「機体が起立!…離陸!!」驚愕コンセプトの航空機、その最新状況は? 見た目“虫”、動きは“犬”!?
- 乗りものニュース |
駐機中の飛行機が“起き上がり”、そのまま垂直に離陸し飛んでいく、奇抜なコンセプトの無人機の開発が進められています。その最新状況はどのようなものなのでしょうか。
機体が起き上がって飛ぶ…だと?
駐機中の飛行機が“起き上がり”、そのまま垂直に離陸し飛んでいく、奇抜なコンセプトの無人機の開発がオーストラリアで進んでいます。これまで航空機の開発にさほど取り組んでこなかったオーストラリアですが、実用化されれば自国軍の採用も考えられ、準同盟国の日本の自衛隊員が目にする機会が出るかもしれません。
BAEシステムズ・オーストラリアが開発を進めている無人機「ストリクス」(画像:BAEシステムズ・オーストラリア)。
「ストリクス(STRIX)」と名付けられたこの無人機は、英国BAEシステムズの現地法人BAEシステムズ・オーストラリアが開発を進めている機体で、中型ドローンに分類されます。2023年に発表され、2024年7月には英国ファンボローで小型の模型が展示され、開発が続いていることがうかがえました。
ストリクスのメリットは、V-22「オスプレイ」と同じように、垂直離着陸ができるヘリコプターと高速巡航ができる飛行機の利点を組み合わせた点です。ただそれを実現するためのメカニズムは「オスプレイ」とは全く異なります。
犬や猫が前足を上げ立ち上がるように、機体前部の主翼についたプロペラが回転して機体全体が起き上がり、後部の主翼のプロペラも駆動して垂直に上昇します。そして、再度機体を寝かせ飛行機のように飛び、敵を偵察したり胴体前方下に吊り下げた空対地ミサイル、ブリムストーン・ミサイルなどで攻撃したりします。
着陸時も垂直になりながら高度を落とし、「伏せ」をするようにして接地します。ストリクスがあたかも昆虫を彷彿させる姿をしているのも、「ティルト・ボディ」と呼べる特性を持たせたためと考えられています。
ストリクスは狭い場所でも発着できる特性から、BAEシステムズ・オーストラリアは、陸軍のヘリコプターに随伴する無人機、いわゆる「忠実な僚機」への活用のほか、海軍艦船への搭載機としてアピールしています。そのためでしょう、ファンボロー航空ショーで展示された模型の胴体には「NAVY(海軍)」と書かれていました。
「ストリクス」最新の設計は?
ストリクスは2023年の計画発表以降、設計変更があったとも伝えられています。しかし、ファンボロー航空ショーに展示された機体を一見したところ、その機体デザインは、従前のものから大きな変更はみられませんでした。そのため、変更は細部にとどまり、推進テストも2023年中に行われたということです。
ファンボロー航空ショーに展示された「ストリクス」小型模型(清水次郎撮影)。
ストリクスをさらに特徴づけるとすれば、それはオーストラリア国内で設計されたということです。そのため実用化されれば、オーストラリア軍が採用する機会があるかもしれません。実際、BAEシステムズ・オーストラリアもそれを望んでいるのでしょう。ファンボロー航空ショーでの模型は、「NAVY」の前にオーストラリア軍の国籍マークも描かれていました。
仮に採用されたなら、日本は近年、オーストラリアを準同盟国と位置付けていることから、自衛隊との合同演習などでストリクスが披露される可能性もあるでしょう。自衛隊はロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、無人機の大幅な導入へ本腰を入れました。この動きのもと、ストリクスがオーストラリア軍で使われ始めれば、自衛隊も無人機の運用へ様々な知見を得る機会が増えるかもしれません。
【映像】ほんとに突っ立ってる…驚愕の「ストリクス」の垂直飛行シーン
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