妊娠中の謎現象「ご飯の炊けるにおいで吐く」に共感続出…でも「どうして？」　産婦人科医に理由を聞いてみた結果

　妊娠経験のある女性から、つわり期間中のエピソードとして耳にすることが多い「ご飯の炊けるにおいで吐いた」という体験談。妊娠すると食べ物の好みが変わったり、同じものしか食べられなくなったりするといった話もよく聞かれますが、ネット上では「ご飯が炊けるにおいで何回吐いたか分からん」「あの湯気のにおい、本当にダメだった…」「家族がいるからご飯を炊かないわけにはいかなくてしんどかったな」「私もあのにおいだけは無理だった」といった共感の声が多いようです。一方で、その理由については「謎すぎる」「なんで？」と疑問を感じていた人もいるのではないでしょうか。

　どうして妊娠中・つわり中に「ご飯が炊けるにおいで吐き気を感じる」ようになってしまうのか……多くの妊婦が経験している“謎の現象”について、神谷町WGレディースクリニック（東京都港区）院長で産婦人科医の尾西芳子さんに教えていただきました。

有害な物質をなるべく取り込まないように…

Q.妊娠中や、つわり期間中において「ご飯が炊けるにおいで気持ち悪くなる・吐く」現象が起こることがあるのはなぜですか。

尾西さん「『ご飯が炊けるにおいで気持ち悪くなる』症状はつわりの一種で、つわりと同様に諸説ありますが、妊娠初期の胎児の器官ができる大切な時期に、お母さんが胎児にとって有害な物質をなるべく取り込まないように、においに敏感になっているとも考えられます。

気になるにおいは人によってさまざまで、それまで好きだったにおいや香りが、急に吐き気の原因となることもあります。

医学的には、嗅覚（におい）の大脳皮質への刺激が、延髄の嘔吐（おうと）中枢を刺激してしまうことで症状が起こります。同じように、抗がん剤で治療中の患者さんにも、においに過敏になって吐き気が起きてしまうという症状がよくみられます」

Q.同様の理由で、妊娠中・つわり中に「気持ち悪くなる」「嗅ぐと吐いてしまう」においとして、どのようなものが多いのでしょうか。

尾西さん「『ご飯の炊けるにおい』のほかにも、『ご主人の汗臭』や『人込みのにおい』『たばこのにおい』『湯気のにおい』などが原因になることもあれば、通常であればいいにおいと思われるシャンプーや香水のにおいなどがきっかけになることもあります。これらのにおいが、鼻の奥の嗅上皮（きゅうじょうひ）を刺激してしまうためです」

Q.「ご飯が炊けるにおい」を含め、妊娠中やつわり中に「におい」で気持ち悪くなったり、吐いたりする状況になった場合、対策として何かできることはありますか。

尾西さん「炊飯器でご飯を炊くと、においが家中に充満するので、つわりでつらい時期はパックのご飯をレンジでチンして利用することが一つの対策になるのではないでしょうか。食事も、温かいとにおいが立ちやすいので、加熱せずに作れるものや市販のお総菜を利用するのもよいですね。

また先述のように、今まで使っていたシャンプーや香水で気持ち悪くなることもありますが、強いにおいは産後、生まれたばかりの赤ちゃんにとっても刺激が強すぎるので、このタイミングで刺激の少ない無香料のものに替えるのもおすすめです」

オトナンサー編集部

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