JALも発注の “幻の超音速旅客機”どんなもの? 全長92mの怪鳥…成田空港の「長~い滑走路」が造られた“本当の理由”にも
- 乗りものニュース |

懐かしの「鶴丸」なし塗装 JALが発注した幻の機
千葉県芝山町、成田空港のすぐ隣にある航空科学博物館に、全長約1.8mにもなる巨大な旅客機の模型が展示されています。これは、アメリカのボーイングが1960年代に計画したものの、実現しなかった“幻”の超音速旅客機(SST)「2707」です。なぜ今、この模型がSSTと“縁”のある成田の地に展示されているのでしょうか。そこには、空港の設計思想にも関わる壮大な計画がありました。
航空科学博物館に展示されているボーイング2707の大型模型(相良静造撮影)。
この巨大模型は、航空科学博物館で2026年8月31日まで開催されている特集展「世界をつなぐボーイング展」で展示されています。会場正面の一番奥まった、メイン展示といえる場所に飾られており、その存在感は圧倒的です。
ボーイング2707は、JAL(日本航空)が1966年までに8機を発注した機体でもあります。模型の垂直尾翼には、現在の「鶴丸」塗装ではない、当時の塗装が施されています。
ボーイング2707には、イギリスとフランスが共同開発した「コンコルド」に似た三角形の主翼を持つモデルと、主翼が動く可変翼を持つモデルの2種類が知られています。今回展示されているのは後者のタイプで、角張った操縦室の窓や、後退角を最大にしたときの尖った主翼、機体後部に並んだ4基の大きなエンジンが目立ちます。
成田空港4000m滑走路は「SSTのため」だった
このボーイング2707がもし実現していれば、全長は約92m、マッハ2.7で飛行し、東京~ハワイ・ホノルル間をわずか2時間50分で結ぶ計画でした。そして、その発着地として想定されていたのが、国際線空港として建設が進められていた成田国際空港(当時の名称は新東京国際空港)だったのです。
成田空港の建設が決定した1966年当時、世界はSST時代の到来を確信していました。そのため、「日本の表玄関」となる成田空港のA滑走路は、将来の大型旅客機やSSTの離着陸に対応できるよう、全長4000mという長大な仕様で建設されたという経緯があります。
しかし、SSTは超音速飛行時や離着陸時の騒音が世界中で問題視され、実際に就航した「コンコルド」ですら、商業的には成功を収めることができませんでした。ボーイング2707も、こうした時代の流れの中で計画が中止され、“幻の旅客機”となったのです。
SSTと同時期に開発が進められていたのが、のちに「ジャンボ・ジェット」の愛称で親しまれるボーイング747でした。当初、747はSSTが就航した後は貨物機に転用されると考えられていましたが、SST計画の頓挫により、歴史は大きく変わります。
747は大量輸送時代の立役者として世界中の空を飛び回り、成田空港でも1980年代には発着する航空機の6~7割を占めるほどになりました。空港は「ジャンボ機の聖地」とでもいうべき活況を呈し、SSTとは違う形で、ボーイングと成田空港は深い関係を築くことになったのです。
今回の特集展は、ボーイング社の後援とJAL、ANA(全日空)、スカイマークの協力のもとで開催されています。会場には、ANAカラーの747-400のウィングレット(主翼端の小翼)や、737、787といったジェット旅客機時代のボーイングに関連する資料50点以上が展示されており、SSTから現代へと続く空の歴史をたどることができます。
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