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大きな目標だけがキャリアをつくるわけじゃない。パナソニックグループで全社変革に携わる女性が考える、人生100年時代の仕事観

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取材・文:ミクニシオリ
撮影:田中大介
編集:五十嵐 紫月/マイナビウーマン編集部

日々の業務に追われていると、今やっている仕事がいったい何につながっているのか分からなくなってしまう時はありませんか?

自分のやっていることが積み上がっている感覚が持てないと不安になってしまうのは、現代社会の価値観そのもの。

でも、私たちはまだ道半ば。振り返ってみても道筋が通っているように思えないのは、まだキャリアの答えが出ていないからというだけなのかもしれません。

「過去も未来も、くよくよ考えても仕方ない」と教えてくれたのは、パナソニック オペレーショナルエクセレンス社でITバリュープロモーション部の部長を務め、パナソニック ホールディングス デジタル統括部のシニアエキスパートを兼任している岡村有里子さん。

日本史と少女漫画が好きだった幼少期。就職活動では別の業界を目指していたという彼女ですが、ITの世界で歩みを重ねる中で、全ての点がつながっていきます。

過去や未来を不安に思うより、ひたむきに目の前の課題に向き合い続けることの大切さを教えてくれるリーダーの素顔を伺いました。

岡村 有里子さん

1991年、松下電器産業㈱(当時)に入社。以来、一貫して情報システム分野に従事し、新技術適用、B2Bシステム導入、海外プロジェクト、部門政策などを担当。2022年4月、パナソニック ホールディングス㈱ 情報戦略部 主幹(当時)着任とともに全社プロジェクト「PX(Panasonic Transformation)」に参画。2026年4月、パナソニック オペレーショナルエクセレンス㈱ ITバリュープロモーション部 部長に就任。

■歴史に漫画、プログラミング……知的好奇心にあふれた学生時代

Q.1 幼少期はどんな性格でしたか?

両親と妹の4人家族の長女として生まれ、小さい頃は引っ込み思案な性格でした。恥ずかしがり屋で、自分の内面や気持ちを表に出すのがとにかく苦手。母が本や漫画をよく嗜む聡明な女性だったこともあり、自然と読書量が増えていきました。

特に好きだったのが、図書室にある歴史漫画や『ベルサイユのバラ』『エースをねらえ!』といった、名作少女漫画たち。少女漫画って本当によくできていて、教訓もあって。今読み返すと昔以上に言葉や表現の奥深さについて考えさせられます。

Q.2思春期は学校でどんな存在でしたか?

小学校低学年の頃は、内向的な性格が仇となって、周囲から何か言われると人一倍受け止めて傷ついていました。ですが、高学年になると成績が悪くなかったこともあり、先生からも重用されて学級委員的なキャラクターになっていきました。みんなの顔色を見ながらまとめ役をしていたので、リーダーシップを発揮するシーンが少しずつ増えていきました。

Q.3進路はどのようにして選びましたか?

やりたいことを見据えて動くというよりも、手探りで最良の道を選択していくタイプなので、最初は母に勧められた薬剤師の道を意識していました。そのうちに歴史好きが高じて日本史の学者にも興味を持ち、古都である関西エリアの大学を目指しました。

Q.4 大学時代はどのようなことを学んでいましたか?

文学部に進み、念願だった歴史を学んでいましたが、就職する頃がちょうどITが業界として注目され始めた黎明期でした。大学の講義でもプログラミングに触れる機会があり、ロジカルなアルゴリズムの世界が性に合うと感じ、進んで学ぶようになっていきました。もともと社会心理学や統計学にも興味があったので、データを分析することで人の心理をデジタルに解き明かすことの楽しさを感じていたんです。

■情報システム一筋のキャリア。組織を率いる立場になっても「課題解決の日々」

Q.5 これまでのキャリア変遷を教えてください。

新卒からずっとパナソニックグループで働いています。就活時には広告やメディアの世界にも興味を持っていたのですが、たまたまご縁をいただいたのがITの世界でした。当時は「これがやりたい!」というビジョンはなく、働きながらやりたいことを考えていこうかなと思っていました。入社から今まで、情報システム部門一筋です。

中でも印象的なのが、2022年から参画している全社変革プロジェクト「PX(Panasonic Transformation)」。ITの枠を超えて会社全体の働き方や文化を変えていく取組みで、大きな刺激を受けています。

Q.6  現在のお仕事内容について教えてください。

現在はデジタル戦略本部のITバリュープロモーション部で部長を務めています。部署名を聞くとプログラミングやデータ分析を想像されるかもしれませんが、組織の方針や政策を策定する企画業務や、活動を社内外に向けて発信する広報的な業務、 ITシステムに関連する監査業務、オフィスソフトなどのライセンス調達の効率化など……他部署と融合して2026年4月に生まれた部署ということもあり、多岐に渡る業務をこなしています。

Q.7 1日のタイムスケジュールを教えてください。

現在は公私共に“無理をしない”ことをモットーにしているので、在宅ワークを掛け合わせてハイブリッドに働いています。出社する日は朝にメールチェックや急ぎの用事をこなしつつ、身支度も並行して行うので、たまに眉毛を描き忘れて後から慌てることも(笑)。

業務の3分の1程度はオンライン会議を含む会議にあてられていますが、会議が多すぎるとメンバーの相談対応やじっくり考える業務ができなくなるため、なるべく減らすように努めています。

Q.8新設部署のリーダーになった時のお気持ちを教えてください。

正直ものすごく大変そうだなとも思ったのですが、楽観主義なのでなんとかなるだろうと思っていました。オファーが来たら、基本イエスと答えてしまう性分なんです。

4つほどの機能が集約されて組織が生まれたものの、それぞれの共通項も見えづらい状況だったため、立ち上げの際にはパーパス策定にもかなり気を揉みました。

難しい部署ではあるのですが、簡単に答えが出ないからこそ、一生懸命自分で考えて出した答えを一概に「違う」とは周囲に判断されないと思うんです。ある種、考えた者勝ちというか、考えることに価値がある。リーダーを任された私の責任で考えてやっていこうと腹をくくりました。

Q.9 仕事にやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

もともと自分で何かを作って表現することが好きなので、発信する内容や言葉を考案できる、講演やセミナー関係には力が入ります。自分が手がけたものが空気を動かすきっかけになったと感じた時はうれしいですね。

また、今ではマネジメントも業務の大半を占めているので、チームメンバーが行ったことに対して現場の方や関係者が感謝や評価をしてくれた瞬間にもやりがいを感じます。

■人生100年時代。目の前の業務に取り組む中で変化した、社会や将来への目の向け方

Q.10 周囲のメンバーとはどんな関係ですか。

性格的にマイクロマネジメントが得意ではないというのもあるのですが、個々がやりたいことや得意なことを実現するための環境を作ることが私の役目だと思っているので、良い意味で干渉しすぎない関係かなと思っています。メンバーに対しても、ノーということはあまりないです。

Q.11  平日のランチはどんなところに行きますか?

出社時はほとんど、門真の本社にある社員食堂を利用しています。小鉢がたくさん用意されていて、ヘルシーな食事をとれるので助かっています。自由な働き方もそうですが、福利厚生も含めて健康に気を遣ってもらっていると感じますし、昔から社員に優しい企業ですね。

Q.12 仕事のストレスはどのように発散していますか?

週に一度はヨガピラティスをしつつ、休日はなるべく仕事のことを考えないようにして切り替えを意識しています。あとはやっぱり、読書かな。部署の立ち上げ時は本当に大変で、すがるように手に取ったのがデール・カーネギーの『道は開ける』という本でした。

昨日起こったことは、事実だから悩んでも仕方ない。明日起こることは、想像の域を越えないから、やっぱり悩んでも仕方ない……そんなことが書いてあるんですね。まさにその通りだと思って、意識的に悩みをシャットダウンするようになりました。

Q.13 今後の展望を教えてください。

昔から一貫して、今も明確にやりたいことがあるわけではないんです。ただ、今は人生100年時代。山口周さんという独立研究家の方の著書によれば、人生は25年周期なのだとか。 25歳までに人間の基盤を作り、26歳〜50歳までに挑戦を重ねる。50歳からは、自分が学んだことを社会に還元していく。そして、75歳からがやっと余生と言えるのだそうです。

社会に還元できることを考えてみると、“会社員としての自分”だけではない役割も意識し始めました。まずは、日本の良さをもっとグローバルに伝えていくこと。これは、会社員としてもできるかもしれません。

もう一つは、日本に生きる後世の女性たちにも、何かを還元したいなと思っています。もっと女性が声を上げやすい社会になったらいいなと思うけれど、自分個人としてできることは何か、今も模索しています。

正解はないですし、実際に何ができるのかまだ分かりませんが、実像のはっきりしない物事に向き合っていくことにも価値はあります。課題に向き合うことに、終わりはないですね。

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