決めざるを得ないということでしょう。

これは現時点での話なので、9月以降の大会にまで新型コロナの影響が続けば、もっと中止が増えるかもしれません」

Q.中止になった大会分の花火は、来年まで保管するのでしょうか。

河野さん「基本的には、全部在庫することになります。花火は湿気などに注意して適切に保管すれば、長期的に使用できます。1年後の大会に備えて保管すること自体は問題ありませんが、火薬類である以上、法律に基づいて安全を保って管理しないといけないので、大変ではあります。火薬庫の維持費、管理費がかかり、経費もばかにならないですね」

Q.花火業界への影響はどうでしょうか。花火業者の中で「経営が続けられない」という声は出ていませんか。

河野さん「非常に厳しいと思います。経営的危機にある業者もあるでしょう。まだ調査はしていませんが、休業を考えている業者があるという話は聞きます。最悪の場合は廃業という所が出てくるかもしれません。そうなると、来年以降の花火大会への影響も懸念されます。今の状況で、会社を維持するのは大変です」

Q.花火大会を予定していた地域の経済への影響は。

河野さん「大規模な大会であれば何十万人と観客が集まり、交通機関や飲食店、宿泊施設、商業施設などが潤うわけですが、中止が決まった地域ではそれがゼロになってしまいます。花火の経済効果が大きかった分だけ、マイナスも大きくなると思われます」

Q.今回の事態を受けて、日本煙火協会として何か対応は。

河野さん「非常に苦慮しています。何か対応しなければとは思いますが、まだ事態が動いている最中で、これから考えていかなければいけません。中小企業向けの政府の支援策などがあるので、それらをフルに活用して、事態の好転を待ってほしいとは思っています」

Q.新型コロナウイルス感染症の終息への願いと、来年への思いを聞かせてください。

河野さん「花火はそもそも夏の風物詩として、江戸時代に本格的に始まったものですが、一つの目的として『悪疫（悪性の流行病）退散』の願いも込められていました。新型コロナウイルスのために花火ができなくなるというのは、とても歯がゆいことですが、一刻も早く元通りに花火ができることを期待しています。

夏に『慰霊の花火』を小規模に打ち上げる地域もあるようですが、新型コロナの退散を願い、たくさん人を集めない形で、人々に癒やしを与えられる花火ができればいいと思います。それが花火の力です。東日本大震災の後にもありましたが、そういう形でも花火がお役に立つと思います」

オトナンサー編集部

実は損している？

ニュースを読んでポイントが貯まるサービスがあるのを知っていますか？ポイントサイトのECナビでは好きなニュースを読んでポイントを貯めることができるのです。（※ECナビはPeXの姉妹サイトです。）今日読んだニュースが実はお小遣いになるとしたら、ちょっと嬉しいですよね。

ポイントの貯め方はニュースを読む以外にも、アンケート回答や日々のネットショッピングなど多数あるので、好きな貯め方でOK！無料で登録できてすぐに利用できます。貯まったポイントはPeXを通じて現金やAmazonギフトカードなどに交換できます。

運営実績も15年以上！700万人以上の方がポイントを貯めています。毎日好きなニュースを読んでお小遣いを貯めてみませんか？

簡単無料登録はこちら