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いよいよ「水素エンジンの大型船」続々登場へ! “化石燃料へ回帰”でもむしろ安くなる? 国内3社で世界をリード

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  • 乗りものニュース
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川崎重工業、ジャパンエンジンコーポレーション、ヤンマーパワーソリューションの3社が、舶用水素エンジンの陸上運転に成功しました。ゼロエミッション船の実現に向けた国産技術の大きな前進として注目されます。

世界に先駆ける「舶用水素エンジン」陸上試験に成功

 国が「海事産業の競争力を高めるゼロエミッション船の実現に向けた重要なステップ」と位置付ける舶用水素エンジンの実現に向けた取り組みが着々と進んでいます。開発を進める川崎重工業、ジャパンエンジンコーポレーション(J-ENG)、ヤンマーパワーソリューション(ヤンマーPS)の3社が、J-ENGの本社工場(兵庫県明石市)に設置された液化水素燃料供給設備にて、水素による舶用エンジンの陸上運転に成功しました。

Large figure1 gallery23川崎重工業が製造した世界初の液体水素運搬船「すいそふろんてぃあ」。舶用エンジンへの水素の活用がようやく緒につく(深水千翔撮影)

 国土交通省海事局の河野順次長は、川崎重工とヤンマーPSの4ストロークエンジンの陸上試験が開始され、J-ENGの2ストロークエンジンの製造が始まったことに触れ、「これらを世界に先駆けて進めていることが、日本の舶用工業の技術力の高さを物語っている」と強調します。

 2025年10月20日に関係者などへ披露されたのは、液化水素燃料供給設備と川崎重工のエンジン、そして川崎重工とヤンマーPSのエンジン制御室です。液化水素燃料供給設備は3社共有の設備として、川崎重工が製造しました。容量70立方メートルの液化水素タンク2基が設けられており、貯蔵された液化水素をガス化して、各社のエンジンへ高圧または低圧で水素燃料を供給します。

 現在、工場建屋内には川崎重工とヤンマーPSの4ストロークエンジンが設置されて陸上試験を実施しています。川崎重工製のエンジンは電気推進船向けの主発電機関を想定した陸上実証機で、実船へ搭載予定のヤンマーPS製エンジンは既存のDF(2元燃料)機関をベースにしたものとなっています。

 川崎重工の西村元彦専務執行役員エネルギーソリューション&マリンカンパニープレジデントは「脱炭素社会の実現に向けて水素エネルギーは今後のクリーンエネルギーの1つとして大いに期待されている。特に海運分野での温室効果ガス(GHG)の排出削減は喫緊の課題であり、水素を燃料として使用する舶用エンジンの開発はその切り札だ」と話していました。

2026年以降、実船が続々!

 舶用水素エンジンの開発は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション(GI)基金事業である「次世代船舶の開発」プロジェクトの一環として行われています。コンソーシアムを組む3社は、共同出資会社「HyEng」を設立し、共同研究を行うことで商用化に向けたスピードアップを図りつつ、それぞれが得意とするエンジンで開発に取り組んでいます。そのため搭載する船種も、内航船から近海船、液化水素運搬船と多岐にわたります。

Large figure2 gallery24明石のJ-ENG本社に完成した水素燃料供給設備(深水千翔撮影)

 一番出力が大きいJ-ENGの2ストローク水素DFエンジンは、商船三井と商船三井ドライバルクが保有・運航管理し、尾道造船が開発・建造する1万7500重量トン型の多目的船に搭載されます。この船に関しては、2025年4月に建造契約を締結。J-ENGでは同年9月からフルスケールエンジンの組み立てを開始しており、2026年春ごろから陸上運転を行った後、2027年1月の出荷を予定しています。

 J-ENGの川島 健社長は「当社は水素とアンモニアを中心に脱炭素燃料エンジンの開発を行っている。カーボンニュートラルに向けては間違いなくゼロエミッションを達成可能な技術のニーズが将来的に出てくると思う。私たちが世界に先駆けて実物を作り、世の中に披露していく」と説明しました。

 ヤンマーPSは内航船や外航船の発電補機として、混焼タイプの中速DFエンジンと水素専焼の高速エンジンの2つを開発しています。中速エンジンは2025年度からフルスケールでの陸上実証を始めており、2028年度には上野トランステックの新造タンカー「輝光丸」に搭載して実船実証を行う予定です。

「現在、『輝光丸』では2つのプロジェクトがあり、2026年に行うのは高圧水素を用いた高速エンジンの発電機システムだ。2028年からは外航船も想定した、液化水素を燃料とした中速エンジンによる実証を予定している」(廣瀬 勝ヤンマーPS社長)

 2025年10月に「水素燃料レディ」の電気推進タンカーとして引き渡された「輝光丸」の甲板上には、それぞれのシステムを構成する機器を詰め込んだコンテナ型のパッケージが設置できるようになっており、実証によって載せ替えることになります。

「燃やしても有害なものは出てこない」化石燃料復権でも“強み”

 川崎重工が開発している中速4ストロークDF(2元燃料)水素エンジンは、同社が建造を目指す4万立方メートル型の液化水素運搬船に搭載されます。今回、公開された陸上実証機とは別に実船実証用のエンジンを製造し、2028年3月に出荷。液化水素運搬船による実証は2030年度に行われる見込みとなっています。

Large figure3 gallery25J-ENGの開発した2ストローク水素DFエンジンを搭載する多目的船を建造する尾道造船(深水千翔撮影)

 液化水素運搬船は国際水素サプライチェーンの構築に向けて、川崎市扇島のJFEスチール東日本製鉄所京浜地区跡地で建設が進められている液化水素の国内基地を使った商用化実証に投入されることが決まっており、海外での航行試験なども行っていきます。

 同社エネルギーソリューション&マリンカンパニー舶用推進ディビジョン長の政本憲一理事は「水素は燃やしても有害なものは出てこない。そこが利点だと思う。米トランプ政権の化石燃料重視という流れがあっても、例えば天然ガスから(化石燃料由来の)ブルー水素を作るという点ではブルー水素の値段が下がることにつながり、若干追い風になるだろう。CO2を回収する技術も同時に開発し、トータルでゼロを目指すことに取り組んでいる」と話します。

 また、川崎重工は舶用水素燃料タンクと燃料供給システムで構成するMHFS(マリン・ハイドロジェン・フューエル・システム)の開発も担います。

 中高速4ストローク水素エンジン用のMHFSは40フィートコンテナサイズにシステム一式をパッケージ化。低速2ストローク水素エンジン用の高圧MHFSは、舶用・燃料供給用としては世界最大の200立方メートルの液化水素タンクなどを設けるとともに、機器類をユニット化して船上の施工を容易化します。

 今後の見通しについてJ-ENGの川島社長は「大型の外航船はアンモニアが中心で、水素は内航船や近距離を走る船を中心にまず動いていくのではないか」と話します。

 現在、「HyEng」では造船所と共に、東京―博多間を航行する内航RORO船を想定した水素燃料船のコンセプト設計を行っています。インフラの整備やバンカリング(船舶への供給)などの課題はあるものの、水素を使用した船の実現と普及に向けて着実な歩みが続いています。

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