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実は「離島防衛」のためだけじゃない! 陸自の精鋭「第1空挺団」が海めがけてパラシュートで飛び降りる “切実な理由”

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  • 乗りものニュース
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万が一の事態! なぜ「海へ降りる」必要があるのか?

 千葉県の習志野駐屯地(船橋市)に所在する陸上自衛隊第1空挺団は、毎年夏になると東京湾内・内房地域で、「水上降下訓練」を実施しています。

Large figure1 gallery15いざ降下訓練へ向かう直前の空挺隊員(武若雅哉撮影)

 昨今の安全保障環境を踏まえると、「これも離島防衛の一環なのかな」と思うかもしれません。本土から遠く離れ、飛行場もない日本の島々が敵に占拠された場合、迅速に奪還すべく部隊を投入するため、第1空挺団がそのスキルを磨いているという説明も、実際よく見受けられます。

しかし、第1空挺団が水上降下訓練を実施している理由は、決してそれだけではありません。

 そもそも、第1空挺団は陸上自衛隊で唯一の落下傘部隊です。彼らは、輸送機やヘリコプターからパラシュートで最前線へと降り立ち、戦闘に加わる精鋭部隊で、飛び降りる際の高度は約330m、スピードは約220km/hと言われています。

 通常であれば、降下予定地点は陸地などです。一度に多くの隊員が飛び出すため、開けている場所が降下地点として選ばれるのですが、それは航空機が無事に目的地上空まで飛行できればの話です。

 万全な整備が施された航空機であっても、不測の事態によって飛行継続が難しくなる場合があります。有事の際には敵の攻撃を受ける危険性もあるでしょう。

 もし機体に異常が発生した場合、パイロットは最寄りの飛行場や開けた場所まで飛んでいき、なるべく安全に着陸する方法を模索します。しかし、それが困難な状況に陥った場合、四方を海に囲まれた日本においては、地上への損害を防ぐために海へ向かって飛行することになります。

 その際パイロットは、住民の安全を確保するため市街地上空を避けるルートを選びつつ、自分自身や搭乗員の命を守るために機体をコントロールします。

 一方で、機体が重い状態では操縦性を保つのが難しく、安全な海域まで到達できないリスクも生じます。そのため、機体を少しでも軽くして高度と速度を維持しやすくすることも求められます。

 そこで重要となるのが、貨物室に乗っている空挺隊員の存在です。彼らは全員が落下傘を背負い、安全に降下する訓練を受けています。つまり、緊急事態においては隊員が優先的に機体から脱出することで、安全な海面への“途中下車”を行うのです。

海に落ちたらどうする? 陸上とは違う「命がけのルール」

 ただし、水上への降下は陸上への降下と異なり、特別な手順が必要です。具体的には「救命胴衣の展開」と「着水直前の落下傘の切り離し」が追加されます。

Large figure2 gallery16数年ぶりの自由降下による水上降下の様子(武若雅哉撮影)

 救命胴衣は普段から装備していますが、陸上降下では使用しません。水上降下では着水時の安全確保に必須となります。また、着水後に広がる落下傘が自分に覆いかぶさると水中に引き込まれて溺れる危険があるため、隊員は足が水面に触れた瞬間に落下傘を切離す訓練を重ねています。

 なお、過去には高度10mほどの上空で落下傘を切り離して飛び降りる隊員もいたと言われていますが、非常に危険なため、現在は禁止されているそうです。

 不測の事態で海に降りる可能性に備え、空挺隊員はこうした水上降下訓練を定期的に行い、いかなる状況でも確実に任務を遂行できるよう技能を維持しているのです。

 ちなみに、「旅客機にも脱出用パラシュートを積めばいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、旅客機の事故の多くは離着陸時に発生します。また、巡航時の飛行高度は1万メートル近くに達し、上空は酸素が薄く気温もマイナス50度近くになります。さらに飛行速度も時速800〜1,000kmと極めて高速なため、飛び出した瞬間に意識を失ってしまうのです。パラシュートの操作や着地には専門的な訓練が必要なため、一般の乗客がパラシュートで避難するのは現実的ではありません。

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