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「日本の船は日本で造る」国が本気を出した“建造能力2倍”計画 中韓に奪われたシェア奪還なるか?

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国が本気で動き出した! “建造能力2倍”という大号令

 三菱重工業下関造船所で建造された新日本海フェリーの新造船「はまなす」が、2026年9月1日、小樽―舞鶴航路に就航しました。

Large figure1 gallery9日本の造船能力倍増計画とは?(画像:写真AC)

 こうした新造船が就航するのは喜ばしいことですが、一方で日本の造船業は大きな岐路に立っています。

 国土交通省と内閣府は2025年12月26日、「造船業再生ロードマップ」を策定しました。現在約900万総トンの年間建造量に対し、2035年までに年1800万総トンを建造できる能力を確保する目標です。

 総トン数とは、船の容積をもとに算定される大きさの指標です。現在の建造実績のおよそ2倍にあたる能力を確保しようという、大胆な計画です。

 なぜ国がここまで力を入れるのでしょうか。四方を海に囲まれた日本は、エネルギーや食料の多くを輸入に頼り、同省によると貿易量の99.6%を海上輸送が担っています。

 その大切な船を造る力が、いま弱まっているのです。ではなぜ、目標は“2倍”もの高さに設定されたのでしょうか。

 理由の1つが、世界の造船勢力図の激変です。同省の資料によると、中国は2024年の世界の新造船建造量で約50%のシェアを占め、今後も拡大が見込まれています。新たに造られる船のおよそ半分を、中国が占めている計算です。

 受注の面でも差は開き、日本のシェアは15〜16%で推移していたものの2024年には8%まで下落しました。国内の建造量そのものも2019年の1600万総トンから2024年には900万総トンへ落ち込み、日本の船主が発注する年およそ1200万総トン前後を下回っています。

 では、1800万総トンの根拠は何でしょうか。日本の船主が持つ船の量は世界全体のおよそ10%を占めており、2035年もこの割合を維持する前提で試算されました。船齢15年で入れ替えると仮定した既存船の置き換え分が約1000万総トン、従来貨物とカーボンニュートラル関連貨物を合わせた必要船腹量の増加分が約840万総トン。

 合わせて年約1800万総トンの船舶建造需要を見込み、その需要を国内で賄える建造能力の確保を目指しています。いわば「日本の船は日本で造る」体制を取り戻すための目標ですが、そこへ至る道は平坦ではありません。

立ちはだかる“老朽化”と”人手” それでも勝算は?

 国土交通省は、建造量が伸び悩む主な要因を3つ挙げています。1つ目は、造船所1か所あたりの規模の小ささです。2024年の実績では国内の上位5社が建造量の約8割を占める一方で、中国・韓国に比べて1造船所あたりの規模が小さく、自動化が進んでいない工程も多いとしています。

Large figure2 gallery10日本の造船の問題点とは?(画像:写真AC)

 2つ目は、鋼材や資材の高騰を背景とした船価の高さです。同省の調査では、ばら積み船の建造コストは日本と中国でおよそ2割の差があるとされています。

 3つ目は人材不足です。造船業の就労者数は2016年の約9万1000人から2022年には約6万8000人まで落ち込みました。外国人材の増加もあり2025年は約7万7000人まで戻していますが、日本人の就労者は減少傾向が続いています。

 加えて、生産設備の老朽化と熟練工の高齢化・退職による生産能力の減少も課題に挙げられています。こうしたなか国内最大手の今治造船は2026年1月、ジャパン マリンユナイテッドの株式60%を取得してグループ化しました。同社によると、これにより日本の建造シェアの過半数を担う体制になったといいます。

 では、どうやって2倍を実現するのでしょうか。ロードマップは、施設・設備の整備による約50%の建造能力向上と、DXやロボット、AI技術による約25%の生産性向上を掲げます。さらに企業間の連携・再編、休眠造船所の再稼働、新設、人材確保も組み合わせ、建造能力の倍増を目指します。

 なお10%のコスト削減は、建造能力の倍増そのものではなく、中国および韓国に負けない国際競争力を確保するための別の目標です。

 その支えとなるのがお金です。国は「造船業再生基金」を創設し、2025年度補正予算で1200億円を措置しました。3年ごとの達成状況を踏まえ、10年間で合計3500億円規模の支援を目指します。2035年までに官民1兆円規模の投資実現も目標です。

 国と造船会社が“2倍”という目標へ動き出しました。10年後、日本の造船所はどんな姿になっているのか。暮らしを支える“ものづくりの底力”が、いま試されようとしています。

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