温泉地を走る「日本最古級の電車」! 空から見た「100歳超の長老」の雄姿も世代交代か
- 乗りものニュース |

引退時期が決まったモハ1形・2形
箱根登山電車は1919(大正8)年、箱根湯本~強羅間が開業しました。開業時に木造車体のチキ1形電車が誕生し、後にチキ2形、チキ3形と製造されました。これらの車両は1950年代に鋼製車体へと改造され、あわせて形式がモハ1形、モハ2形、モハ3形に変更。モハ1形は101~107号(105号は事故により欠番)、モハ2形は108~112号、モハ3形は113~115号となって、長らく箱根登山電車の顔として活躍してきました。
強羅駅に到着するモハ1+2形のモハ104+106+108が最後の活躍を見せる。(2025年11月、吉永陽一撮影)
モハ1、2形は駆動方式を吊り掛けから中空軸平行カルダンへと換装した車両もあり、車内はロングシート車とセミクロス車がありました。外観は同じように見えても、車両によって差異があったのです。
さらに1993(平成5)年からは輸送力増強のため、両運転台構造だったものを2両固定編成化することとなり、モハ1形が2両固定編成に変わりました。モハ2形は両運転台車のまま残して増結用とし、モハ1形と連結して計3両編成として運行されました。ペアとなったのは、101+102号(吊り掛け駆動)、103+107号(吊り掛け駆動)、104+106号(カルダン駆動)で、この編成にモハ2形が連結される日がありました。
しかし、新型車両が登場する影では引退もあります。現在は、モハ1形が104+106号、2形が108号の計3両のみが残り、いずれもカルダン駆動方式です。これらの車両は定期運行の普通電車として国内最古参(小田急箱根調べ)とのことですが、部品の調達やメンテナンスの問題が困難となり、ついに2028年1月の引退が決定されました。
2025年の11月後半。空撮のため小型機で箱根付近を飛行し、まだ風が穏やかなため、これならば安全に山あいの箱根登山電車を狙えます。
強羅駅方向から線路をトレースするように進んでいると、小涌谷駅が目に入ります。停車しているのは、モハ1+2形(104+106+108号)で、交換駅のため上り電車を待っています。上り電車は3000形+3100形のアレグラ号で、やがて最古参と最若手が小涌谷駅で出会いました。
それにしても紅葉した木々が美しく、電車がより映えてきます。山間部なので影と日向の陰影の差がきつく、撮影する地点も悩みますが、なるべく正面に日差しが当たるような場所でシャッターを切ります。深まる秋に長い影、澄んだ朝の陽ざしに包まれながら、最古参の電車がゆったりと走行する姿は優雅であり、最後の雄姿を見せていました。
引退までまだ2年もあると言うべきか、それともあと2年しかないのかと思うか――。最古参電車に対する感情は人それぞれでしょう。晩秋から冬にかけての雄姿を見られるのもあと2回となります。
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