静岡の私鉄「満腹グルメライン」!? 駅ナカ飲食店がとにかく多い路線とは 1日で巡るのは無理ゲー?
- 乗りものニュース |
静岡県の掛川~新所原間を結ぶ天竜浜名湖鉄道は、駅に入居する飲食店が多いです。地方鉄道としては珍しく、駅弁もあります。そこで2日間かけ、グルメ巡りをしてみました。
実は充実の「天浜線」グルメ
静岡県の第3セクター鉄道・天竜浜名湖鉄道は、ローカル鉄道の旅だけでなく、沿線グルメが楽しめる路線です。駅舎内に飲食店がある駅が9駅、駅弁が販売されている駅が1駅、持ち帰り専門店が入居する駅も1駅あります。一般的に、利用客が少ないローカル鉄道で飲食店がある駅は多くなく、これは天竜浜名湖鉄道の特色といえるでしょう。
国鉄キハ20形を模した天竜浜名湖鉄道の車両(2024年11月、安藤昌季撮影)。
ただ、効率よく全ての店舗を巡ろうとすると計画性が必要です。各店で営業日や営業時間にばらつきがあり、また天竜浜名湖鉄道も1時間に1本程度のダイヤだからです。
参考までに、東京駅発で1日で回る旅程を示します。
東京駅八重洲南口2300→(JR東海バス「ドリーム静岡浜松1号」)→掛川527/630→(107列車)→浜名湖佐久米816→【喫茶店「かとれあ」※水曜定休】/849→(109列車)→都築854→【パン屋「メイポップ」※月曜定休】/929→(322列車)→天竜二俣1014【駅弁購入。11時より駅舎内ラーメン屋「ホームラン軒」※日曜定休】/1144→(126列車)→遠江一宮1159→【藪蕎麦「百々や」※月・火定休】/1231→(227列車)→三ヶ日1349→【「グラニーズバーガー&カフェ」※水・木定休】/1442→(136列車)→都田1515→【「miyakoda.駅cafe」※火・水定休】/1600→(333列車)→新所原1700→【うなぎ「やまよし」※火曜定休】/1738→(502列車)→気賀1820→【中華屋「貴長」※水曜定休】/1849→(148列車)→金指1857→【窯焼きピザ「piazza」※月・火・水定休】/2001→(152列車)→掛川2118/2148→(東海道新幹線「こだま754号」)→東京2324
定休日の兼ね合いなどから、上記を実行できるのは土曜日だけです。旅程上は1日で回れるのですが、筆者(安藤昌季:乗りものライター)はフードバトラーではないので、1日で9店舗を巡ったうえ駅弁は食べきれません。
都築駅のパン屋は臨時休業
そこで2日間に分けて、無理なく回ることにしました。都築駅の焼きたてパン屋「メイポップ」が改装で臨時休業していたことなどから、遠州鉄道との接続駅・西鹿島を10時10分に出る322列車でスタートです。
最初は10時から営業している天竜二俣駅の駅弁です。駅舎は登録有形文化財で、当日は車両基地見学ツアーの観光客も集まっていました。駅弁は土日祝のみの販売で、平日は電話予約が必要です。「鰻どんこ弁当」「まいたけ弁当」「紅の助六弁当」の3種類で、特に「鰻どんこ弁当」は事前予約しないと買えません。
「まいたけ弁当」は炊き込みご飯を中心に、揚げ物や煮物など、具沢山で満足感がありました。「紅の助六弁当」は、おいなりさんと鰻入り太巻きですが、とても甘い味付けです。
天竜二俣駅の駅弁「まいたけ弁当」(2024年11月、安藤昌季撮影)。
駅ではコーヒー屋も営業しており、ブレイクを挟みながら11時開店のラーメン屋「ホームラン軒」では焦がしネギラーメンと半チャーハンを注文。王道の醤油ラーメンに、焦がしネギで香ばしさとコクが加わりますが、ネギが少し苦く、好みは分かれるでしょう。チャーハンは見事でした。
天竜二俣駅11時46分発の125列車で三ヶ日駅を目指します。車両は1両だけのTH9200形で「New スローライフトレイン」色。唯一の転換式クロスシート車です。先代の「スローライフトレイン」TH3000形は構内で保存され、新旧車両の対比も見られました。
12時43分に三ヶ日駅着。駅には「グラニーズバーガー&カフェ」があります。「三ヶ日牛バーガー」は、全粒粉特注バンズやブランド牛の三ヶ日牛のパティ、地域の野菜など、素材に力がありました。フライドポテトも、よい素材と天日塩がマッチしており大満足です。
うなぎ屋の配慮とは
三ヶ日駅13時49分発の132列車で、都田駅に14時20分着。駅には「miyakoda.駅cafe」が入ります。ちなみに駅舎は2015(平成27)年のグッドデザイン賞を受賞しており、個人的には「日本一オシャレな駅」だと感じます。
カフェも劣らず美しい内装で、コーヒーとクッキーも本格的な味わいでした。次は都田駅15時1分発の331列車で、16時2分着の新所原駅へ向かいます。
同駅には「駅のうなぎ屋 やまよし」が入ります。うな丼を購入すると、列車内で食べられるよう保温用の新聞に包んでくれ、さらに列車内に届けてくれました。鰻の産地である浜名湖だけあり、香り高く上質。タレも深みがあり感動しました。
浜名湖佐久米駅の「喫茶と食事 かとれあ」、自家製ビーフカレー(2024年11月、安藤昌季撮影)。
折り返し16時19分発の142列車で浜名湖佐久米駅を目指し、16時45分着。駅には「喫茶と食事 かとれあ」が入っています。トーストやカレー、スパゲティ、定食類などを提供する、昭和の喫茶店の雰囲気。「自家製ビーフカレー」はしっかりとしたルーで、美味しいものでした。
17時37分、146列車で掛川駅を目指します。気賀駅の中華屋「貴長」や、金指駅の窯焼きピザ「piazza」が頭をよぎりますが、満腹でギブアップ。ホテルで駅弁を夕食として、2日目に備えます。
今度こそ持ち帰り餃子専門店へ
翌朝は宮口駅の「お持ち帰り餃子専門店 山田幸之助」から始める予定でしたが間に合わず、10時4分発の322列車で天竜二俣駅へ。たまたま保存会の方がいたので、駅構内の寝台車ナハネ20とキハ20形気動車を見学できました。なお活動は不定期とのことです。
天竜二俣駅12時46分発の128列車で、13時1分に遠江一宮駅着。駅には「笊蕎麦 百々や」が入っています。蕎麦は「ざる」と、蕎麦の実の甘皮も使った「田舎」の2種類だけですが、「ざる」は鮮烈な味でした。
13時33分に遠江一宮駅を出発し、宮口駅に13時59分着。リベンジも意味も込め、「お持ち帰り餃子専門店 山田幸之助」でお土産用の餃子を買いました。店は料亭のような豪華な内装です。餃子は帰宅後に調理しましたが、ニンニクの効いた強い味でした。
気賀駅の中華屋「貴長」(2024年11月、安藤昌季撮影)。
宮口駅14時53分の331列車で気賀駅15時19分着。ここが最後の訪問となりました。中華屋「貴長」で「キングオブ静岡ラーメン」の第1位に輝いた「貴長 塩ラーメン」を注文。コクのあるスープと、適度にコシのある麺は納得の美味さでした。金指駅の窯焼きピザ「piazza」を残してしまいましたが、すっかり満腹になっていました。
改装で休業だったパン屋「メイポップ」ともども、いずれ再訪したいと思います。訪問した店はどれも素晴らしく、同じ路線での行ったり来たりが苦にならないグルメ旅でした。
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