「最新戦闘機、乗ってきたら1億円!」米軍が敵パイロットに亡命を呼び掛けた「驚きの心理作戦」その結末は?
- 乗りものニュース |

朝鮮戦争の航空戦を一変させたソ連製ジェット戦闘機
1950年6月、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の南進で開始された朝鮮戦争。その空戦性能からアメリカ軍を驚かせ、そして苦しめた戦闘機が登場しました。ソ連(現ロシア)が開発した後退翼ジェット戦闘機、MiG-15です。
MiG-15bis(手前)とF-86F(奥)。朝鮮戦争で戦った両機だが、パイロットの質の面で多くの場合F-86が勝利した。だが性能はほぼ同等と評価された(関賢太郎撮影)
開戦当初、韓国を支援する国連軍の中核を担った米軍は、大戦末期に開発された直線翼ジェット戦闘機F-80「シューティングスター」などを投入し、レシプロ機を使用する北朝鮮の航空戦力に対して圧倒的な優勢を維持していました。ところが北朝鮮が後退し、戦線が北に押し上げられると、航空戦の様相に変化が生じます。中国領内の基地からMiG-15が出撃し、国連軍機に襲いかかったのです。
後退翼を備えたMiG-15は、高高度での飛行性能と上昇力に優れ、米英の戦闘機を凌駕する性能を持っていました。アメリカ軍は対抗策として急遽最新鋭のF-86「セイバー」投入を決定。こうして朝鮮半島上空では、ジェット戦闘機同士による本格的な空中戦が繰り広げられることになります。
MiG-15の推定性能は交戦を通して徐々に明らかとなっていきますが、それだけでは実像を完全には把握できません。そのためアメリカはMiG-15の実機を手に入れることを望みました。
MiG-15と一緒に亡命すれば10万ドル
アメリカ軍がMiG-15を手に入れるため考案したのが「ムーラ作戦(Operation Moolah)」です。その発想は大胆であり、MiG-15を操縦する北朝鮮側パイロットに対し機体ごと亡命すれば5万ドル、さらに最初の亡命者には追加で5万ドル、合計10万ドル(現在の価値にして約1億円)を与えるという破格の報奨金を提示し、敵パイロット自身に最新鋭戦闘機を持ち込ませようとしたのです。
MiG-15に対抗するため朝鮮半島に投入された米軍のF-86F「セイバー」(画像:アメリカ国立公文書館)
アメリカ軍は報奨条件を記したビラを大量に製作し、中国領内の飛行場周辺へB-29爆撃機から散布するとともに、ラジオ放送でも亡命を呼びかけます。しかし、戦争期間中にMiG-15を携えて韓国へ亡命したパイロットは現れませんでした。アメリカ軍の思惑は外れたのです。
ところが戦争が休戦となった直後の1953年9月21日、事態は思わぬ方向へ動きます。北朝鮮空軍の盧今錫(ノ・クムソク)中尉がMiG-15bisに搭乗し、北朝鮮を離脱。わずかな時間で国境を越え、韓国の金浦空軍基地へ着陸したのです。アメリカ軍が追い求めてきた敵の最新鋭戦闘機が、突然その手に入ったのです。盧中尉は機体から降りた後、北朝鮮指導者金日成の写真を破り捨てて意思を伝えたとされます。
なぜ盧中尉は亡命したのか?
こうしてアメリカは完全な状態のMiG-15bisを入手しました。機体はパイロットの盧中尉とともに沖縄の嘉手納基地へ移送され、飛行試験と技術分析に供されました。米軍テストパイロットが実際にMiG-15bisを操縦し、操縦特性などを直接確認したのです。
盧今錫(ノ・クムソク)と、彼が持ち込んだMiG-15bis。機体はその後もアメリカが保有し続けており、現在もアメリカ空軍博物館において一般公開されている(画像:アメリカ空軍)
その結果は、MiG-15はF-86に比べて上昇力や高高度性能に勝り、急降下速度では劣るが大差は無く、パイロットの力量によって勝負が決まるだろうというものでした。
興味深いのは、盧中尉自身が10万ドルを目当てに亡命したわけではなかったことです。彼は後年、北朝鮮の共産主義体制への不満などを背景として亡命を決意したと説明しており、当時、アメリカ側が提示した報奨金の存在を知らなかったこと、また北朝鮮人にとって「10万ドル」がどれほど巨大な金額なのかも理解できなかったことを語っています。
ちなみに、盧中尉はその後、報奨金を受け取ってアメリカへ渡り市民権を取得。大学を卒業すると、航空技術者として新たな人生を歩み、2022年に死去しました。
ムーラ作戦は、心理戦によって敵パイロットを誘い出そうとした当初の目的だけを見れば成功とは言い難いものの、戦争が終わった直後に1人のパイロットが自らMiG-15bisを持ち込んだという結末を迎えました。
盧中尉が持ち込んだMiG-15bisは、敵航空戦力を理解するための貴重な教材となり、その後「正当な持ち主」に返還することを申し出たものの、北朝鮮は亡命自体なかったことにしたいのかこれを無視。現在、その機体はアメリカ空軍博物館に展示されています。朝鮮戦争の空でアメリカ軍が恐れたソ連製戦闘機は、半世紀以上を経た現在も、冷戦初期の航空戦と情報戦を物語る実物資料として残されています。
実は損している?
ニュースを読んでポイントが貯まるサービスがあるのを知っていますか?ポイントサイトのECナビでは好きなニュースを読んでポイントを貯めることができるのです。(※ECナビはPeXの姉妹サイトです。)今日読んだニュースが実はお小遣いになるとしたら、ちょっと嬉しいですよね。
ポイントの貯め方はニュースを読む以外にも、アンケート回答や日々のネットショッピングなど多数あるので、好きな貯め方でOK!無料で登録できてすぐに利用できます。貯まったポイントはPeXを通じて現金やAmazonギフトカードなどに交換できます。
運営実績も15年以上!700万人以上の方がポイントを貯めています。毎日好きなニュースを読んでお小遣いを貯めてみませんか?
簡単無料登録はこちらYOUの気持ち聞かせてよ!
| いいね | ![]() |
|
|---|---|---|
| ムカムカ | ![]() |
|
| 悲しい | ![]() |
|
| ふ〜ん | ![]() |







