「100年乗っても大丈夫!」な爆撃機、航空ショー上空でなぜ“チラ見せ”? 超控えめに飛ぶのはワザとです!
- 乗りものニュース |
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シンガポール航空ショーで、米空軍の爆撃機B-52Hが2機、展示飛行を実施しました。「100年運用」が見込まれるこの機ですが、展示飛行の方法もユニークです。
「チラ見せ」こそアピールに最適?
2024年2月20日よりアジア最大と呼ばれる航空見本市、シンガポール航空ショーが行われています。ここへアメリカ空軍の爆撃機B-52Hが2機飛来し、会場を通過しました。なぜ、この機がはるばるシンガポールの航空ショーに、しかも一瞬だけ現れたのでしょうか。
アメリカ空軍のB-52H戦略爆撃機。ジェットエンジンを8基搭載している(画像:アメリカ空軍)。
B-52Hは8発のエンジンを搭載した一風変わった仕様で、しかも米空軍での初期の機体の運用開始が1955年と古い設計を持ちながら、同国では改修のもと2050年まで運用継続が予定されているなど、「100年運用される」機体になることが予想されます。
同機はこれまでも同航空ショーに姿を見せていますが、地上に展示されることはなく、アクロバティックな展示飛行というよりも、会場の上空を通過するだけ……というのがお決まりのスタイルになっています。
実は、それこそがB-52Hをアピールするポイントです。
飛来したB-52Hは、「テールコード」と呼ばれる垂直尾翼に記された所属を表す文字が「MT」だったことから、米国ノースダコタ州マイノット空軍基地に置かれる第5爆撃航空団所属で、グアムのアンダーセン基地に展開している機体と思われます。前後に並んだ2機は会場前の上空を1度通過し、そのまま飛び去りました。
B-52H自体の航続距離は1万6000km以上あるとされ、これだけの長い距離を飛べる爆撃機は、世界を見渡しても、約1万400kmの航続距離を持つロシアのTu-160がある程度です。
B-52Hを「チラ見せ」する背景
B-52Hはその航続距離から、実戦の場合は前線近くの基地へ移動することなく出撃でき、これにより作戦の自由度も高まります。そして、存在感を放つには演習時に加え、多くの人々が注目する航空ショーがよい機会になります。
アジアでは近年、海洋進出を強める中国、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の行動に歯止めをかける動きが強まっており、B-52Hも一翼を担っています。
つまり「グアムから直接アジアで攻撃に移ることできる爆撃機である」ことを示すために、シンガポール航空ショーでは、あえて上空を通過するのみで存在感を示しているのです。
B-52は今後、B-52Hのエンジンを更新したり電子装備を新しくしたりして、新たにJ型の名称となり、2050年代まで飛ぶ予定です。いずれ、米国が現在開発中の最新型のB-21ステルス爆撃機とB-52がコンビを組むことになります。“100歳までバリバリ現役”になりそうなB-52は、その性能において現在も、そして未来も、高い抑止力を持ち続ける爆撃機であるといえるのです。
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