韓国の最新自走砲 なんと車内無人で射撃!?「誰が撃つの?」北朝鮮軍との砲戦で得られた教訓とは
- 乗りものニュース |

世界で売れる韓国製自走砲
自走榴弾砲は、前線後方から敵部隊や陣地へ継続的に砲撃を加え、味方部隊を支援する兵器です。戦車のように敵と直接撃ち合うことを主眼とはしていませんが、現代の陸上戦でも戦局を左右する重要な存在です。
ユーロサトリに展示されたハンファ・エアロスペースのK9A2自走砲(布留川 司撮影)
ところが近年は、偵察・攻撃ドローンの急速な普及によって、その生存性が脅かされています。火力の向上だけでなく、敵に発見された際の迅速な退避や、被弾時の人的損失を抑える能力も求められるようになりました。
その対応策の一つが、射撃操作の自動化と遠隔化です。
韓国の防衛企業ハンファ・エアロスペースは2026年6月にフランス・パリ近郊で開催された防衛装備展示会「ユーロサトリ」において、155mm自走榴弾砲K9の最新モデルである「K9A2」の実車を展示しました。
K9は世界で2000両以上が生産されたベストセラー自走砲で、その約半数は海外への輸出や現地生産分が占めています。ポーランドやオーストラリア、ノルウェー、フィンランドなど複数の国で採用され、韓国を代表する防衛装備品となっています。
現在開発中のK9A2では、自動装填装置の採用によって砲弾の装填作業を自動化し、乗員数を5名から3名に削減し、射撃能力の向上を図っています。しかし、担当者が併せて強調したのは、「遠隔操作による射撃能力」です。
ハンファ・エアロスペースの担当者によると、K9A2は有人での運用だけでなく、車両を陣地へ展開した後、乗員が離れた指揮所から遠隔操作で射撃を行うことを想定しています。この機能を搭載することで、複数のK9A2を無人のまま運用することも想定しているといいます。これは自走砲の運用思想そのものを変える技術といえるでしょう。
進化の原動力は北朝鮮との武力衝突
ハンファ・エアロスペースの担当者の説明によると、この遠隔射撃能力が開発された背景には、ドローン兵器の普及が始まるずっと前のことで、それは2010年に発生した「延坪島砲撃事件」がきっかけだったそうです。
韓国軍で運用されているK9自走榴弾砲(画像:韓国軍)
2010年11月23日に黄海(西海)の韓国領・延坪島において、北朝鮮と韓国による砲撃戦が勃発。韓国軍は島にK9を配備していましたが、激しい北朝鮮の砲撃によって一部のK9や射撃指揮システムにも障害が発生。迅速な反撃に支障が生じたことから、韓国軍は砲兵運用のあり方を見直すことになります。
担当者は当時を振り返り、「その時は砲撃が激しく、車両まで近づくことができませんでした。だから新しいモデルでは遠隔操作機能を備えています」と説明します。そして、「韓国には軍事境界地域に近い地域に基地があり、このK9A2を陣地に配置してネットワークへ接続すれば、車内に誰も乗らずに北朝鮮方向へ射撃できます」とこの遠隔射撃能力の運用方法についても明かしました。
担当者によると、K9A2は有線・無線の双方による遠隔操作に対応しており、離れた指揮所から車内外のカメラ映像や車両状態をリアルタイムで確認しながら射撃を指揮できるといいます。K9A2の開発官僚はは2027年を予定しており、既存のK9もK9A2仕様に改修される計画だそうです。
現時点でK9A2の遠隔射撃能力は陣地での運用のみですが、今後開発される発展型のK9A3では車両自体を無人化し、複数の車両を指揮車両から遠隔操作するという、部隊自体の無人運用化も構想されているといいます。
延坪島で得た戦訓は、自走砲そのものの性能向上だけでなく、「砲兵が車内に乗らずに戦う」という新たな戦い方を生み出したといえそうです。
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