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同じ区間で運賃ほぼ倍「路線バス」vs「空港リムジンバス」どっちを選ぶ? 「こんなに違うのか!」価格差も納得

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リムジンバスは倒れるシートで、Wi-Fiも

 四国最大都市・松山市の「空の玄関口」松山空港には、同じ伊予鉄グループのリムジンバスと路線バスが発着します。どちらもバスの車体は、愛媛県の特産品ミカンをほうふつとさせるオレンジ色で塗装。松山空港発はともにJR松山駅前、伊予鉄道の松山市駅へ向かい、一部は伊予鉄道市内電車の道後温泉駅前にも行きます。

Large figure1 gallery15伊予鉄グループの松山空港と市街地を結ぶ松山空港リムジンバス。日野自動車の2009年式「セレガ」(大塚圭一郎撮影)

 筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)は松山市を訪れた際、往路は松山空港からJR松山駅前まで路線バスに乗りました。一方、帰路はJR松山駅前から松山空港までリムジンバス「松山空港リムジンバス」を利用しました。

 運賃はリムジンバスの方が路線バスより大人で470円高く、一因として車両の設備の違いがあります。日野自動車の大型観光バス「セレガ」または「セレガR」を使っているリムジンバスは背もたれが倒れるシートで、Wi-Fiも無料で利用できるため、はるかに快適です。リムジンバスは車体下部にトランクルームがあるため、スーツケースなどの大きな荷物を預けられるのも利点です。

 しかし、運賃に差が生じるのには車両が特別なことにとどまらず、「こんなに違う」と驚く理由がありました。

往路は「迷うことなく路線バス」

 松山空港のバス停留所は、旅客ターミナルビルの1階の到着ロビーを出たところにあります。うち路線バスは3番のりば、リムジンバスは4番、5番のりばと隣り合った位置に発着します。

 リムジンバスは、全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)の羽田空港や大阪(伊丹)空港などからの便、格安航空会社(LCC)ジェットスター・ジャパンの成田空港からの便が空港に到着する時刻の10~15分後に発車します。

 筆者が羽田発のANA便を利用後に旅客ターミナルビルを出た時には、同じ9時5分発のバスが並んでいました。松山市駅行き路線バスと、道後温泉駅前行きリムジンバスです。ところが、リムジンバスのことは気づかずに路線バスへ向かっていました。

 というのも、筆者が勤務先の松山支局に所属し、松山市に3年間住んでいた四半世紀余り前は、路線バスで空港と市街地を移動するのが常識化されていたからです。路線バスは今でも運行頻度が高く、7時台から19時台までは空港を原則15分おきに出発しています。路線バスの車両は日野自動車の2017年式「ブルーリボン」(車体はジェイ・バス製)でした。

 後ろ乗り前降り・後払いで、「ICOCA(イコカ)」や「Suica(スイカ)」などのIC乗車券に対応しています。このため後ろの扉から乗り込むと、IC乗車券を端末にタッチしました。

 このバスは空港を出ると愛媛県道松山空港線(通称・空港通)を進み、その後は左折してJR松山駅東口のJR松山駅前停留所に滑り込みました。運転席の隣にある端末にIC乗車券をタッチし、前の扉から下車しました。

 空港から松山駅前までの間に9つの停留所があり、所要時間は30分。運賃は現金だと大人530円ですが、IC乗車券を含めたキャッシュレス利用ならば510円と20円安くなります。

いつの間にか空港に!そのワケは…

 松山市に着いた2日後の夕方、ANAの羽田行きに乗るために松山空港へ戻ります。筆者は所用のためJR松山駅前停留所に着くのが18時15分ごろになると見込まれました。路線バスの時刻表を調べたところ、松山駅前18時10分発には間に合わず、次の18時25分発だと空港着が18時51分になります。

 予約していた旅客便の出発は19時50分。国内線なので1時間前を目安に空港に着いていることが推奨されています。松山駅前を18時25分に出る路線バスの場合は1分とはいえ1時間を割り込み、途中で道路渋滞があった場合などは遅延するリスクも否定できません。

 どうするか迷っていたところ、地元住民から「リムジンバスを使った方が確実ですよ」と教えてもらいました。

 松山駅前を18時20分に出発するリムジンバスがあり、空港着は18時35分とわずか15分で結ぶダイヤです。時刻通りに走った場合、空港に出発時刻1時間15分前に着くことができます。

 所要時間は路線バスの半分で、「なぜこんなに早く着くのか」と首をかしげながら松山駅前の停留所へ向かいました。

 やって来たリムジンバスは2009年式の「セレガ」で、運転席隣の1か所だけある扉から乗降します。乗り降りする際にIC乗車券を端末にかざすのは路線バスと同じです。リムジンバスは予約制ではなく、先着順で乗車します。

 定刻に出発したリムジンバスは松山駅前の停留所を出た後、往路に路線バスが通ってきたのと同じ道をたどります。ところが、路線バスよりも手前の交差点を右折し、JR四国予讃線の高架をくぐりました。

 リムジンバスは路線バスとは異なる愛媛県道松山空港線の新道(通称・新空港通)を西進し、松山空港へと進むのです。路線バスが走る空港通にはないトンネルも途中にあり、ショートカットしている感覚を抱きながら車窓を眺めているといつの間にか空港に着いていました。

「市駅」からなら、その差320円!

 伊予鉄グループによると、リムジンバスの松山空港―JR松山駅前までの営業距離は5.8kmで、路線バスよりはるかに短距離です。途中に住宅街が広がっている空港通は渋滞することも多く、路線バスのため途中の停留所で乗降客が多い場合には遅れるリスクもあるため、空港へ時間通り確実に着く“保険料”込みと考えればリムジンバスを利用する価値があると筆者は受け止めました。

Large figure2 gallery16松山空港に停車中の伊予鉄グループの路線バス(大塚圭一郎撮影)

 リムジンバスは松山空港からJR松山駅、愛媛新聞社前、松山市駅までは大人1000円(キャッシュレス利用で980円)均一です。路線バスとの差額は松山空港―JR松山駅前は470円あるものの、松山空港―松山市駅は320円に縮まります。

 なお、松山空港発のリムジンバスは一部が松山市駅止まりで、残りは道後温泉駅前まで走ります。これに対し、道後温泉駅前発のリムジンバスはJR松山駅前を経由するものの、松山市駅は通りません。松山市駅から松山空港まではノンストップの直行便が運行されており、こちらも新空港通を経由します。

 さまざまなルートを通る空港アクセスバスが用意されているのは面白く、道後温泉をはじめとした観光名所が豊富な松山市を訪れる楽しみの一つになるかもしれません。

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