巨大建造物すぎ!? 山形の山奥に現れた“天空の要塞道路”なぜ? ビル4階分を一気に駆け上がる“S字の巨大橋”の正体
- 乗りものニュース |

「まるで要塞」なS字橋の正体
山形県の山あいに、何本もの柱で道路を支える巨大な橋があります。山の斜面で大きくS字を描くその姿は、まるで要塞のよう。車で渡ると次々に景色が変わり、その先には昔ながらの温泉街が現れます。
県道戸沢大蔵線の「肘折希望(のぞみ)大橋」(志田 裕撮影)。
この巨大な建造物の正体は、山形県大蔵村にある県道戸沢大蔵線の「肘折希望(のぞみ)大橋」です。国道458号と肘折温泉を結ぶこの橋は、離れた場所から眺めると、何本もの柱に支えられた道路が大きく曲がり、上下に重なっているように見えます。
実際に車で走ると、カーブと坂道が連続し、向きが変わるたびに周囲の山々や温泉街が視界に入り、ちょっとしたアトラクションのような楽しさを感じられます。
橋は、斜面に打ち込まれた119本の鋼管杭と鋼製の骨組みで道路を支える「鋼製ラーメン桟道橋」という形式で造られています。「ラーメン」とは、柱と梁を一体化した骨組みを指す建設用語で、この形式の橋としては国内最長だといいます。
驚くべきは、橋がつなぐ2地点の距離です。水平方向にはわずか20mしか離れていないのに対し、高低差は14mもあります。これは一般的な建物なら4~5階分に相当します。車が安全に通れる勾配を確保するため、道路をS字に曲げて距離を稼いだ結果、橋の長さは240.5mにも達しました。
豪雪地帯ならではの「急がねばならぬ」事情
では、なぜこれほど大規模な橋が必要だったのでしょうか。もともとこの場所には温泉街へ下りる道路がありましたが、2012年の4月と5月に大規模な地すべりが発生し、県道の一部が崩落してしまったのです。これにより、住民や温泉客は迂回を余儀なくされました。
新しい道路は、崩れた斜面を避けて通す必要がありました。そこで選ばれたのが鋼製ラーメン桟道橋です。この工法は、狭い山道でも部材を運びやすく、大規模な掘削を抑えながら工事を進められる利点がありました。
工期の短さも重要な要素でした。肘折は国内有数の豪雪地で、2018年には積雪が445cmに達した記録もあります。地すべり後に使われた迂回路は冬になると通れなくなるため、温泉街へのアクセス確保は、観光業だけでなく住民の暮らしにとっても急務だったのです。
復旧工事は2012年8月に始まり、同年12月31日には仮設の橋が開通。翌2013年11月30日、現在の肘折希望大橋が完成しました。最初の地すべり発生から、ちょうど600日目のことでした。
公募で決まった「希望」という名前には、寸断された道の復旧を待ち望んだ地域の思いが込められています。山の斜面で圧倒的な存在感を放つこの橋は、今もここに暮らす人々と町を訪れる人々をつなぐ、大切な道であり続けています。
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