「乗るだけで職業病確定」「即刻使用禁止レベル」 ヤバすぎる“新型装甲車”問題 なのに大臣は「安全宣言」どう落とし前をつけるのか!? イギリス
- 乗りものニュース |

エイジャックスは本当に「やかましい」のか?
「これは素晴らしいプラットフォームだ。これまでの機種ではできなかったタスクをこなす能力を持っている」「過去には様々な問題があったかもしれないが、今はそれらを解決した」
ゼネラル・ダイナミクスUKの工場でルーク・ポラード英国防省装備調達担当大臣が試乗するエイジャックス装甲車(画像:英国防省国防装備・支援本部(DE&S)公式)
イギリスのルーク・ポラード国防省装備調達担当大臣はゼネラル・ダイナミクスUKの工場を視察し、エイジャックス(AJAX)装甲車に試乗してこう語りました。
イギリス政府は2025年11月6日、エイジャックスに初期作戦運用能力(IOC)を認定したと発表しました。エイジャックスはイギリス陸軍が機甲戦力近代化プログラムにおける「目玉」装備として開発してきた装甲戦闘車両です。2010年に採用が決定し2017年に納入が始まるはずでしたが、開発は難航し、遅延していました。
その理由の一つが、激しすぎる騒音や振動です。トライアルでは乗員の健康被害が続出し、2020年には一時中止されたほどです。
これらの問題点を解決し、採用決定から16年、約55億ポンド(約1兆1300億円)を投じたプログラムはようやく成就した……はずでした。
2025年11月初旬からソールズベリー平原で行われた演習「タイタン・ストーム」に、エイジャックスを装備した近衛騎兵連隊も参加しました。ところが11月22日、この連隊の兵士31人が騒音と振動による障害症状を示したことが報告され、国防省はエイジャックスの使用をただちに中止し調査に入ると発表しました。
エイジャックスの騒音と振動問題をめぐっては、現在も約20人の兵士が継続的治療を受け、医療的除隊になったケースもあります。国防省は、騒音は安全基準以内であり、装甲車には騒音や振動などが付き物だとして直接の因果関係を認めていません。しかし、本当にエイジャックスは「やかましい乗りもの」なのでしょうか。
エイジャックスの走行時の車内騒音は117dB(デシベル)。ロックコンサート並みで、短時間暴露でも聴覚損失リスクとされます。同じような他国の装甲車と比べると、CV90(スウェーデン)110~115dB、プーマ(ドイツ)105~110dB、ウオーリア(イギリス)110dBとされ、同等レベルのように見えます。では何が問題なのでしょうか。
「兵士を実験台にした人権問題」との指摘も
装甲車両研究家のJon Hawkes氏によると、エイジャックスは、国際的に認められている全身振動の健康リスク限界値を2~5倍超過しており、「乗るだけで職業病確定レベル」と指摘します。
特に悪化させる要因として、軍用車両特有の硬くて垂直姿勢を強いられる爆風対策シートは振動が骨盤から脊椎に直撃、ヘルメット+ヘッドセットの重量で首へのモーメント増大、狭い車内で正しい姿勢が取れない、長時間連続乗車(訓練・作戦で6~12時間以上)の複合要因を挙げます。
欧州の労働環境基準で民間重機なら即刻使用禁止になるレベルです。イギリス議会でも「兵士を実験台にした人権問題」とまで指摘されており、単なる技術問題ではなく、職業性災害・人権問題になっています。当然、現場部隊の士気にも悪影響を与えています。
退役軍人、現役兵士が国防省に補償請求を行う動きも活発化し、国防省も2024年7月以降、一部の聴覚障害について責任を認める姿勢を示しています。また一方で、この補償制度を悪用した偽広告が問題化しています。国防省の公式プログラムと誤解させる内容で「最大15万ポンドの補償が受けられる」と宣伝するような詐欺広告で、被害が拡大しつつあるとされます。
エイジャックスの技術的追求は別稿に譲りますが、陸軍が過大な要求仕様を詰め込み過ぎたことと、メーカーは定額契約であり先行投資をしていることから、収益性を懸念して根本的な設計見直しには消極的でプログラムの硬直性が指摘されています。「事実上の失敗作にもかかわらず、代替できないので進めるしかない」「だから失敗は認めない」という状況です。
陸軍もメーカーも責任を押し付け合い、対策は座席にゴムパッドを挟む、耳栓の改良のような小手先の内容に終始しました。挙句の果て、退役軍人によって戦闘用武器耳栓バージョン2(CAEv2、国防省向けに製造・供給された軽量の耳栓)のメーカーである3M社に損害賠償訴訟まで起こされる有り様です。
国防省は11月14日、「エイジャックスプログラム」は「プロジェクト遂行の優秀性が認められ」「グローバル・プロジェクト・コントロールズ・アワード」を受賞したと発表していました。この賞は「プロジェクト管理」を扱う国際的なイベントで、複雑で多くの関係者が絡む巨大プロジェクトを、透明性・効率性・管理体制を持って成功に導いたかを評価するものです。
しかし11月26日には騒音と振動問題で運用停止。問題は全然解決していないことが明らかになってしまいます。「安全宣言」をして恥をかく形となったポラード大臣は、「システムは安全だと国防省の高官に書面で保証を得ていた」といら立ちを示す声明を出しました。とんだ茶番ですが、一番不幸なのはイギリスの兵士と納税者です。
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