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日銀「異次元緩和」継続も漂う手詰まり感 「有事」の備えは大丈夫か?

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どうする! 日銀の金融政策に手詰まり感(写真は、東京都中央区の日本銀行本店本館)
どうする! 日銀の金融政策に手詰まり感(写真は、東京都中央区の日本銀行本店本館)

日本銀行が2021年3月の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の「点検」結果をまとめた。現行の「異次元緩和」「ゼロ金利政策」といわれる政策は効果があるとして継続することを確認したうえで、株価指数に連動する上場投資信託(ETF)の購入手法を見直すとともに、銀行などの収益悪化を防ぐための制度も新設するなど、対応する。

日銀が掲げる2%の物価上昇目標の達成がまったく見通せないなか、現行の政策をなお継続せざるを得ないと判断し、「副作用」を抑えながら有事に備えようというわけだ。だが、手詰まり感はぬぐいがたく、苦しい政策運営が続きそうだ。

「ゼロ金利政策」は効果あり!?

今回の点検は、4点に整理できる。

まず第1に、現在実施している短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度にそれぞれ誘導するという、俗に「ゼロ金利政策」(正確には「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」)について、「効果があり、継続が適当」と結論づけた。

そのうえで第2に、長期金利について、従来は変動を認める幅をプラス・マイナス0.2%程度としてきたが、上下0.25%程度と幅を広げ、明記した。同時に市場での国債の購入について「連続指し値オペ」を導入。指定した金利で無制限に買うという従来からの指し値オペを広げ、たとえば1週間にわたって指定金利で買い続けるというもの。金利操作の実効性を高める狙いといえるが、逆に言えば、今後、そこまでしないと金利を目標に誘導できない恐れがあるということになる。

第3に、短期金利(目標金利マイナス0.1%)に連動する「貸出促進付利制度」を新設する。マイナス金利の悪影響を受ける金融機関が融資に慎重にならないよう配慮するものだ。今後のマイナス金利の「深掘り」、つまりマイナス幅の拡大に備える仕組みといえる。

第4に、ETFの買い入れについて、「年6兆円ペース」とする原則を撤廃した。コロナ感染症の拡大を受け、臨時の措置として年12兆円に倍増させた上限は維持した。

株高局面では購入を控える一方、株価急落時には集中的に購入する方針に軌道修正したものだ。J-CASTニュース「『日本株最大の株主』 日銀に『出口戦略』はあるのか」(2020年12月19日付)でも指摘したように、日銀は事実上の日本最大の株主だ。それなのに株価3万円回復でも、なお買い続けるのか、という批判への一つの答えだ。

銀行の収益悪化 金融緩和の「副作用」が顕在化

今回の点検の背景には、金融緩和がなお相当の長期にわたって続くとの認識がある。日銀の黒田東彦総裁は2013年の就任とともに2%の物価上昇目標を導入したが、実現への道筋がまったく見えないところへ新型コロナウイルスの感染拡大が直撃し、達成はさらに遠のいた。

この中で、融資や国債運用で稼ぐ金融機関は長引く超低金利によって稼げなくなり、収益が悪化するという金融緩和の副作用が顕在化している。日銀が長期戦に臨むにあたって、政策を手直しして副作用を和らげる必要があったということだろう。

たとえば、今回新設する「貸出促進付利制度」は、黒田総裁が「マイナス金利政策をさらに強化しうるものだ」と位置付ける。コロナ禍で苦しむ企業などへの金融機関の融資実績に応じて、金融機関が日銀に預けている当座預金の利子を上乗せするというもので、追加緩和でマイナス金利幅を拡大する際には、この上乗せ分を増やすという。

日銀がマイナス金利をさらに下げると、超低金利で疲弊している金融機関の経営への打撃が増すため、「日銀はこれ以上の利下げに動けない」との見方が市場では根強かった。新制度は、金融機関に事実上の補助金を出すことで金融政策の選択肢を確保しようとしたといえる。

ETFの購入抑制が金融緩和の後退と受け取られかねないので、追加緩和(マイナス金利の深掘り)の余地を残し、ETFと相殺する必要があったという側面もある。

日銀への「やさしさ」際立つ読売新聞の社説

今回の点検について全国紙5紙は3月20~25日に、社説(産経新聞は「主張」)で論じた。

毎日新聞(25日付)は「実態は緩和の副作用に対する小手先の対応に過ぎない。金融政策の手詰まり感は一層強まった」と最も辛口で、すでにETFの保有残高が50兆円規模に達するなど「異次元緩和の『出口』を一切語らないというのでは無責任だ」と酷評する。

日本経済新聞(20日付)は「政策の持続性と機動性を高める意味でも修正は妥当だ」と、今回の見直しを基本的に評価するものの、「購入済みETFをどうするかの議論は避けた。......重要な論点が積み残された」と、出口戦略を議論しない日銀の姿勢には批判的だ。

何事も、主張の対立が目立つ朝日新聞と産経新聞を見ると、朝日新聞(22日付)は、ETFについて「削減は当然の措置だ。一方で目安をなくしたため、具体的な運用方針がみえにくくなった」、「貸出促進付利制度」にいついても「将来の適用対象は『制度の趣旨に沿って決定』としか書かれておらず、あいまいさが残る」など、わかりにくさを批判。産経新聞(21日付)は「政策効果を高める措置を今から講じておくことは有益である」と基本的に評価しつつ、「細かく修正を加えた結果、金融政策がますます複雑になり、その全体像が捉えにくくなっていることには懸念を覚える」と書く。わかりにくさへの懸念については、朝日新聞と共通している。

日銀に最も理解を示したのが読売新聞(20日付)で、「デフレ脱却に向けて金融政策の役割は大きいが、緩和が長引き弊害も目立っている。政策の修正に踏み切ったことは評価できる」と「エール」を送り、ETFについて「市場の安定期には買い入れを減らし、緊急時に対応する狙いは適切である」と支持。「出口」について、戦略を描けない日銀への批判的な言い回しはなく、「日銀に代わる株主を増やす施策に注力してほしい」と政府に注文するなど、日銀への「やさしさ」が際立っている。(ジャーナリスト 岸井雄作)

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