どうせ読むならポイント貯めない?

車窓が特殊すぎる!? 私鉄の「殺風景を楽しむ電車」とは? 終点もちょっとヘン!

6,378 YOU
  • 乗りものニュース
  • |

全長が10kmに満たない鉄道路線で、「夜に電車で行き来する」という企画が10年超も続いてきました。ロングランの人気を探ろうと乗り込むと、首をかしげる光景の駅に行き着きました。

だって工場地帯なんだもん

 全長が10kmに満たない鉄道路線で、「夜に電車で行き来する」という企画が10年超も続いてきました。ロングランの人気を探ろうと乗り込むと、首をかしげる光景の駅に行き着きました。

Large figure1 gallery22運行中の岳南電車の8000形(大塚圭一郎撮影)

 JR東海道本線の吉原駅(静岡県富士市)から分岐する全長わずか9.2kmのミニ私鉄が岳南電車です。親会社の岳南鉄道を含めて富士急行のグループ企業になっています。ともに旧京王帝都電鉄(現・京王電鉄)の旧3000系(現・7000形、8000形)や旧初代5000系(現・9000形)が活躍し、鉄道ファンからの人気が高いものの、地元以外の注目度は高くありませんでした。

 というのも、製紙工場や自動車部品工場などがひしめく工業地帯を縫って走り、沿線には集客力のある観光名所がないためです。

 そんな制約を跳ね返し、沿線の工場を”観光名所”に一変させた立役者が「夜景電車」です。吉原―岳南江尾の全線を往復してライトアップされた工場の夜景を眺めるユニークな企画で、2014年の本格開始から10年超も続いてきました。原則として月に2日開催し、参加費は1日フリー乗車券などが付いて大人1300円、子ども700円です。今後は7月19日土曜、8月16日土曜にそれぞれ1往復する予定です。

 筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)が参加したところ、電車は「まるで中間駅」のようなプラットホームに滑り込みました。そこには歴史的な背景がありました。

車内を真っ暗にして楽しむ夜景 もう1両は照明ONのまま

「5、4、3、2、1、消灯!」

 車内放送でのカウントダウンとともに、吉原を19時43分に出発した岳南江尾行きの8000形電車の2両のうち、進行方向から2両目の車内を暗闇が包みました。車窓の工場夜景が映えるために車内を暗くし、開いている窓から撮影できるようにしているのです。一方、1両目は通常の定期列車として運用しているため、照明が付いたままです。

 筆者が参加した6月21日の「夜景電車」には50人が参加し、家族連れの参加が目立ちました。この日は夏至でしたが、19時3分の日没の後だったため夜のとばりが既に降りていました。

 車内放送での案内役を務めた岳南電車鉄道部運輸区主任の藤咲拓也さんが「夜景は外にありますので、ひざ立ちで外側をご覧いただくことをお薦めします」と呼びかけると、参加者は靴を脱いでロングシートに膝立ちして窓の外をのぞき込みました。

トイレットペーパーの半分は「ここら辺で作ってます」

 出発した電車の左側には、重要港湾に指定されている田子の浦港があります。この港に製紙工場で使う外国産の木材チップや、燃料の石炭などが船舶で運び込まれています。電車が内陸部へと曲がると、ジェネリック医薬品(後発薬)を製造している日医工静岡工場が出てきました。

Large figure2 gallery23岳南電車の始発、吉原駅の駅舎(大塚圭一郎撮影)

 最初の停車駅は、その名もズバリのジヤトコ前。日産自動車系の自動車部品メーカー、ジヤトコの富士第一地区の工場前にあります。藤咲さんは「ジヤトコはジャパン・オートマティック・トランスミッション・コーポレーションの頭文字から命名されており、クルマのトランスミッション(変速機)のCVT(無段変速機)などを造っている工場です」と説明しました。

 ジヤトコ前の2駅先の本吉原は、四角すい状に加工された石を積み上げて造ったホームと、ホーム上の屋根を支えるための丸みを帯びた支柱が国の登録有形文化財に登録されています。

 駅の近くには、「芯なし5倍巻きトイレットペーパー」を国内で初めて売り出した丸富製紙といった製紙工場が照明で浮かび上がっていました。藤咲さんが「トイレットペーパーの製造場所の表記を見ていただくと、ほぼ2分の1の確率で静岡県富士市なので、帰宅後にご確認ください」とアピールした通り、富士市は国内屈指の「紙のまち」です。

「貨物終了」で窮地に

 岳南電車もかつては製紙工場と結ぶ貨物列車が走り、工場で使う原材料や、完成した製品を運んでいました。

 しかし、2012年3月に貨物列車の運行は終了。「夜景電車」に同行したボランティア団体「フジパク」の鈴木秀実さんは理由を「紙の出荷量が減ったこともあって貨物列車より大型トラックで運んだ方が効率的になったためです」とし、「大型トラックならば帰りに(再生紙の原料となる)古紙を積んで来られるのも好都合でした」と解説しました。

 当時鉄道を運行していた岳南鉄道は、会社の屋台骨を支えていた貨物列車の運輸収入を失って経営危機に陥りました。事業再構築策として2013年4月に鉄道を分社化して「岳南電車」となり、富士市の補助金を受けて存続することになりました。一方で少子高齢化が進む中、利用促進策も急務となりました。

 一筋の光明となったのが、2014年の夜景観光コンベンション・ビューローの「日本夜景遺産」への認定です。殺風景だと受け止める向きさえあった工場の並ぶ沿線風景が景勝地へと一変し、観賞用の「夜景電車」は観光客を呼び込む舞台装置としてすっかり軌道に乗りました。

終点なのに「まるで中間駅」のナルホド~な理由

 本吉原の次は岳南原田です。ここから隣の比奈までは見所の一つで、両側に立つ工場から延びたパイプライン(配管)が、ところどころで線路を覆っています。配管は辺りの照明に照らされ、いぶし銀の光沢を放っています。

Large figure3 gallery24「夜景電車」に同乗した「フジパク」のメンバー。吉原駅で(大塚圭一郎撮影)

 比奈の次の岳南富士岡の駅前にある「がくてつ機関車ひろば」には貨物列車をけん引していた電気機関車を展示しており、1928年に川崎造船所(現・川崎車両)が製造した凸型の「ED501」や、日本車両製造が65年に造った「ED402」などが並びます。

 駅の近くには漫画誌『週刊少年ジャンプ』(集英社)に使われている更紙(ざらがみ)などを生産する興亜工業の製紙工場もあり、よく目にする白と赤ではない「白と青の煙突」から白煙が上っていました。

 電車は「チン、チン、チン」と鐘を打つ警報音が鳴り響く「電鈴式踏切」を通り、住宅街を抜けると終点の岳南江尾に着きました。

 反対側に9000形が停車した1面2線の島式ホームに降り立つと、違和感を持ちました。終点なのに線路が先へ延びており、ホームと改札口の間にある構内踏切を渡って駅舎へ向かう構造は「中間駅」のようだからです。

 藤咲さんはその理由を「昔は沼津方面へ延ばす計画があり、岳南江尾は中間駅になるはずだったからです」と教えてくれました。延伸用の土地も岳南江尾の先まで買い取ったものの資金不足から中止され、背景として「都市の規模で上回る沼津へ延伸すると人口が流出し、衰退してしまうという懸念が吉原側にあって十分な資金が集まらなかった」とされます。

 購入しながらも線路が敷かれなかった土地の多くは、今も空き地のまま残されています。線路用の細い土地のため買い手が付きにくかった事情もあるそうです。

「夜景電車」に乗って暗黒の空間になじんでいた筆者は、電車が岳南江尾の先の「未成線」の線路を通り、ヘッドライトが暗闇を照らして進んでいくのではないかという不思議な錯覚を抱きました。

実は損している?

ニュースを読んでポイントが貯まるサービスがあるのを知っていますか?ポイントサイトのECナビでは好きなニュースを読んでポイントを貯めることができるのです。(※ECナビはPeXの姉妹サイトです。)今日読んだニュースが実はお小遣いになるとしたら、ちょっと嬉しいですよね。

ポイントの貯め方はニュースを読む以外にも、アンケート回答や日々のネットショッピングなど多数あるので、好きな貯め方でOK!無料で登録できてすぐに利用できます。貯まったポイントはPeXを通じて現金やAmazonギフトカードなどに交換できます。

運営実績も15年以上!700万人以上の方がポイントを貯めています。毎日好きなニュースを読んでお小遣いを貯めてみませんか?

YOUの気持ち聞かせてよ!

いいね いいね
ムカムカ ムカムカ
悲しい 悲しい
ふ〜ん ふ〜ん
NEWS一覧へ
PeXポイントで賞品を当てよう!

ポイント ポイント獲得の流れ

ポイント獲得の流れ

ポイント ルール・注意事項

ポイント獲得!!