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新人なのにベテラン!? NASAで誕生した“異例すぎるルーキー宇宙飛行士”とは「あなた経験済みだよね」

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  • 乗りものニュース
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NASAの歴史上、初めての人物が誕生

 2025年9月22日、NASAの新しい宇宙飛行士候補生が、テキサス州ヒューストンのジョンソン宇宙センターでお披露目されました。彼らは第24期生ですが、その中に、すでに宇宙飛行を経験した人物が含まれていることが大きな話題となりました。

Large figure1 gallery82021年9月16日に打ち上げられた「インスピレーション4」。民間人だけの宇宙飛行で、このときメノンさんはミッションコントローラーを務めた(画像:アメリカ宇宙軍)。

 宇宙飛行の経験者が宇宙飛行士候補生に選抜されたのは史上初のこと。1959年選抜の第1期生(マーキュリー・セブン)以来、370名を数えるNASA宇宙飛行士で初めてになります。

 2024年3月に募集が始まったNASA第24期生は、8000名を超える応募者の中から1年あまりの選抜試験を経て、男性4名、女性6名の計10名が選ばれました。この中で、NASA史上初となる「宇宙飛行士候補生なのに宇宙飛行を経験済み」という珍しい経歴で注目を浴びたのが、選抜当時スペースXに在籍していたアンナ・ウォーカー・メノンさんです。

 アンナ・メノンさんはテキサス州ヒューストン出身で2児の母。夫のアニルさんもNASA宇宙飛行士(第23期生)で、2026年7月にソユーズMS-29に搭乗し、国際宇宙ステーションに長期滞在(第74次/第75次)する予定です。

 彼女は、学生時代に大学院で生物医学工学の修士号を取得したのち、NASAに就職。生物医学部門のフライトコントローラーとして勤務し、国際宇宙ステーションの医療用ハードウェアとソフトウェアの管理を担当してきました。この仕事は、宇宙飛行士の軌道上における健康管理をサポートするものです。

 その後スペースXに移籍し、宇宙船「クルードラゴン」の開発に参加するとともに、最初の有人飛行であるDemo-2、そして初ミッション飛行のCrew-1などでミッションディレクターやクルーコミュニケーターを務めます。

 そのような中、リードスペースエンジニアを務めている時、メノンさんに宇宙飛行のきっかけが訪れました。

宇宙行くチャンス与えたのは民間軍事会社の創業者

 彼女に宇宙飛行のキッカケを与えたのは、クルードラゴンを使った商業宇宙飛行「ポラリス・プログラム」です。

Large figure2 gallery9アンナ・ウォーカー・メノンさん(画像:NASA)。

 この計画は、決済サービス会社Shift4の創業者で、民間軍事会社(戦闘機訓練の相手方担当)大手のドラケン・インターナショナルの共同創業者でもあるジャレッド・アイザックマンさんが主導するもので、小児病院の活動を支援する目的で実施された世界で初めての民間人だけによる宇宙飛行「インスピレーション4」が、2021年9月16日に打ち上げられています。

 このインスピレーション4でミッションコントローラーを務めたメノンさんは、ミッション終了後にアイザックマンさんから次の商業有人飛行「ポラリス・ドーン」のミッションスペシャリスト兼メディカルオフィサー(飛行中の医療担当)に指名されます。理由は、NASAやスペースXでの経験を買われてのことでした。

 これを受け、彼女はジェット練習機の訓練やエクアドルでの高所訓練、ダイビングやパラシュート降下といったサバイバル訓練に加え、弾道飛行による無重量状態での訓練を積みました。こうして、メノンさんら「ポラリス・ドーン」のクルーが搭乗したクルードラゴンは2024年9月に打ち上げられています。

 5日間のミッションでは、アポロ計画以来最高となる遠地点高度1408.1kmの軌道に到達し、クルー全員が「最も地球から遠く離れた民間人」になったほか、民間人初の船外活動も実施しました。国際宇宙ステーションと違ってクルードラゴンにはエアロックがないため、船外活動に際しては一旦船内の空気を全部抜き、全員が宇宙の真空を経験しています。

「ベテランなのルーキーなの?」どっちつかずな理由

 面白いところでは、メノンさんはミッションに先立って出版された自著の絵本を軌道上で朗読し、遅延の少ないスターリンク衛星のレーザー通信を使って地上の小児病院にいる入院患者に届けるという実証実験を行っています。

Large figure3 gallery10ロシアのソユーズ宇宙船(画像:NASA)。

 ほかにも、ミッション全体では、地球の磁気圏を脱した飛行における宇宙放射線の人体への影響など36件あまりの科学実験も実施しました。

 第24期宇宙飛行士候補生の募集は2024年3月に始まっているので、メノンさんは「ポラリス・ドーン」の訓練を受けるのと並行して、NASAの宇宙飛行士選考試験に臨んでいたことになります。宇宙に行く訓練を受けながら宇宙飛行士選抜試験を受ける、という気分はどんなものだったのでしょう。

 5日間の宇宙飛行経験が、NASAの宇宙飛行士選抜試験にどう影響したかは不明です。しかしながら、ひと足先に宇宙を経験したからといって、NASAの宇宙飛行士として求められる素養や、将来の任務は多岐に渡り、また別物といえるでしょう。

 メノンさんら24期生は、これから2年に及ぶ訓練を経て、宇宙飛行士に認定される見込みです。宇宙飛行士の世界では、1回でも宇宙飛行を経験すれば「ベテラン」と呼ばれます。しかし彼女は、ベテランではあるもののNASA宇宙飛行士としては「ルーキー」という位置づけになります。

 そんなメノンさんが、今後どのようなミッションに参加するのか(国際宇宙ステーションや月か、ひょっとしたら火星かも?)、筆者(咲村珠樹:ライター・カメラマン)は将来が楽しみです。

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