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「東芝」経営再建...「物言う株主」経営陣入り、非上場化の流れ加速か 企業価値高める「最善策」の模索続く

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総会では株主から「非上場化はやめてほしい」の声も。「東芝」経営再建の行方は?(写真は、東芝本社ビル)
総会では株主から「非上場化はやめてほしい」の声も。「東芝」経営再建の行方は?(写真は、東芝本社ビル)

混迷してきた東芝の経営再建は、軌道に乗るのだろうか。

2022年6月28日の定時株主総会は取締役候補13人を選任する人事案を過半数の株主の賛同で可決した。「物言う株主」(アクティビスト)といわれる海外ファンドの幹部2人が含まれているほか、4人は物言う株主の意向を受けた人物で、非上場化してファンドなどが買収する方向で議論が加速する可能性が高まったとみられている。ただし、それが東芝の企業価値を高めることにつながる保証はなく、再建の行方はなお不透明だ。

再任されたばかりの社外取締役、総会後に辞任する異例の展開

東芝再建をめぐる動きは、記事末尾の年表やJ-CASTニュースのバックナンバーを参照してほしいが、直近の動きを押さえておくと、2021年11月、「3分割案」をまとめたが、物言う株主の反発を受け、22年2月に「2分割案」に修正したものの、3月の臨時株主総会で否決。そこで、5月30日締め切りで再建策を募集し、10件(うち8件は非上場化=外部資本による買収)の応募があり、株主総会後の新体制で検討することになっている。

この間、綱川智氏は臨時株主総会前に、一連の混乱の責任を取って社長を辞任し、3月1日付で島田太郎氏が後任に就任している。

物言う株主の多くは、高値で株を買い取ってもらえる非上場化を望んでいると見られている。今回の株主総会によって、ファンド関係の取締役が増えたことで、非上場化の流れが加速するとの見方が広がっている。

今回の総会の前、社外取締役の綿引万里子氏(元名古屋高裁長官)が、海外ファンド幹部2人を新任取締役とする人事案に対し、反対である、との異例の見解を表明した。だが、総会で提案通り承認されたのを受け、再任されたばかりの綿引氏は直ちに取締役を辞任するという、これも異例の展開を見せた。

とはいえ、綿引氏が去ったことで、残る12人の取締役の半数の6人をファンド幹部やファンド関係者(ファンド推薦)が占めることになり、非上場化に向け、取締役会の「純化」が進んだともいえる。一方、綿引氏の主張で、新経営陣も安易な売却はしにくくなったとの指摘もある。

こうした総会の結果について、経済同友会の桜田謙悟代表幹事が、「いろいろな取締役がいて、執行部の意見を聞くのが一番よいバランスだ。ちょっとファンドの意向が強すぎる構成にみえる」(6月29日の会見)と疑問視。

企業買収に詳しいIBコンサルティング社の鈴木賢一郎氏は、「今の経営陣はアクティビストの方しか見ていないように映る。アクティビストは株価を上げて利益を得るために非公開化をねらっている。株主の短期的な利益だけを考えて非公開化して本当によいのか。従業員や他のステークホルダー(利害関係者)にとっても最善の策を考えるべきだ」(朝日新聞29日朝刊)と、今後の展開を警戒する。

総会でも、株主から「上場しているから(人材が集まり)技術が蓄積された。非上場化はやめてほしい」など、非上場化への反対論も多数出た。

外資だけの買収は事実上困難、産業革新投資機構(JIC)と組む可能性も?

それでも非上場化に進むとすれば、短期的利益重視の「物言う株主」から、特定のファンド(1社でなければファンドなどの連合)が丸ごと会社を買い取ることで、物言う株主との調整に費やしてきたエネルギーを、前向きの経営再建に向けられる意味は大きい。

他方、買収資金は、今後の東芝の利益をあてにして借り入れることになるが、買収価格が過大になったり、買収後に順調に収益を上げられなかったりすれば、事業売却など資産の切り売りや人員削減を迫られる可能性もあり、東芝という会社がじり貧になっていくかもしれない。

また、これまでの記事でも指摘してきたように、原発や防衛関連事業など日本の安全保障に重要な事業を抱える東芝のような企業の買収は、改正外為法に基づく政府審査の対象になる。

このため、外資だけの買収は事実上、困難とみられる。買収額は3兆円ともいわれる巨額の案件だけに、官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)も買収に名乗りを上げており、JICと組む提案もあるといわれる。ただし、JICの資金は税金だから、政府(経済産業省)の事実上のOKが必要だ。

3月に就任した島田社長は6月初め、データビジネスを新たな核とする経営方針を発表した。デジタル技術とハードの両方を持つ東芝の強みを生かして、「モノづくりができるIT企業」を目指すものだ。「理にかなった戦略」(6月29日、日本経済新聞社説)と評価は高いが、ゆっくり時間をかけている余裕はない。

収益改善の状況をにらみ、経産省の意向も慮りながら、非上場化を中心とした再建策の検討が進むことになる。(ジャーナリスト 済田経夫)

<東芝年表>
2015年 4月 不正会計が発覚
2016年12月 米原発事業での巨額損失を公表
2017年12月 6000億円の第三者割当増資
2020年 1月 子会社で不正会計が発覚
2021年 4月 英投資ファンドCVCキャピタル・パートナーズによる買収提案が判明/車谷暢昭社長辞任、綱川智会長が社長に復帰/CVCが買収提案を事実上撤回
2021年 6月 20年の株主総会の運営が不公正だったとの調査報告書公表/株主総会で永山治・取締役会議長らの取締役再任否決
2021年11月 会社を3分割する方針を公表
2022年 2月 3分割計画を2分割に修正
2022年 3月 綱川智社長が事実上引責辞任、島田太郎氏が後任に就任/臨時株主総会で2分割計画否決
2022年 5月 再建計画の提案締め切り、非上場化8件などの提案
2022年 6月28日 定時株主総会でファンド幹部2人を含む13人の取締役を選任

<J-CASTニュース バックナンバー>
「東芝」経営再建、投資家から8件の「非上場化」提案...このまま買収の方向で進むのか? 今後を左右する3つの「論点」とは(2022年06月12日付)
いばらの道続く「東芝」経営再建の行方 「2分割」「非上場化」否決...またも戦略練り直し急務(2022年4月3日付)
可決するか? 東芝「2分割」案 臨時株主総会に向けて続く関係者間の激しい駆け引き(2022年2月22日付)
株主が「ノー」前代未聞の異常事態! 東芝経営に「救世主」は現れるのか?(2021年7月4日付)
混迷続く東芝、「過保護」の実態が明るみに 経産省が「物言う株主」に圧力(2021年6月21日付)
社長辞任、CVC買収断念... 混迷の東芝はどこへ行くのか!?(2021年4月24日付)
東芝2兆円買収 CVCキャピタルの提案は「混迷」から脱出するチャンスなのか?(2021年4月13日付)
東芝経営陣の正念場 「物言う株主」が揺さぶる「不利益な議決権行使」の実態解明のゆくえ(2021年3月27日付)
選任賛成率、異例の「57.96%」 物言う株主に悩まされる東芝・車谷社長のかじ取り(2020年8月25日付)

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