サボりがちだけど…冬も「紫外線対策」は必須 日焼け止めの効果&選び方 美容皮膚科医が解説
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夏によく使われる日焼け止めですが、中には年間を通じて使用する人もいるようです。夏だけでなく、冬も日焼け止めを使った方がよいのでしょうか。美容クリニック「APOLLO BEAUTY CLINIC」(東京都渋谷区)院長で、美容外科医・美容皮膚科医の鬼沢正道さんが解説します。
冬は皮膚の乾燥で紫外線のダメージを受けやすい
日差しの強い夏は日焼け止めを塗ってしっかりと紫外線対策をする一方、冬は日焼け止めを使わずに外出している人は多いと思います。確かに冬に外出しても日焼けはしませんし、そもそも冬に紫外線対策をする必要があるのかという疑問が湧いてきます。
結論から言うと、冬も夏と同様、紫外線対策が重要です。なぜなら冬は肌の乾燥が原因で皮膚のバリアー機能が乱れていることが多く、紫外線によるダメージを受けやすい状態と言えるからです。
紫外線対策について紹介する前に、まずは紫外線の性質について解説します。紫外線は太陽光に含まれる波長のうち、目に見えない波長(不可視光線)の一種で、波長が長い順に「UVA」「UVB」「UVC」の3種類に分類されます。
UVAは紫外線の中では比較的長い波長です。波は一般的に波長が長いほど深部まで浸透するという性質があり、UVAは他の紫外線と比較して透過性が高く、窓や雲などの遮蔽(しゃへい)をすり抜け、肌の奥深くまで到達し、真皮深層にあるコラーゲンやエラスチンといった肌に弾力を与えるタンパク質にダメージを与えます。そのため、UVAを浴び続けると、皮膚の老化やたるみの原因となります。
UVBは比較的波長が短く、皮膚表層に影響を及ぼす紫外線で、長時間浴びると肌が炎症(サンバーン)を起こします。その後、表皮の基底層にあるメラニン(メラニン色素)を生成する細胞であるメラノサイトが反応を起こし、日焼け(サンタン)を生じさせます。そして、皮膚表層の角質の保湿力を低下させ、乾燥や肌のキメを低下させる要因にもなるのです。
UVCはオゾン層に吸収されほとんど地表に降り注ぐことはなく、人体に影響を及ぼしません。
続いて、一般的な日焼け止めの効果についても知っておく必要があります。市販の日焼け止めのパッケージには「SPF(Sun Protection Factor)」「PA(Protection Grade of UVA)」という表記を見かけますが、これは紫外線に対する防御効果を表しています。
SPFとは、サンバーンの原因となるUVBに対する防御指標です。SPFの数値は「1~50+」まであり、「サンバーンを起こす時間をどれだけ延ばせるか」という指標です。
例えばSPF1の日焼け止めを塗った場合、塗らなかったときより20分ほどサンバーンを延ばせますし、SPF50の場合は16時間半ほど、サンバーンを延ばすことが可能です。SPF50以上の作用がある場合は一律で「SPF50+」と表記されています。
ここで注意が必要なのは、あくまで「塗らなかったときと比較してサンバーンをどれくらいの時間延ばせるか」という値であって、「1回塗ればどれくらいの時間、日焼け止めが作用するか」を表したものではありません。
そのため、「SPF20の日焼け止めを塗ったから、6時間以上塗り直しの必要はない」ということではなく、SPFの値が高い日焼け止めでも日中の塗り直しが必要です。
PAは、光老化の原因になるUVAに対する防御指標です。これは数値ではなく、「+(効果がある)」「++(かなり効果がある)」「+++(非常に効果がある)」「++++(極めて効果が高い)」の4段階で表記されています。
日焼け止めはローションやクリーム、スプレー、スティックなどさまざまな剤型があります。内容物も、紫外線そのものを吸収してくれる成分である「紫外線吸収剤」と、紫外線を反射し、散乱させて肌に届かなくする成分である「紫外線散乱剤」とに分かれます。
SPFやPAが高い商品ほどテクスチャーが悪い
ここまでの説明で、日焼け止めは「SPF50+、PA++++」の商品を使うのが手っ取り早いのではないかと思うかもしれません。
確かにSPFやPAが高いほど優秀な紫外線防御効果を発揮しますが、その数値が高いと化粧品の触り心地やつけ心地、肌にのせたときの質感である、いわゆる「テクスチャー」が悪く、塗りムラが生じて本来の効果を十分に発揮しない可能性があります。そのため、使用感にベタつきが出て、不快な思いをするかもしれません。
日焼け止めを落とす際にも注意が必要で、テクスチャーが悪いと日焼け止めを落としにくくなり、その際の過度な摩擦が肌のダメージを助長しかねません。日焼け止めの落とし損ねも肌トラブルの原因になり得ます。
例えば、代表的な紫外線散乱剤である「酸化亜鉛」は皮脂と結合し、毛穴の詰まりの原因になる可能性があります。先述の紫外線吸収剤は有機化合物が使用されていますが、それらが落とし損ねによって長期間肌に残ると、アレルギー反応が起こるリスクが考えられます。
SPF、PAが高いといった理由だけで日焼け止めを選ぶと、こうした落とし穴が潜んでいるのです。闇雲に数値のみを考慮するだけではなく、ご自身にとって使い心地が良い商品を選び、携帯の利便性なども考慮し、場面に合わせて日焼け止めを使い分けることが重要です。
紫外線の季節性について解説します。紫外線が私たちの人体に及ぼす影響の強さを分かりやすく指標化した「UVインデックス」を用いて、紫外線が季節によってどれくらい変化するかを紹介します。
UVインデックスは1~2程度であれば弱く、屋外でも安心して過ごすことができる数値とされます。3~5は中等度、6~7は強いという位置付けであり、紫外線対策に注意を要する値です。8以上だと日中の外出はなるべく控え、長袖服や帽子の着用、日傘の使用など、万全な紫外線対策が必須とされます。
気象庁が公式サイトで公表している2024年の「日最大UVインデックス(解析値)の年間推移グラフ」で東京都の日最大UVインデックスの月別平均値を比較すると、最も数値が大きかったのが7月の7.2で、次いで8月(6.6)、6月(5.6)、5月(5.3)、9月(5.0)という結果になっています。一方、1月は1.7と、7月や8月の4分の1程度に収まっています。
スキーや雪山登山の際は日焼け止めが必須
さて、UVインデックスを切り取ると、冬のUVインデックス値は大したものではないので、日焼け止めは塗らなくてもよいのではないかと思うかもしれません。確かに冬場のUVインデックスは1~2程度なので、夏ほど神経質に紫外線対策をする必要はありません。
しかし先述の通り、UVAは透過性が高く、雨の日や雪の日も私たちの肌に降り注ぐものなのです。しかも、先述のように冬は肌が乾燥しており、皮膚のバリアー機能が乱れていることが多く、紫外線によるダメージをより受けやすい状態です。
UVインデックスを考慮すると「SPFが20程度、PAが++程度」のテクスチャーの良い日焼け止めを常備しておくのが好ましいと言えます。落とすときは優しく落とすことを心掛け、その後の保湿も入念に行いましょう。
また冬のレジャー、特に雪山登山やスキー、スノーボードなどを楽しむ人はより注意が必要です。雪による紫外線の照り返しは、アスファルトや水面の照り返しと比較し4~8倍も高いという報告があります。また標高が高くなるにつれ、紫外線量も増加することが知られています。
このような場合は夏のレジャー同様、「SPFが50+、PAが++++」の日焼け止めを使用すると安心でしょう。ウィンタースポーツもかなりの汗をかくため、日焼け止めが流れてしまう可能性があります。塗り直しも忘れないようにしてください。
私は都内で美容クリニックを経営していますが、肌が日焼けをしている際に施術を控えなければならない美容皮膚治療は多く存在します。日焼けをした状態で治療を行うとかえって患者さんの肌の状態を悪くしかねないため、毎回、患者さんの肌の状態や日焼けの程度を慎重にチェックする必要があるのです。
私は、夏はもちろんのこと、冬でも必ず患者さんの肌の日焼けの状態をチェックし、リスクを最小限に抑える努力をしています。また、冬だからといって油断しないよう指導するようにしています。
冬は夏よりも日照時間が短く、紫外線量が少ないからといって安心せず、年間を通じた紫外線対策を心掛けましょう。
オトナンサー編集部
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