首都高のETC利用率、驚異の「99%」! すでにETCしか使えない高速道路まで “現金払い”は切り捨てられる運命か?
- 乗りものニュース |

首都高はETC利用率「99%」超え! 現金対応レーンが消えていく
高速道路の料金所で、これまであった「一般(現金)レーン」が姿を消し、「ETC専用」に切り替わっていた、という場面が全国で増えています。
ETCレーンと一般レーン共用の場所もあるが、段々とETC専用レーンのみに置き換わりつつある(画像:写真AC)。
その象徴ともいえるのが首都高です。首都高速道路は2026年6月5日、ETCの利用率が2026年4月に99%を超えたと発表しました。車種別では大型車が99.9%、普通車が99.1%で、最も低い軽・二輪でも利用率は97%に達しています。
全国的にもETCの利用率は高水準で推移しています。国土交通省によると、高速道路6社(NEXCO3社に首都高速、阪神高速、本州四国連絡高速)全体の平均は、2026年3月時点で95.8%となっています。
つまり、いまや高速道路を走るクルマのほとんどがETCを使っているわけです。この普及ぶりを背景に、料金所そのものの姿がこれまでと比べ大きく変わろうとしています。
そのひとつが、現金レーンを減らし、ETC専用レーンの増設を行う流れです。
コロナ禍で加速する「人手不足」と収受コストの変動が料金所を変えた
大きな節目は2020(令和2)年でした。国土交通省と高速道路会社6社は同年12月、料金所のETC専用化に向けたロードマップを公表。都市部はおおむね2025年度、地方部はおおむね2030年度でのETC専用レーン「概成」を目指す計画です。
東海環状自動車道は圧巻のETCレーンのみの構成となっている(画像:日本高速情報センター)
もっとも、この計画はコロナ禍で急に始まった話ではありません。国土交通省は同年9月の時点で、労働人口の減少や、地域によっては料金収受員の確保が厳しくなっていること、料金収受業務の高度化・効率化などを課題として挙げていました。感染症対策として非接触式で料金の収受が行えるという点は、専用化を加速させた一因と言えるでしょう。
背景にあるのは、料金収受業務を将来にわたって維持するという課題です。国土交通省は、収受員の人員確保が困難になるなかでも、持続可能な料金所機能を維持する必要があると説明しています。
また、国土交通省が2020年に示した資料によると、2016年度時点で、ETC車1台あたりの料金収受コストは非ETC車の約6分の1となっていました。ETC利用車が大半を占める現在では、少数の非ETC車に対応するコストが相対的に大きくなっている状況です。
ETC専用化は、単純に“係員を減らすための施策”ではありません。現地の料金収受業務を高度化・省力化し、遠隔対応などと組み合わせることで、働き手が減るなかでも料金所の機能を保ち、将来の管理コストを抑え、混雑を緩和する狙いがあります。
実際、ETC専用化といっても、料金所から人や設備を単純に取り除くわけではありません。非ETC車の誤進入に対応するため、料金精算機やカメラ付きインターホン、免許証やナンバープレートを確認するカメラなどの設備が必要になります。さらに、料金を後日支払う車両については、取得した車両情報をもとに請求する運用も行われています。専用化には、こうした設備整備や運用変更が伴うのです。
この動きは首都圏だけの話ではありません。首都高では、2022年4月に35か所で始まったETC専用入口が2026年4月末には90か所へ拡大し、2026年度末には134か所となる予定です。
さらに2026年4月9日には、東海地方をぐるりと結ぶ「東海環状道」134.6kmで、スマートIC(ETC専用)を除く20のICすべてがETC専用となりました。これにより、ETCを利用できない車両は、同路線のICを通過することはできなくなっています。
ETCがなくても大丈夫?現金派でも安心のサポートレーン
とはいえ、ETCを積んでいない人や、現金しか使わない人はこの場合どうなるのか、気になるところです。そういったドライバー向けにも、一定の配慮がなされています。
料金所によってはこういったサポートレーンが存在することも(画像:NEXCO中日本)
ETC専用料金所には、ETCを利用できない状態で誤進入した車両に対応する「サポート」または「ETC/サポート」レーンがあります。ETCを利用できない状態でも、同レーンに進入後、バックはせずに開閉バーの手前で一旦停止し、インターホンなどを通じて係員の指示を受けます。
ただし、ここは係員へ現金やクレジットカードを手渡して精算する従来の一般レーンとは違います。支払い方法は道路会社や料金所によって異なり、その場の料金精算機で支払う場合もあれば、必要な情報を確認したうえで後日支払う場合もあります。精算指示を聞き逃さないことが大切です。
また、クレジットカードを持たない人向けのカードとして、「ETCパーソナルカード」が用意されています。クレジットカード会社の与信審査は不要で、利用見込額に応じたデポジット(保証金)を預託するシステムのカードです。ただし、発行には利用規約にもとづく審査が必要です。
以前はデポジットの最低額が2万円となっていましたが、2023年3月からは、平均利用月額750円に対して3000円、1250円に対して5000円、2500円に対して1万円という低額区分が新設されました。利用限度額もデポジット額の80%相当から100%へ引き上げられています。カード1枚あたり1257円(税込)の年会費が必要で、利用には別途ETC車載器が必要です。
それでも、非ETC車への周知という課題も残ります。東海環状道はETCを利用できない車両では、通常の方法ではICを利用できません。そのため、他路線から通行券を受け取って進入する場合も、利用できる出口を事前に確認しておく必要があります。
また利用者側の不安もあります。首都高が2023年度に実施した調査では、ETC専用入口に「満足」とした回答が64.0%だった一方、「現金やクレジットカードが使えない」「係員が見える場所にいないことが不安」「代車やレンタカーでは不便になる可能性がある」といった声も寄せられました。
高速道路を使う機会が少ない人や、ETCに不慣れな人にとっては、入口がETC専用へ変わったことに気づきにくい場合もあります。観光地でレンタカーを借りる人への案内を含め、一般道の標識やレンタカー会社を通じた周知、サポートレーンでの遠隔対応を組み合わせることが重要です。
料金所からどんどん消えていく現金レーン。高速道路をきちんと動かし続けるための、静かな工夫が社会に浸透することが期待されています。
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