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「ステップアップのため転職したい」と申し出てきた次世代リーダーの部下...どう対応する?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE 9】(前川孝雄)

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部下からの転職の申し出、どうしたら…?(写真はイメージ)
部下からの転職の申し出、どうしたら…?(写真はイメージ)

「前川孝雄の『上司力(R)』トレーニング~ケーススタディで考える現場マネジメントのコツ」では、現場で起こるさまざまなケースを取り上げながら、「上司力を鍛える」テクニック、スキルについて解説していきます。

今回の「CASE 9」では、「ステップアップのため転職したい」と申し出てきた次世代リーダーの部下のケースを取り上げます。

「自分のステップアップのために転職したいのですが...」

【上司(課長)】折り入っての話ということだけど、何かな?
【Aさん(部下)】実は、転職したいと思いまして...。
【上司】えっ? まさか...君がそんなことを考えているとは...。
【Aさん】人事に退職願を出す前に、まずは課長にお話しをしてからと思いまして。
【上司】急にどうしたんだ! いったい、なぜ転職なんだ?
【Aさん】会社にも職場の皆さんにも感謝していますが、今の仕事のままではステップアップができないと感じていました。それで、転職サイトに登録していたところ、希望が叶いそうな先が見つかりまして。
【上司】もう行先のことまで決めているのか?...。君は仕事もよくやってくれているし、将来うちの会社を背負ってくれる次世代リーダーだと思っているんだ。意外で...とても驚いているんだが...。
【Aさん】ありがとうございます。ただ、自分の将来を思うと、今のままでは不安に思いまして。
【上司】うーん、そうなのか~(参ったな...)。

突然転職を申し出てきた部下のAさん(30代前半)は、能力も高く仕事もよくできる、上司が内心とても評価していた中堅社員。これまで大切に育ててきて、最近目に見えて力をつけ、これから大いに活躍してもらおうと期待していた矢先だけに、晴天の霹靂。上司は、とてもショックな心境です。あなたがこの上司なら、Aさんからの申し出にどう対応しますか?

「どうすれば、この職場に留まれるか」話し合い、何とか慰留する?

こうした場合、思い入れの強い上司ほど取りがちな行動は、何とかAさんの希望を今の職場で実現できるように、異動・配置転換や待遇改善や昇進・昇格など、今後できることを検討することでしょう。

人事とも相談しながら、どうすれば会社に留まれるか話し合い、何とか引き留めようと説得しがちです。しかし、ここではまず、当の中堅社員がどのようなキャリアを展望して転職を望むのか、背景や理由をよく理解することが先決です。

いまや、人生100年時代。自分のキャリアの寿命が企業の平均寿命を上回り、大企業であっても終身雇用が揺らぐなか、もはや一つの会社で自分のキャリアを全うするイメージは優秀な若手ほどありません。

現在の会社で評価され処遇が改善され出世すること以上に、自分の市場価値を高められるか、つまり転職市場でいかに評価されるかに関心が強いのです。新入社員であっても入社と同時に転職サイトに登録し、現在の仕事を続けながら、より自分の希望に合う会社を常に探索することが常識化しつつあるのです。

このような社会背景を踏まえるなら、本人が転職を報告してきた段階で翻意を促すことは難しいものです。特に能力の高い社員ほど、社内の勤務条件や待遇を向上させることだけで離職を防ぐことは困難でしょう。

頼みにする社員の転職は常に起こると覚悟し、気持ちよく送り出す

以上のことから、上司の心情的にはつらいでしょうが、頼みにする社員の転職は常に起こりうるとの覚悟が必要です。

労働力人口が減少する一方で転職市場が活況となり、働き手のキャリア意識が高まるなかでは、個と組織の関係、特に力のある社員と企業の関係は対等に近づいていると言えます。もはや社員を無理やり会社に縛りつけ、とにかく一心に働いてほしいというマネジメントでは、社員は定着しません。

本人が転職を迷い、相談をしてきた段階ならば、何が本人のためか、社内でのよきステップアップの道も含め、話し合うことは有効です。しかし、本人が転職の意思を固めているなら、こちらも気持ちを切り替えることです。

最近では、一時、ひとつの会社で働き、次に他の会社で経験を積んで力をつける。それから、また元の会社に戻って活躍するといった、出戻り転職事例も現れています。会社の人事制度として、出戻り社員を歓迎する動きも出てきています。また、転職というキャリアの縦軸での転換に加えて、兼業や副業といった横軸での複線化も次第に増えています。

したがって、社員一人ひとりがキャリアを磨き成長する過程で、いま任せている仕事がどういう意味を持つのかを考えたうえで、マネジメンにあたることです。場合によっては、いまは気持ちよく送り出し、転職の成功を応援することも大切なのです。

「立つ鳥跡を濁さず」の姿勢を促し、転職後のつながりを大切にする

転職していく部下を前向きに送り出すには、次の2点に留意することです。

1つは、「立つ鳥跡を濁さず」の姿勢を促すこと。

本人がよい仕事を全うし、消化不良にならないよう、しっかりと最後まで支援しましょう。また、周囲のメンバーがスムーズに仕事を引き継げるように、必要な調整を行うことです。本人が心置きなく卒業できるように、また周囲が気持ちよく送り出せるように十分な配慮をしましょう。

もう1つは、上司と部下の関係は解消しても、転職後も協力や応援はすることを伝えておくことです。

現在の仕事に関連する分野で引き続き活躍するのなら、転職後にアライアンスを模索するなど、よい関係を継続する道をめざします。それは、一人新天地に向かう本人にとっても心強く感じるはずです。転職後に不安や困ったことがあれば、いつでも相談に応じるので、時々は様子を報告してほしい旨も伝えるとよいでしょう。

これだけ変化のスピードが激しい時代。プロパー社員のみ、純血主義でビジネス展開することには限界があります。

異業種の社員同士が交流・協働しあうオープンイノベーションの効果も期待されています。企業が転職OB・OGの同窓会を組織し、定期的な情報交換やアライアンスを紡ぐアルムナイ(alumni)ネットワークも盛んです。

優秀な社員の転職を機に、会社としてこうした仕組みづくりを検討することもよいでしょう。

※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著「本物の上司力~『役割』に徹すればマネジメントはうまくいく」(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の「上司力」』(大和出版)等30冊以上。近刊は『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks、2021年9月)および『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所、2021年11月)。

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