沖縄「軽石被害」は終わっていない 真っ白なビーチに今も押し寄せる
- J-CAST ニュース |
かつて、複数のメディアが一斉に取り上げた「軽石」被害。報道を見かける機会は激減したが、今なお続いている問題だ。
軽石は、2021年8月に小笠原諸島の海底火山噴火により発生し、沖縄県などに大量に漂着した。「Googleトレンド」で「軽石」と検索すると、21年10月に大きな山があり、以降は徐々に関心が離れているのが見て取れる。沖縄県のビーチを回り、今も続く被害の実情を探った。
除去した翌日「また、ある」
まず、沖縄本島の中央部に位置する「恩納村」を訪れた。さまざまなリゾートホテルが海岸線に立ち並んでいる。
今回は、瀬良垣島に佇む「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」に足を運んだ。敷地内に広がるビーチには、ところどころ、灰色に波打つ筋が幾重にも走っている。これが軽石だ。ビーチ全体が白いので、非常に目立つ。
ビーチを眺めていると、記者とすれ違ったホテル利用客が「あの灰色の、何だろうね? 砂の色が違うのかな」と、同行者と話していた。見慣れない人にとっては、すぐに軽石だとわからないようだ。
近くに寄ると、粒状の軽石が、枝や砂と混じっているのがわかる。手のひらにすくうと、とても軽かった(写真3)。
ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄のマーケティングコミュニケーションズ マネージャー・酒井宏彰さんによると、軽石被害は21年10月ごろから断続的で、「3月下旬くらいから、落ち着いてきた」。非常に多いときは、海面が軽石で埋め尽くされて「グレー一色」になるほどだったという。
漂着量は風向きや潮の流れに左右され、日によって変わる。きれいに除去しても、翌日になると「また、ある」。いたちごっこで、「取っても仕方ない」いう気持ちもわくそうだ。ただ、美しい海や砂浜を楽しみにやってくる利用客のため、「時間があるときに、部署に関係なく、有志のスタッフたちで除去しています」。
除去した軽石は土のう袋に詰め、恩納村に回収してもらっている。現在は、沖縄県が軽石を活用するアイデアを募ったり、県農林水産部が「軽石の農業利用」を考えている人向けに注意点を整理して情報発信したりと、試行錯誤を重ねている段階だ。
「まだまだ、全ての軽石が何かに役立てられているわけじゃない。今はとにかく、取る(除去)だけで手いっぱいですね」(酒井さん)
「取っても取っても...」
続いて、沖縄本島中部・北谷町の安良波(あらは)公園内にある「アラハビーチ」を取材した。直線状のロングビーチで、中央に位置する遊泳区域内の砂浜には軽石があまり見られず、きれいだ。
一方、南北に広がる遊泳区域外には、「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」のビーチ同様、軽石が灰色の筋状に漂着していた。巨大とまでいかないが、小石サイズのものがごろごろ転がっている。ビーチには数十の利用客がおり、寝転んだり、波打ち際で遊んだりと自由に過ごしていたが、軽石を不安げ、あるいは物珍しそうに眺める人はおらず、気に留めていない様子だった。
ビーチの監視業務にあたる、北谷海人の会(ちゃたんうみんちゅのかい)の担当者によると、海岸の景観を損なっていること、ビーチで楽しめるジェットスキーなどのアクアスポーツの実施に支障が出ることなどから、「遊泳区域内を優先して、ライフガードが適宜、除去に当たっている」。
酷いときは、軽石が海面に固まって浮いていたこともある。「最近はちょっと減った」そうだが、依然として漂着量が読めない日々だ。担当者は最後に、こう漏らしていた。<J-CASTトレンド>
「まだまだ、軽石漂着は続いています。取っても取っても、という感じ」
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