海自「P-1」哨戒機が初の実任務へ! 中東の海賊対処でついに名機P-3Cから世代交代 最後まで運用する部隊は?
- 乗りものニュース |

国産哨戒機「P-1」初の実任務へ
防衛省・統合幕僚監部は2026年7月31日、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処のために派遣中の航空隊を、8月中旬に交代させると発表しました。
ジブチを拠点に海賊対処にあたる海上自衛隊のP-3C哨戒機(画像:統合幕僚監部)
新たに派遣されるのは第60次派遣海賊対処行動航空隊です。第60次隊は、海上自衛隊第4航空群(神奈川県の厚木航空基地)を基幹に編成されますが、ポイントはP-1哨戒機が初めて派遣される点でしょう。
現在派遣中の第59次派遣海賊対処行動航空隊までは、プロペラ駆動のP-3C哨戒機でした。それが、今後はターボファンエンジン4基の国産哨戒機P-1になるという点で、新たなフェーズに入ったと言えます。
P-1は8月9日に厚木航空基地を出発し、沖縄県の那覇航空基地に着陸します。翌10日に、そこを発つとジブチ共和国に向かいます。なお、派遣要員は民航チャーター機で8月10日に成田空港から出国します。
日本が独自に開発したP-1は過去に訓練や海外の航空ショーへの参加などでアメリカやヨーロッパに派遣されたことがありますが、実任務で海外に派遣されるのは、今回が初めてです。また派遣機数は1機ですが、すでにジブチ国際空港の活動拠点には、必要なP-1用整備機材がすべて搬入されており、受け入れ準備は完了していると防衛省は説明しています。
派遣海賊対処行動航空隊は2009年5月から、2機のP-3C(2023年2月からは1機)により、多国籍海賊対処部隊の第151連合任務群司令部との調整によって決定した飛行区域で警戒監視を実施しており、不審な船舶の確認と同時に、海上自衛隊の護衛艦や他国海軍の艦艇、民間船舶に情報を提供するなどの活動を行ってきました。
神奈川県・厚木航空基地からは11年ぶり
このように、派遣海賊対処行動航空隊の活動はすでに17年以上にもなりますが、その間に海上自衛隊の固定翼哨戒機部隊はP-3CからP-1に機種更新が進んでおり、すでに前出の第4航空群(厚木)だけでなく、第1航空群(鹿屋航空基地)や下総教育航空群(下総航空基地)は完全にP-1への置き換えが済んでいます。
洋上を進むタンカーの上を飛ぶ海上自衛隊のP-3C哨戒機(画像:統合幕僚監部)
2026年8月現在は第5航空群(那覇航空基地)が更新中で、そこが終わるとP-3Cの運用部隊は第2航空群(八戸)のみになる予定です。
こうした影響から、2025年5月の第57次隊から現在派遣中の第59次隊までは、第2航空群を基幹に編成されました。
しかし、P-1の運用部隊が半数以上となったことから、2025年11月7日の閣議で海賊対処行動を2025年11月20日から2026年11月19日まで1年間継続すると決定した際、新たな海賊対処要項で固定翼哨戒機の機種についてP-3CからP-1へ変更することが記載され、P-1のジブチ派遣に至ったのです。
ちなみに、海上自衛隊で最初のP-1部隊となった第4航空群は、2009年5月から10月までの第1次派遣海賊対処行動航空隊を編成・派遣して以降、第5次派遣海賊対処行動航空隊(2010年10月~2011年2月)、第9次派遣海賊対処行動航空隊(2012年1月~6月)、第13次派遣海賊対処行動航空隊(2013年6月~10月)、第17次派遣海賊対処行動航空隊(2014年10月~2015年2月)を送り出しましたが、その後は派遣海賊対処行動航空隊を編成しておらず、今回約11年ぶりの派遣となります。
減勢進むP-3C
一方で、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処のためにP-1のジブチ派遣が始まったことから、8月23日に八戸航空基地に到着予定の第59次派遣海賊対処行動航空隊をもって、おそらくP-3Cの派遣は終了するとの見方が有力です。
海上自衛隊のP-1哨戒機(画像:海上自衛隊航空集団)
海上自衛隊は、東西冷戦という時代背景の下、旧式化したP-2J対潜哨戒機の後継機として1980年代初頭にP-3Cを有償軍事援助調達(FMS)で3機調達したのを皮切りに、1997(平成9)年までに川崎重工業でライセンス生産も行って合計101機を取得・運用してきました。
しかし、冷戦終結とソ連崩壊に伴う、哨戒機部隊の見直しや後継機のP-1への更新が進んだ結果、2026年3月31日現在の機数は24機にまで減少しています。そして、この減勢に合わせて、下総教育航空群第203教育航空隊におけるP-3Cの教育訓練も2025年7月に終了しています。
このように海上自衛隊の固定翼対潜哨戒機で一時代を築いたP-3Cですが、第60次という節目を前に海賊対処任務から引退します。しかし、海上自衛隊では、第2航空群以外にも、航空機の調査研究・開発・機器の性能試験と部隊に対する訓練指導等を実施する第51航空隊(厚木航空基地)にP-3Cが配備されています。
また、P-3Cをベースとする多用機(EP-3電子戦データ収集機5機、UP-3C試験評価機1機、UP-3D訓練支援機3機、OP-3C画像データ収集機4機)は当分のあいだ現役にとどまり、まだしばらくは日本の空を飛び続ける予定です。
派遣海賊対処行動航空隊の歴史に新たな1ページを刻むP-3Cの引退およびP-1の実任務開始は、海上自衛隊の固定翼哨戒機の世代交代を物語っているようです。
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